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ウォーク&トーク:歩きながら会議をするメリット

By RACHEL BACHMAN

 健康のために運動はしたくても、ヨガ用の着替えを持ち歩くのは大変だし、運動後のシャワーも面倒だ。そう考える人にとって心強い調査結果が発表された。仕事場で同僚との会議を歩きながら行うだけで、ちゃんとしたエクササイズ効果があることが研究で明らかになったのだ。

 「多くの会社が広くこの働き方を導入すれば、小さな積み重ねがそれぞれの健康改善につながっていくことになる」と話すのは米メイヨー・クリニックやアリゾナ州立大学で肥満の研究をするジェームズ・レビン氏。「しかもこれは信じられないほどシンプルなやり方だし、費用も一切かからない」

 一般的に行われている歩きながらの会議は、通常2人か3人のグループが30分程度をかけ決められたルートを移動することが多い。場所は会社近くの公園でも会社内の廊下でも実施可能だ。目標としている1日の歩数に向けて歩きながら会議をする人もいれば、動きながら仕事をすることが肉体的にも精神的にもメリットがあると知った人が、それを実践していることもある。

 歩きながら話し合いを行うことに関して出版された数少ない研究の一つが、マイアミ大学に所属する医師アルベルト・J・カバン=マルチネス氏が今年公表した調査結果だ。同氏が17人の参加者を3週間にわたって調べたところ、歩きながら会議を導入すると平均して運動時間が1人当たり週に10分増加。また仕事場での軽度な運動に参加する人ほど体調不良のために会社を休むことが少なくなったという。

 座って過ごす時間が多いと肥満や2型糖尿病などの病気になりやすくなるとされる一方、一部研究では1日15分ほど歩くだけで寿命が3年延びることもことも明らかになっている。しかし米政府は週150分の有酸素運動(時速4.8キロ程度のきびきびとしたペースで歩く散歩)を推奨するが、国民のほとんどがその運動量をこなせていない。2015年の政府の食事指針には、仕事で歩きながら会議を行うなどして運動量を増やすよう提案がされている。

ロンドンで歩きながらの会議を行うKPMGの社員
ロンドンで歩きながらの会議を行うKPMGの社員
Photo: KPMG UK


 管理職やその他コンサルタント業などの一般的な社員にとって、1日にこなす仕事の9割が会議か電話かメールの処理業務であるとされる。専門家はその中でも会議と電話は歩きながら行えるはずだと話す。

 立ったまま作業ができるスタンディング・デスクも最近は注目されているが、立っているだけでは座っている時と消費するカロリーがほとんど変わらないので注意が必要だ。ピッツバーグ大学の研究チームが74人を対象とした調査を行ったところ、15分歩くことで消費されるのは平均して56カロリーなのに対し、座ったままパソコンを使うと20カロリーの消費にとどまった。立ったままの姿勢でパソコンを使った場合も22カロリーの消費だったという。

新鮮な空気を吸いながらいきいきと会議

 数カ月前に歩きながらの会議を導入するよう職場で提案した際、「何人かは不思議そうな顔をしていた」とソレル・ハーパーさんは話す。 大手銀行を対象にコンサルティング業務を手がけるKPMG(英国)で働くハーパーさんは、同じ部署内の26人を2人一組に分け、週に1回30分の歩きながらの会議を行うようにした。ペアはランダムに決められ、また毎週相手を変えることによって新鮮なやりとりが活発に行われるように工夫したという。

 ペアは事前に自分たちで会議のトピックを決めるが、テーマはキャリアについての話やクライアントとの戦略についてなど多種多様だ。交わされる会話は公表しないことにしたことで、通常の会議よりもより率直に意見交換が行われていたという。

 雨や雪が降る日もあるものの、社員は歩きながらの会議をおおむね受け入れている。「新鮮な空気を吸いながら並んで歩いていると、全員いきいきとしている」とハーパーさんは話す。

ポーラ・ブレイシーさん
ポーラ・ブレイシーさん
Photo: Paula Bracey


 サウスキャロライナ州コロンビアにある州の健康局に務めるポーラ・ブレイシーさんは1日1万歩を歩くことを目標としていたものの、数カ月前に調べてみたところ実際はその3割程度しか歩けていないことを知ったという。

 そこで彼女も同僚を誘い、週に数回のペースで15分程度の歩きながら会議を実行。動きながらだと座ったまま話し合うよりもお互いリラックスでき、上司と部下の間の壁も取り払えたと感じるそうだ。

 「向かい合ってテーブルで座ると、それだけでもお互いの立ち位置が決まってしまう気がする」とブレイシーさん。「動きやすい靴を履いて並んで歩くと、外を散歩しているだけの関係になれる」。

創造性も刺激

 歩きながらの仕事の話をするといろいろな発想が浮かびやすくなるとブレイシーさんは話すが、実はこれも研究によって裏付けられている。2014年にスタンフォード大学が行った研究によると、動きながら頭を使うことでクリエーティブな発想が浮かぶ可能性が60%も上昇するという。同研究は176人の生徒を対象に実施。あるアイテムを渡されてその使い道をできるだけたくさん考えるように指示したところ、座った状態よりも歩いた状態で考えた方がより多くのアイデアが生まれる結果となった。

 ミネソタ州ミネアポリスのジェフ・ドネイさんは、電話で話しながら歩くことが多いと話し、今回もワイヤレスのヘッドセットをつけてオフィスを動き回りながら電話取材に応じてくれた。人材派遣やコンサルティング業を行う会社で働くドネイさんは、メイヨ・クリニックの研究を見て仕事中に運動を取り入れることを同僚らと決めたという。現在は毎月2回の頻度で30分間の歩きながら会議を開催。会議の場は会社近くの公園が多い。

 ロンドンで働く会社員のポール・ヌキさんは、以前の会社で遠距離を歩く会議を計画。しかし長距離散歩会議の行程がきつすぎたのか、そのうち会議の日には「3人か4人は有休を取るか体調不良で会社を休むようになった」という。ヌキさんは現在ステップジョッキーという会社を設立し、会社での階段利用などを通して運動を推奨する活動を行っている。

 ヌキさんは、歩きながらの会議もあくまでも仕事なので、ゴシップ話をしてとりとめもなく歩くだけのセッションにしないようにしなければならないとアドバイスする。また歩きながら会議を実施していることを事前に社内に通達しておくことも大切だ。

「仕事中にもかかわらずカフェの方角に向かって歩いているところを目撃されたら、デスクを離れてサボっている?と上司に疑われるのが自然だ」とヌキ氏は話す。

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