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日本が、この超高齢化社会をどう乗り越えていくのか。そこには人類の期待がかかっているんです - 「賢人論。」第10回片山さつき氏(中編)

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前編「両親、義父母の死をきっかけに「未病」への理解の重要性を痛感した」では、自身の介護経験についても語ってもらったが、中編となる今回は、介護現場の業務の合理化を図るための対策について言及。その答えはICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)、そしてIoHH(インターネット・オブ・ヒューマンヘルスケア)にあるとのこと。さて、その具体策とは?

取材・文/安濃直樹(編集部) 撮影/伊原正浩

この現代社会で、介護にICTの技術を活用しないことがおかしい

みんなの介護 前編「特養の入居待ちは大きな問題。厚生労働行政が改善に尽くさなければ」では、特養の運営における現状の問題点を指摘していただきました。その問題を解決するために重要なこととして、ICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の活用を挙げていただきました。

片山 この現代社会でICTの技術を活用しないことがおかしいと思いませんか?

みんなの介護 以前の「賢人論。」で、ちきりんさんが「個別に自動化できる作業は、まだいくらでもあるはず」とおっしゃっていました。それは、介護にも通ずるところですね。

片山 これはお年寄りだけじゃなく、子どもにも使える技術ですが、室内にセンサーをつけることで誰が、どのように動いたかということがわかる技術があります。これを介護施設に導入するだけで、見回りの業務が相当楽になりますよね。当然、人材不足解消の一手にもつながるはずです。

あとは、着ているだけで体の状態がわかるウェアラブルな機器の導入もそう。特養なんかは、入居者が着る服も同じものになりますよね。その服や、またスリッパなんかにウェアラブル・デバイスを付けておくだけで歩行状態から要注意かどうかがすぐにわかる。これもまた、問題解決の一手になるでしょう?

みんなの介護 おっしゃる通りです。

片山 そうした技術を活用して、効率化を図って、特別養護老人ホームをちゃんと運用していくこと。年金受給者でも費用面で不安を感じることなく特養に入居できるようにする、入居待ちも解消させる。それが厚生労働行政というものですよ。

そもそもですが、今この瞬間、都道府県別でどこの特養がどのくらいの入居率で、空いているっていうデータを、厚生省が持っていないんですよ。いつも事後的で、そのことも問題ではありますよね。

みんなの介護 介護を統括する厚生労働省が全体の数字を把握していないというのは、やはり問題ですね。

片山 特養は、公的な援助を受けた社会福祉法人が運営しているわけですから、その管理ができていないというのは大問題ですよ。空床があることへの罰則があるんじゃないか?とか不安がっている事業者もいるみたいですね。でも、そんなものはないから、「とにかく待機者数が大変なことになってるんだから、どういう状況になっているのか提出しなさい」と言わなければ。

ICTの活用なんかは、導入する施設が増えるだけコストも安くできますし、今後、一般化するのにもそんなに時間はかからないでしょう。やれるんだから、とにかくやれば良いんですよ。


この超高齢社会をどう乗り越えていくのかは、人類の未来がかかっていると言っても過言ではない

みんなの介護 そうしたICTの技術を活用することで未病の状態をいち早く察知することができ、結果として健康寿命の延伸につなげられる。そうした内容を、片山さんの著書「未病革命2030」で具体的に理解できました。

片山 先日も、川崎で社会福祉法人として介護施設を運営されている事業者さんが「未病革命を読んで、ぜひお会いしたい」と仰ってくださいました。お会いしたときの話では、「今の社会の体制は、老人ホーム業者や社福を運営している人が、利用者さんが来て良かったと喜べる状態を超えているんですよ。これで地震でも起きたら、全員見殺しにするしかありません」と。それを改善するための、ICTの活用なんです。

みんなの介護 非常事態というか、異常事態というか…ですね。

片山 「未病革命2030」は、安倍総理にもお渡しして、ざっと読んではいただいたんですよ。そうしたら、「すごく分かりやすい」「これがリアルなんだね」とご理解していただけましたよ。

フラストレーションをもった、どこか体に異常を感じている人の人口の比率が、一国の中で大きくなりすぎているのが現状です。そんなフラストレーションが溜まった社会はあり得ないですし、やはり責任ある政治としてこの状態を作ってはいけないですよね。

みんなの介護 そもそも、これだけ高齢者の割合が大きな人口構成の国なんて、今まで地球上に存在したことがないですね。

片山 だから、日本がこの状況をどのようにしてクリアしていくのかということには、世界中の人類の期待がかかっているんです。先日も議題に上がりました。長生きの安心な国を作ろうとしたのに、長生きしたらみんな「長生きリスク」とか「長生き不安」とか言い出している。長生きすることにばかりに気を取られて、なんでもいいから寿命を延ばそうということにとらわれた結果ですよ、現状は。

医学者で、良心的な人はみんなそう思っていますよ。製薬会社ですら、やり過ぎたかなと思っている。だから今こそ、健康に長生きするということ、「ピンピンコロリ」というのはどういうことなのか?どうすれば、そこに持っていけるのか?と、真剣に考えなければいけないんです。

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