記事

年をとったときに“惨め”になりたくない人に大事なのは、断捨離 - 「賢人論。」第6回(後編)ちきりん氏

1/2
「賢人論。」第6回(後編)ちきりんさんは「年をとったときに“惨め”になりたくない人に大事なのは、断捨離」と語る

前編・中編と続けて、社会保障体制や介護業界が抱える問題について、マクロの観点から社会派ブロガー・ちきりんさんに語ってもらった。さて今回は、ちきりんさん自身の老後の話からスタート。「高齢者の孤独」「断捨離」へとつながり、最終的にはまた介護業界全体の話題へと。ちきりんさんならではの独特の視点が面白いインタビューも、これが最終回。ぜひお楽しみください!

取材・文/安濃直樹(編集部) 撮影/長尾浩之

年をとったときに“惨め”になりたくない人に大事なのは、断捨離

みんなの介護 ちきりんさんは、ご自身の老後についてどのように考えていますか?

ちきりん 自分の老後を考えると、少なくとも頭がよく回らなくなった段階からは、もうどうでもいいです。“わからなくなったもの勝ち”みたいに考えてるんですよね。

私が、食べるものもなく、服もボロボロで垂れ流しになって、道ばたに倒れて…みたいな状況になった時、周りの人は私を見てすごく惨めだと思うでしょうが、私自身はたぶんもう、そう認識する力さえなくなっていて、別に何も感じてないような気がします。

みんなの介護 うーん…考えたくはないですけど、ある意味、真理かもしれませんね。

ちきりん だから孤独死とかも、ぜんぜん恐く無いです。死ぬ瞬間に、周りに誰がいるかいないかとか、本人にはわからない。それが「かわいそうだ」「惨めだ」みたいに言うのは、外部者の意識です。それと、テレビの特集番組にでてくる貧困高齢者の人って、家がめちゃくちゃ汚いんですよね。家がきれいな貧困の人ってほとんど見ません。

よく「年取って貧しいと悲惨だ。かわいそうだ。惨めだ」って言いますけど、家が完璧にキレイで、床に何もモノがない部屋にテレビとちゃぶ台があって、介護職員が運んできたご飯を食べてたら、そんなに惨めに見えないのでは? だから、年をとって惨めになりたくない人に大事なのは断捨離ですよ。

みんなの介護 そこに話が飛びますか(笑)。

ちきりん 貯金が何千万円あっても、家が汚部屋だと惨めに見えます。貯金なんて無くても、家がすっきりしてたら惨めに見えません。とはいえ、私の家もモノが溢れててホントに悲惨。答えはわかってるのに、なかなか実行できませんね。

みんなの介護 断捨離って、意識してやろうとしても、とても難しいですよね。

ちきりん ものを整理するっていうのは、ものすごく高い知的レベルを要求される作業なんです。要らないものと要るものを区別して、あるべき場所に置く。簡単なように見えて、合理的な思考ができるうちしか、整理整頓や断捨離はできません。たまに実家に帰るという人は、親の家の散らかり具合をよく見て、親の判断力の衰えの目安にすればよいと思います。

「賢人論。」第6回(後編)ちきりんさんは「高齢者にはお金を配るより日常を一緒に過ごす仲間を探して上げるほうが大事」と語る。

気むずかしい人間と話すより、人工知能を搭載したロボットと話してるほうが心穏やかに老後を過ごせそう

みんなの介護 もうひとつ「かわいそう」と思われる理由のひとつに、「孤独」というのが挙げられると思うのですが。

ちきりん そうですね。隣家に同じ境遇の人がいて、毎日お茶を飲んだり、一緒にお昼ごはんを食べたりするだけで、まったく惨めじゃないと思います。だから生活保護のお金でパチンコに行っているとか、お酒を飲んでるってよく問題視されてますけど、あれは仕方がない。

みんなの介護 もっと根本的な問題…それが孤独、ということでしょうか?

ちきりん なぜパチンコに行くかというと、やることないし暇だし、孤独だからですよね。パチンコはひとりでもできますから。何人か友達ができれば、パチンコが将棋になったり麻雀になったりするし、一人でお酒を飲むのではなく、「鍋でもやろう」になったり、「カラオケでも行くか」になったりする。惨めさを減らすには、お金より日常を一緒にすごす仲間のほうが大事です。

みんなの介護 そういう環境をつくるにはどうすれば良いか、何か考えはありますか?

ちきりん 同じような環境の人が集まって住むことと、彼らが知り合うきっかけを手伝う人を行政が雇うべきかな。そのお金は、ずっと言ってるように、お金に困っていない高齢者に支払われてる福祉費用から出せるはずです。

若い人はネット時代だというけれど、孤独な高齢者はネットなんか全然やってないので、リアルに、「あの家の人も一人だから、たまには一緒にご飯でも食べてみたらどうですか?」みたいなマッチングをしてあげないと知り合えない。そうやって孤独な人を減らす方が、お金を配るより効果的な気がします。

みんなの介護 つまりは、財源の使い方を考え直せばいろんな社会問題の解決につながる、ということですね。

ちきりん あとは自動化や機械化も大事です。成田空港では、歩いているだけで熱を計られ、高熱の人がいると検疫の人が飛んできて、デングやエボラ熱などに感染していないか、チェックしています。

介護施設や保育所なども最初に体温測定をしますが、ああいうコトひとつをとっても、ものすごく人手がかかります。個別に自動化できる作業は、まだいくらでもあるはず。

みんなの介護 「IT」とひとことで言ってしまうと、「コンピュータなんかに介護ができるもんか」といった反発が起こりがちです。

ちきりん 気むずかしい人間と話すより、人工知能を搭載したロボットと話してるほうが心穏やかに老後を過ごせそうですけど、コンピュータは人間味がないとか決めつける人も多いですね。

あわせて読みたい

「高齢化」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    鮪の国際会議で日本"フルボッコ"

    勝川 俊雄

  2. 2

    本当の「視聴率三冠王」はNHK

    メディアゴン

  3. 3

    カジノ解禁を嫌がるパチスロ業界

    大西宏

  4. 4

    山本太郎氏のひとり牛歩に疑問

    和田政宗

  5. 5

    Softbank孫社長、日本一の富豪に

    フォーブス ジャパン

  6. 6

    ピコ太郎が今年のYouTube2位獲得

    島田範正

  7. 7

    予測不能な現実に苦悩するGoogle

    ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)

  8. 8

    あまりにリアルな過労死者の記録

    幻冬舎plus

  9. 9

    "陛下を憲法と整合するのは限界"

    石破茂

  10. 10

    雅子さまは日本が誇る皇后になる

    小林よしのり

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。