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体がだんだん弱くなって病気の状態になるかというのは白か黒かの判断じゃない。だから「未病」への理解が大事 - 「賢人論。」第10回片山さつき氏(前編)

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「賢人論。」第10回(前編)片山さつきさんは「体がだんだん弱くなって病気の状態になるかというのは、白か黒かの判断じゃない。だから「未病」への理解が大事」と語る

参議院議員、片山さつきさん。東大法学部を卒業後、大蔵省に入省して国際金融局課長補佐(女性初のG7・サミット政府代表団員)や大臣官房政策評価室長、主計局主計官など要職を歴任してきた才女の中の才女である。そんな彼女が、昨年12月に出版した著書「未病革命2030(日経BP社)」が話題となっている。未病の理解の重要性を語る上で外せなかった、自身の両親・義父母との別れをはじめ、特養の待機者問題にまで広がりを見せたインタビューは必見。

取材・文/安濃直樹(編集部) 撮影/伊原正浩

両親、義父母の死をきっかけに「未病」への理解の重要性を痛感した

みんなの介護 昨年末、片山さんの「未病革命2030」という著書が話題となりました。未病とは、「病気と言うほどではないけれど、病気に向かいつつある状態のこと」といった定義がされていますが、そもそも片山さんが未病についての本を書こうと思ったきっかけは何だったのでしょう?

片山 きっかけ…大きなものではありませんが、振り返ると、夫の両親の死、そして私の両親の死が頭にあったことは確かですね。

みんなの介護 みなさん、もう亡くなられているんですね。

片山 私たち夫婦はともに一人っ子で、4人とも看取ったんですが、それが4者4様だったんですよ。最初に亡くなったのは夫の父親で、ある日、ポリープがあるのが判明したんですが、それと同時に腎臓の機能もかなり低下していることもわかって。透析を始めても、それがうまく効かなくて。3ヵ月くらい入院したんですが、非常に苦しんで亡くなったんですよ。

亡くなったのは78歳。1年でも前にきちんとチェックしておけば、生活習慣を改善していれば、こんなに苦しまないで済んだのに…と思ったのをよく覚えています。

みんなの介護 まさに「未病」の段階で発見できていれば…という感じですね。

片山 そうですね。それで、次に亡くなったのは私の義母。フラダンスの稽古に通うくらい元気に過ごしていたんですが、ある日、稽古から帰ってきたはずの翌日に電話をしても出なくて、心配になって夜に様子を見に行ったら冷たくなっていて。大動脈破裂でほぼ即死だったそうで、いわゆるピンピンコロリということになるでしょうか。

みんなの介護 お義父さまが亡くなったときの状況とは、確かにまったく異なりますね。

片山 その次に亡くなったのが私の母で、認知症になり、その後に肺炎を起こして療養病床に入院したんです。心臓がすごく丈夫な人だったので、胃ろうをして、気管切開をしても心臓だけは丈夫で。延命措置もしてもらったおかげで、療養病床に入ってからもわりと長く生きましたね。

みんなの介護 そして最後が、片山さんのお父さまですね。

片山 一番長生きしたのが私の父なんですが、実は4人の中で一番病弱だったんですよ。なおかつ、江田島の海兵で広島のキノコ雲を見てるくらいですから、やはり自分の生死に臆病というか慎重というか。週に1回は医者に行くような人だったんですが、だからこそ93歳まで長生きしたんでしょうね。

みんなの介護 それこそ、未病の段階で小さな異変にも気づくことが大切だ…と。自ら経験しているからこそ、改めて今、その重要性について訴えられたんですね。

「賢人論。」第10回(前編)片山さつきさんは「両親、そして義父母の4人を看取ってきた。その私が痛感しているのが「未病」への意識の大切さなんです」と語る

「未病」という概念が理解されるための社会を整備するためには、今のソリューションではダメ

みんなの介護 認知症のご家族の介護も経験しているんですね。当時の状況はどのような感じだったのでしょうか?

片山 母親がアルツハイマー型認知症で、肺の血栓のために進行が早かったんですね。80歳で倒れた時に精密検査をしたんですが、その時点でようやく判明したという感じ。もう、タウやアミロイドβも溜まっていたんでしょうね。その量は、認知症になる人もいれば、ならない人もいる…というレベルだったんですが、肺の3分の2が使えないのであちこちに血栓があって、それが認知症を進行させた理由だろうと。

母は病院が大嫌いな人で、「医者になんか連れていかないで!」って、かなりきつく言われていました。でも、今考えるとそれがいけなかったんでしょうね。

みんなの介護 発見が遅れると症状の進行が早くなると言われますからね。では、お父さまの時はどうだったのでしょう?

片山 父は、それこそ認知症の症状が大きく出ました。自宅に絵の展覧会への出展なんかが来て、それに200万も300万も使っちゃうんですよ。うちは大学教授で、資産家でもなんでもなくて、蓄えは多少あったものの定期預金や株になっていたので、仕方なく私が立て替えて払ったんですけど。

結局、93歳で息を引き取るように静かに亡くなりました。と思い返してみると、病気で倒れた人、突然亡くなった人、認知症になった人を見てきたことになりますね。介護に関しては、自宅も介護施設も経験した。本当にいろんな経験をしてきた上で、改めて感じるのが「未病」というキーワードの大切さなんです。

みんなの介護 「未病」という言葉がまだ一般に周知されていないのが現状でしょうか。となると、社会的な整備もまだまだ…ということになりますね。

片山 私は大蔵官僚のときに厚生労働行政の予算についてある程度は口を出せる立場にいましたし、政治家になって10年が経っていろんな知見も増えました。その私が感じているんです、今のソリューションではダメだ、と。

みんなの介護 どのあたりが「ダメ」なのでしょう?

片山 まず、医療と介護が完全に分かれてしまっているのが良くないと、私は思います。私の両親も、介護施設に入っていて、具合が悪くなるたびに私たちが付き添って病院に連れて行って入院して。で、退院するたび、さらに具合が悪くなって帰ってきたんです。物理的な話ですが、動かすから、です。体がだんだん弱くなって病気の状態になるかというのは、白か黒かじゃない。全部グレーで、それが「未病」という状態なんだということが、広く理解されないといけないんです。

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