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有色人種女性は「コンクリートの天井」に直面

金融サービス大手プルデンシャル ファイナンシャルのバイスプレジデント、スプリング・レーシー氏 金融サービス大手プルデンシャル ファイナンシャルのバイスプレジデント、スプリング・レーシー氏
Photo: Jovelle Tamayo for The Wall Street Journal


By JO PIAZZA

 有色人種の女性で企業の役員に上り詰めた人の多くは、それまでの昇進の道のりを「コンクリートの天井」を打ち砕く作業だったと述べている。女性の昇進を妨げるガラスのように見えない障壁を「ガラスの天井」と言うが、それどころではなかったようだ。

 女性の社会進出を支援する非営利団体「リーン・イン」とコンサルティング大手マッキンゼーが行った調査によると、有色人種女性は、企業の幹部や上級管理職の中に占める割合が最も小さいグループだ。一番下の管理職で有色人種女性が占める比率は12%。これに対し、白人男性は45%だ。役員レベルになると、有色人種女性の比率はわずか3%と、白人男性の71%とは圧倒的な差がある。

 それは野心が足りないからではない。黒人、ヒスパニックおよびアジア系の女性たちは上級レベルの役職に就きたがっており、調査によれば、その気持ちは白人女性より強い。調査では有色人種女性の48%は最高幹部を目指していると答えており、白人女性の37%を上回っている。

人種を話題にすることの難しさ

 ただ、調査によると、自らの会社をあらゆる人々を受け入れる場所だと評価する人の比率は、有色人種の女性、とりわけ黒人女性の間で最も低い。同時に、有色人種女性は、会社が「自分らしさを発揮させてくれない」ことへの不満を表明する人の比率が比較的高い。さまざまな業界で働くマイノリティー女性の幹部は、会社環境への不満を口にしている。つまり、成功の前提が、自分と似たようなバックグラウンドを持つメンター(恩師ないし指導者)やスポンサー(支援者)を見つけられるかどうかである場合が多いという不満だ。

 彼女たちは、白人男性の同僚たちと人種について議論することは難しいと述べている。そして、さまざまなバックグラウンドを持つ女性たちにとって、人脈を広げる方法を探すのは至難の業だと指摘する。

 ジェイビル・サーキットや米自動車協会(AAA)などの組織で人事部門の責任者を長年務めているアナリサ・アダムズクォルティア氏(57)は、「『ガラスの天井』という言葉を聞くと、それは素晴らしいと思う。ガラスなら割って入ることができるからだ。それがコンクリート製となると、ドアが必要で、ドアの向こう側に人がいる必要もある」と話す。

 さまざまな業界にまたがるアフリカ系米国人のネットワークを構築した同氏は、次世代の女性たちに自らの真価を示せる機会を提供するための支援者やメンターがもっと必要だと述べる。「有色人種の女性を多く見かけない理由の1つには、昇進することへの恐怖がある。会社ではあちこちから『会社はあなたに投資したがっていない』とか、『あなたにはチャンスがない』というシグナルが出ているからだ」

 職場で男女平等について話すことは、より一般的になってきている。だが人種、機会、公平性について話すことは、良く言ってもまだ難しい。会員制倉庫型店舗サムズ・クラブのロザリンド・ブルーワー最高経営責任者(CEO)は昨年12月、多様なチームを作る自身の取り組みについて説明した。そして職場環境で唯一のマイノリティーかつ唯一の女性であることの難しさを口にした。同氏はソーシャルメディア上で、白人男性に対する偏見があるとの批判を受けた。

多様性の実現に立ちはだかる壁

 企業の多様性を担当する立場の有色人種女性たちは、全レベルのマネジャーに対し、採用や昇進などにおける多様性の実現に責任を持ってもらうよう働きかけたいと話す。だが、それは切り出すのが厄介な話題になり得る。

 ウイルス対策ソフト大手シマンテックのセシリー・ジョセフ氏(52)は、副社長という立ち場にあるが、それに加えて「多様性の責任者」という役職を受け入れることに当初消極的だった。「『なぜ1人の黒人女性(自分自身を指す)が多様性の責任者にならなくてはならないのか』と考え続けた」という。そして「自分がやらなければ他に誰がやれるかということに気付いた」と語る。

 ジョセフ氏や、その他の黒人女性の企業幹部たちは、同僚の白人男性と人種に関するフランクな会話を始めると、物事の核心をつかない、よりあいまいな返答につながることがしばしばだと話す。例えば「色は関係ない」とか、「最高の人材を採用することだけを考えている」といったものだ。かくして彼女たちは、慎重に話をもっていくように進める。

 同氏は「相手が多様性への対応を強制されているように感じると、会話は行き詰まるか、もっと悪い状態になる。つまり相手が守りに入る」と述べる。同氏によると、相手がその問題に幾分共感できると、会話は簡単になるという。

(筆者のピアッツァ氏はサンフランシスコ在住の作家)

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