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第三者「御用」委員会が後を絶たないのはなぜか

 どうもわれわれ日本人は、自らの失敗を顧みることがとても苦手なようだ。

 最近、第三者委員会という言葉をよく聞く。独立調査委員会や外部委員会などと呼ばれることもあるが、企業や組織に不祥事が起きた時、組織から独立した委員たちが事実関係を検証した上で、その責任の所在や原因を究明したり改善策を提言する委員会のことだ。

 ところがこの第三者委員会が、ほとんど機能していない。機能していないばかりか、第三者委員会の大半は御用委員会と化し、大甘の調査報告書を出してお茶を濁す程度で終わっている。その結果、企業では更なる信頼の失墜につながったり、公職者の場合、辞任に追い込まれたりするなど、かえって状況が悪くなるケースが続出しているが、それでも御用委員会は後を絶たない。

 企業では東芝の不正会計の調査委員会が、その代表例だ。朝日新聞の従軍慰安婦報道の調査委員会のように、あれこれ辛口なことは言いながら、結果的に何ら有効な提言をできず、企業の信頼回復に寄与できなかった委員会も多い。個人レベルでは不適切な公金の流用が疑われた舛添要一元都知事も、元特捜検事が行った大甘な調査の結果、辞任に追い込まれている。

 直近では東京五輪招致をめぐる不正な支出疑惑を調査したJOCの調査委員会が、ほとんどろくな調査もせずに「問題なし」の結論を出したことで、かえって疑惑が深まる結果を生んでいる。

 それでも、御用委員会は一向に後を絶たない。

 思い起こせば、日本は先の大戦すら総括できていないと指摘されて久しい。勝者が敗者を裁いただけの東京裁判では真相の究明などおぼつかないし、それを批判する声もよく聞くが、では独自に自らの歴史を検証し、失敗の原因や責任の所在を具体的に指摘したという話は、ほとんど聞こえてこない。小泉政権によるイラク戦争支持にしても然り、福島原発事故についても然りだ。

 福島原発事故では政府、国会、民間の3つの異なる調査委員会が組織され、それぞれ独自の調査を行っているが、未だに事故の原因が、もっぱら津波だったのか、地震もその一因だったのかといった基本的な疑問にさえ決着が付いていない。責任の所在も曖昧なため、あれだけの大事故を起こしておきながら、5年後にはほとんど事故前の状態に戻っているという有り様だ。

 企業の第三者委員会の報告書を評価する「格付け委員会」を主宰する弁護士の久保利英明氏は、第三者委員会の多くが御用委員会と化す理由について、日本では第三者委員会の委員に選ばれた弁護士や有識者たちが、調査の依頼主の方を向いているところに原因があると指摘する。第三者委員会を設置する本来の目的は、当事者だけでは厳しい調査や検証ができないため、外部から委員を招いている。ところが、いざ調査が始まると、第三者委員会もが内集団の一部になってしまうというのだ。

 ところが企業のステークホルダー(利害当事者)は経営陣や社員だけではない。顧客は言うに及ばず、株主、市場、地球環境、地域社会、消費者など、企業の影響は社会全体に及ぶ。第三者委員会がそのステークホルダー全体に対して説明責任を負っているという認識が、日本ではまだ希薄だと久保利氏は指摘する。

 特にその発想が社長にないところが、日本企業の弱点であり遅れているところだと、久保利氏は言う。

 しかし、その発想が欠けているのは企業ばかりではない。本来はステークホルダーのはずの社会の側も、必ずしもそこまで厳しい調査や検証を求めていないところがある。実際、第三者委員会によるいい加減な調査だけでお茶を濁したまま、経営陣が役職にとどまっている企業や、公職にとどまっている政治家は多い。社会の側にそれを容認する余地があるからこそ、御用委員会が後を絶たないのだ。

 しかし、こんなことを続けていると、社会が持たない。企業は市場から見放され、政治不信は高まるばかりだ。日本や所属組織という内集団の掟だけに縛られ、それを守っている限り、後は全てなあなあで済まされた時代は、とうの昔に終わっている。

 なぜわれわれは自らを顧みることが、こうまで苦手なのか。その最も身近な例であり、その試金石ともなる第三者委員会を機能させるために今、われわれは何をしなければならないのか。第三者委員会を機能させることが、日本社会を正しい方向に導くことにつながると語る久保利弁護士と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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