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日本の役所は能力のない人が上級職には多すぎる。社会保障を良くするには、数理の専門家を要職におかなければダメだ―「賢人論。」第23回(中編)高橋洋一氏

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「賢人論。」第23回(中編)高橋洋一さん「日本の役所は能力のない人が上級職に多すぎる。社会保障を良くするためには、保険数理の専門家を要職におかなければダメだ」と語る

日本の財政が破綻する可能性は極めて低いとする見方が強い高橋氏は、「介護は衰退分野ではない」と言い切る。しかしながら、2015年4月には介護報酬が大幅に引き下げられたのは事実であり、“介護保険制度は維持できるのか…”と疑問視する声さえある。氏によれば、保険のひとつである介護保険も保険数理によってデータを公表すべき…という。さらに、国の機関と「専門家」の関係性についても話が及んだ。

取材・文/猪俣ゆみ子(編集部) 撮影/松川周一

保険である以上は、独立した第三者が介護保険料を計算する仕組みを作るべき。介護の財政を透明化して、今後の見通しをはっきりさせたほうがいい

みんなの介護 前編「有識者をはじめとする多くの人は、国に騙されている。財政破綻なんて、言っていることはホラー小説と同じ」では、日本の財政が破綻する可能性は極めて低いと伺いました。そうであれば、昨年に介護報酬が大幅に引き下げられたような点には矛盾を感じてしまいます。

高橋 介護保険も保険のひとつですよね。私がもし保険数理(保険業務に関する数学的な計算や理論)を担当するなら、保険数理できちんと説明しますよ。それで、“どうしてもしょうがない”となるんだったら納得するかもしれないけれど。基本的に、社会保障というのは、ほとんど保険数理の世界なんですよ。だから、保険数理で説明すればいいと思いますけどね。

みんなの介護 それを、財務省なり厚生労働省なりがきちんと説明してくれればいいわけですよね?

高橋 すればいいと思いますよ。年金のアクチュアリー(保険数理士)ってね、実は厚生労働省にはいるんです。ただし、財務省にはいません。だから、財務省には保険数理のことはわからないと思いますよ。そういう専門家がいないから、介護保険とか医療保険の詳細はわからないんじゃないかと思います。保険の原理を使っている会計は他にもあるんだけれど、専門家はいないんです。だから、デタラメやっているんじゃない。

普通、民間の保険会社でこの手の話で保険料率を決めるときには、保険の数理というアクチュアリーが認定するんです。こういう事象があって、こういう確率で、保険収入と保険支出の差額があって、と一律のデータをアクチュアリーが認定して、いろいろな諸官庁に届け出てOKをもらう仕組みになっています。

でも、社会保険の場合はそういうのがないんです。不思議でしょうがないですよ。私なんかはかつてアクチュアリーをかじっていたからそう思うんです。でも、実際はアクチュアリーじゃない人がやっているんだから、デタラメだと思いますよ。

みんなの介護 先生が考えるに、問題点はそこだ、と。

高橋 少なくとも、私がやっていた年金の話で言うと、厚生労働省の年金のアクチュアリーが言っていることはそれほど間違いではありません。将来の人口動態を予測しながら、5年に1回ずつ変えていけるんです。これと同じようなやり方を介護保険や医療保険でやっているかというと、私は介護や医療は専門外だから詳しくはわからないけれど、やっていないような気がするけどね。だから、けっこういい加減な雰囲気で言っているんじゃないかと。

保険料率を何%上げるとかって、保険数理の場合は厳密なデータにもとづいて出てきますから。保険会社というのは、保険料率をデタラメにやると、保険料を取り過ぎてしまったり足りなくなってしまったりして、大変なんですよ。もちろん、取り過ぎたら、あとで返さなければならなくなるから。介護保険がどこまできちんと数理でやっているかわからないけれど、少なくとも年金に比べたら、厳しくやっていないと思います。

みんなの介護 それは介護報酬の引き下げ率を見るに、そう思われるんですか?

高橋 そうです。他の年金で似たような分野に、厚生労働省が管轄の雇用保険があります。これも、保険数理にもとづいているんですよ。だいたい給料の1%くらいを支払っているんですが、アベノミクスのあとは失業率がずっと下がっていたんです。失業率が下がっているということは、保険の失業給付が下がっているということです。それなのに、アベノミクスのあとの3年間、雇用保険料率が一定だったんです。だから、「おかしいんじゃないの」と言いました。

みんなの介護 失業率が下がっているのに保険料率が一定なのはおかしい、と。

高橋 当たり前ですよ。保険料率が一定で、失業給付が下がったら、お金が余ってしょうがないんですよ。だから、安倍総理に「保険を還元しなさい」と言ったんです。保険料率が高いまま5、6兆円積み上がっちゃったからね。やっぱり、言われたらみんな「え!」と思うんですよ。

こうやって、収入と支出をいつもチェックして合わせるのが保険数理の専門家の仕事なんです。介護保険も、そういうのがチェックされているのかどうなのかっていう話。一定した知識がないとできないことなんだけれど、保険と名称がついている以上は、原理は一緒なわけです。アクチュアリーは独立した第三者にあたるわけですが、そういう人がきちんと計算する仕組みを作るのが重要なんだと思いますよ。

みんなの介護 まさに、それが国の仕事なのでは。

高橋 そりゃ私もそう思いますよ。私が年金の話をスラスラと答えられたのは、年金数理を知っているからです。人口が減る以上、年金が減るのはしょうがないし、下がったと言ってもせいぜい数%なんですから。

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