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9.11が米国に与えた健康被害、多種のがんからPTSDまで

Bruce Y. Lee ,CONTRIBUTOR

ニューヨークの世界貿易センタービルに航空機2機が突っ込んだ米同時多発テロ事件の発生から、9月11日で15年を迎えた。ニューヨークに住む多くの人たちは、2,996人が死亡したあの日からずっと、事件の記憶と共に生きている。

一方、事件後に亡くなった人の数や、事件をきっかけに発症した病気で今も苦しんでいる人の数はいまだに明らかになっていない。

問題は、崩れ落ちたビルから立ち上り、マンハッタン島南部を覆った煙には、航空燃料からアスベスト、繊維ガラス、金属、廃棄物、ごみ、糞便物質などのさまざまな有害物質が含まれていたということだ。そして、その他に何が含まれていたのか、誰にも分からない。

当局関係者は事件後すぐに、住民たちにニューヨークに戻ることを勧めた。恐らくこの金融街をできるだけ早く、元通りに稼働させたいとの考えからだろう。しかし、それが安全だと断言した当局の判断は、時期尚早だったかもしれない。

事件で発生したがれきとそこに含まれた有害物質の多くは、その後も長期間にわたって、この地域に残された。複数の調査の結果、救助隊員たちや清掃作業にあたった人たち、周辺地区で働く人たちや住民の多くが、健康への悪影響を受けたことが分かっている。

事件に関連した健康障害(病名)のリストはその後も長くなり続け、次のような心身の症状を含むようになっている──ぜんそく、喉頭炎、胃食道逆流症(GERD)、間質性肺疾患、反応性航空機能不全症候群(RADS)などの肺病。不安障害やうつ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物乱用などの慢性的な精神的健康への影響。リンパ腫や白血病、中皮腫、結腸がん、頭頸部がん、乳がん、膀胱がんなど、さまざまな種類のがん。

これまでの研究で明らかになっている病名は、ごく一部にすぎない可能性もある。医療保険に加入していなかったことや、言語や社会・文化的な問題の影響で、診察を受けていない周辺地域の住民も大勢いるだろう。

医療制度改革が犠牲者の慰霊に

犠牲となった人たちに追悼の意を捧げることは、多くの人たちにとっての癒しにもなるだろう。だが、どのような惨事であれ、それと向き合う上で最も効果的なのは、前向きな変化が継続していると分かることだ。事件後、そうした変化(改善)は十分にみられているだろうか。この点については、米紙ニューヨーク・タイムズなども疑問を呈している。科学研究や環境衛生、医療、緊急対応について必要な改善点として挙げられるのは、主に次のようなものだ。

1. 惨事に見舞われた後、特に他者によって引き起こされた事件の発生後、影響を受けた人たちにはなるべく早く元の生活に戻るようにとのプレッシャーがかかる場合がある。

だが、急いで元の暮らしに戻ろうとすれば、ケガやその他の影響を悪化させる可能性がある。深い心の傷となるような出来事や自然災害の場合でも、交通事故などからの回復と同じようなプロセスが必要だ。

2. 環境衛生と慢性疾患に関する研究をさらに促進する必要がある。ニューヨークに住み、働く人たちに対し、大気中や水中、地中に含まれる有害物質はどのような影響を及ぼしてきたのだろうか?国内の他の地域にも、同様の有害物質の影響を受けた場所はあるだろうか、あるとすれば、その程度はどれくらいだろうか?

3. 惨事・衝撃的な出来事の発生時とその後において、巻き込まれた人たちのために、何を改善する必要があるだろうか。消防士、警官、医療従事者、その他の救助者たちが用いる装備や制服を改善すべきだろうか?これらの人たちに必要な事前の準備、新たに検討すべき救出行動手順とは何だろうか?

4. 精神保健のためのリソースやサービスを全米レベルで改善することは可能だろうか。多くの人がPTSDその他の精神的な症状に苦しむこと、専門医の診察などを受けられない場合があることは、社会にとって有用ではない。

5. 医療制度全体を改善するため、より組織的に取り組むことはできないだろうか?米国の医療制度は崩壊しているとの指摘も多い。その改善に向けた集中的かつ現実的な努力がみられることは、同時多発テロ事件がもたらした素晴らしい遺産になるのではないだろうか。

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