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電通の「地下空洞問題」と、過去の不適切事件。

電通のデジタル広告を巡る話が慌ただしい。9/23の日経朝刊が「インターネットでの広告掲載について、不適切な取引をしていた」ことを報じていて、間もなく記者会見が始まる。

ある程度前から話は出ていたので、社外でも知っている人は多かったようだ。

金曜16時の発表から逆算するように、休日前の21日に豪州のメディア、翌日はFTが書いて、今朝「親会社」の日経の記事という流れだ。

FTは”overcharging”という表現になっているが、「実際に出稿したよりも多くの金額を請求した」ということだと思われる。

実際の状況は発表されるまで不明だが、こうした不正は広告ビジネスの根源を揺るがすことになるので、影響は相当広がるだろう。

広告の出稿は、広告代理店が依頼を受けてメディアを購入して出稿する。

これが、紙媒体であれば「エビデンス(証拠)」として、掲載紙誌を直接持参すればいい。会社の封筒はよくあるが、代理店の場合大きな紙袋まであるのはそういう理由もある。

これがラジオやテレビになると、もちろん持っていくわけにはいかない。相当な本数が全国で流れるのだから「やりました」というのを信じるしかない。それは、ネットも同じだ。

いわば「納品」を視認できないわけなのだから、広告ビジネスは高いモラルが求められる。ところが、こういう事件は過去にもあった。

一番大がかりだったのは、静岡第一テレビの事件だろう。1999年に発覚したこの事件では、局がCMを勝手に「間引き」していたことが発覚した。

発表翌日には、民放連は即刻除名にしたくらいで、民放の経営システムの根幹にかかわる話だった。

翌年には、スズキのCMを水増し請求していた事件があったが、これは電通社員の個人的責任となった。担当者は懲戒解雇となる。

これはテレビのケースだったので「オンエアしたか/しないか」という二択の不正だ。ただし今回のケースはネット広告なので、もう少し複雑になるだろう。

ちなみに、今回のようなケースとは異なるが、放送データに絡むスキャンダルとしては、2003年に日本テレビのプロデューサーが起こした「視聴率買収事件」がある。

これは、同局のプロデューサーがビデオリサーチのクルマを尾行して調査対象世帯を割り出して接触。金銭をわたして自局番組を見るように働きかけたという事件だ。

何だか書いていて切なくなるくらいのアナログ時代の事件だけど、今回の手口や動機などは一体どうなっていたのだろうか。

いずれにせよ、「実はスカスカでした」という話なら、これはもう電通の「地下空洞事件」のような感じだろう。そして、同社はもちろんデジタル関連のプレイヤーすべてが影響を受けるだろうし、広告ビジネスの信頼低下も起きる。

これは、広告やそれを前提に成立しているメディアの根っこに関わる話だからだ。

広告主内部でも宣伝部への風当たりは強まるだろうし、上場企業であれば対外的説明責任もある。第二四半期がおわる前に、相当大変だと思う。

そして、業界でルールをつくるにしてもトップ企業が起こした問題だから収拾も難しい。大きなクジラが刺されて大暴れしたら、海全体が大混乱、という感じになるだろう。

さて16時の発表はどうなるだろうか。

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