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医療や介護は圧縮の方に舵が切られているけれど、上手く育てれば大産業になるのに馬鹿だな、と思う―「賢人論。」第24回(中編)高須克弥氏

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介護は真面目にやればやるほど経営が苦しい、と吐露しながらも、成長できる分野だとして携わり続ける高須先生。中編となる今回は、美容整形の歴史から氏の幼少時のエピソードに及び、かつての日本には存在していた“尊敬されるお金持ち”についても。「富裕層が寄付できるような税制を設けるべき」とダイレクトな提案も飛び出した。

取材・文/猪俣ゆみ子(編集部) 撮影/公家勇人

「給料を上げたい、国は補助をしろ」という主張は間違っている

みんなの介護 前編「日本の医療や介護は、育てればものすごい産業に育っていく芽なのに、国からは経済発展を妨げる足かせだと思われていて、切り捨てられるほうになっている」では、日本の介護は成長が期待できる産業であると伺いました。一方で、医療保険や介護保険が国の報酬は圧縮の方向に舵が切られていて、報酬を引き上げるべきだという声も上がっています。

高須 どの業界も「給料を上げたい」とは言うんですよ。でもそれは、国の財政が豊かだということを前提にしておいて「自分たちに補助を与えろ」ということでしょう。国が財政難のこの時代、国の経済発展には役立たないから切り捨てるというのはある意味正しい選択です。でも、うまく育てれば大産業になるのに、馬鹿だなと思いますよ。

例えば韓国は、今でこそ美容整形大国になっているけれども、金大中(キム・デジュン)政権までは美容整形をやったらパスポートを取り上げていたんです。当時は韓国の富裕層の人たちがうちにたくさん来ていました。ここで働いていた人もいて、韓国に帰ったあとに学会を作った。その3世代あとぐらいから急にビジネスに目覚めたようです。そもそも技術を教えたのは私なんですが、今じゃ日本よりも自分たちが本家のようなことを言っています(笑)。

みんなの介護 韓国の美容整形市場が拡大したのは、先生の尽力があったからなんですね。

高須 美容整形が広まる前までは「顔を変えるなんてとんでもないヤツだ」という認識だったんです。ところが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は、それまでの政権がやっていたことと正反対のことをやったんです。それから、ノ・ムヒョン大統領の次期大統領、李明博(イ・ミョンバク)氏はソウル市長から大統領になって、彼はソウル市を美容整形特区のようにして、推進していきました。当時は、ソウル市と国がこぞって海外から客を連れてこようと競い合っていました。

国の政権が変わってそれまでと正反対のことをやり始めると、こんなにガラリと変わるものかっていう例ですね。ところが、今の大統領になってからは弾圧されてきていますから、今まで韓国に行っていた美容整形ツアーは日本に大移動しています。

みんなの介護 国の後押しがあれば成長産業にできる、という好例ですね。

高須 そうです。今は美容整形を例にして話していますけれど、国がバックアップしてくれたら、韓国以上に大きくなると思いますよ。日本のほうが環境はいいんですから。でも、美容整形に対して日本はどちらかというと弾圧しています。広告の規制だとか、届出を厳しく出させたりとか。

肌や幹細胞などの再生医療は美容整形の中にも含まれますが、こちらも届出をさせるようになってきています。美容整形は国の財政を圧迫するどころか、成長産業なのに。圧迫と言うと大げさですが、少なくとも推奨はしてくれていませんね。


税金をもっと少なくして、自分が行く病院や介護施設に寄付したときは税額控除するような制度を作ればいいと思う

みんなの介護 自由診療の枠が大きくなり、受診する人も増え、お金をかけたい富裕層も集まってくると、利益があげられますね。

高須 そうです。そうして利益があがっているところから税金を取ればいいんですよ。お金持ちからは税金を取って、貧しい人には手厚い保護を与えればいい。そのためには、お金持ちを作らないとダメですよね。一番簡単なのは、税金をもっと少なくして、お金持ちを増やすこと。あとは、自分が行くような病院や介護施設に寄付したときは税額控除すること。そうしたら、みんな自分が入る老人ホームに寄付するようになると思いますよ。

みんなの介護 そういう税額控除の制度はないですもんね。

高須 アメリカはみんなそうで、大金持ちは寄付大好きですよ。寄付すれば人から褒めてもらったうえに、自分もそこの病院に入院したときに大事にしてもらえますから。

みんなの介護 最近では、先生がリオ五輪のナイジェリア男子サッカー代表に賞金を渡したことが世間で話題になりました。ただ、欧米にはボランティアの精神が根づいていますが、日本では難しいんじゃないかと。

高須 元々は日本のほうがボランティア精神は多かったはずなんですよ。村の中で除け者にされても火事のときや葬式のときは力を合わせて助けてあげようとしていたわけですから。日本の元々の制度はボランティア精神から来ているものなんですよ。そうやって村全体が困っている人を助けてやっていたんですから。敵となった人でさえ、火事などの非常事態になったときは助けに行ったんです。

でも、元々の日本の源流にある村社会がバラバラにされてしまった。アメリアが狙ったのはそれだったんですよ。自分たちと同じような国にしてしまおうとしたんだけれど、日本の制度はちょっとしたことでは壊されないから、水害や台風などの被害に遭ったときは自主的にボランティアをしますでしょ。ほかの国だったら、略奪を始めたりよそに逃げたりしますよ。

みんなの介護 そういう精神をもとにお金持ちが増えれば、寄付する人も増えるというわけですね。

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