記事

介護支援が足りてない地域で特区をつくって進めれば良い。「日本の介護を・・・」なんて大きく考えるからダメなんだ―「賢人論。」第16回成毛眞氏(前編)

1/2

かのマイクロソフトの日本法人元社長、成毛眞(なるけまこと)氏。退社後には投資コンサルティング会社『インスパイア』を設立、大の読書好きが高じて現在は書評サイト『HONZ』の代表も務めるなど、ビジネス界に数々の足跡を残してきた。その著書、「これが「買い」だ:私のキュレーション術」「 情熱の仕事学」 など多数の著書からも、成毛氏が考えるビジネスの“極意”のようなものは存分に伝わってくる。そんな成毛氏に、ビジネスの視点から社会保障体制、そして介護業界が抱える問題点について斬りこんでもらった。

取材・文/篠塚祭典(編集部) 撮影/公家勇人

“褒める”のは良い。本人も楽だし、見ている方も楽しいじゃないですか

みんなの介護 今回、取材をお受けいただいて、成毛さんが登場する文献などを拝見してきたのですが、あまり社会保障に関して言及されているものが見当たらなくて。関心という表現でいいのかわからないですが、社会保障や介護関連の事柄には、あまり関心をおもちではないですか?

成毛 いや、そんなことはないんですが、言ってみればセンシティブなことなので、あまり言及しないんですよ。それと最近、私が代表を務める『HONZ』という書評サイトやFacebookなんかもそうなのですが、意図的に“褒める”ようにしているんです。テレビや政治も、他人の悪口ばかりで嫌気がさしてきちゃって。見ていて気分良くないですよね?

みんなの介護 確かに、見ていてうんざりするようなものもありますね。でも、褒めるのもバランスの取り方が難しくないですか?ひとつを褒めるとカドが立ったり、他のものが褒めにくくなったりとか。

成毛 うーん、でも最近はだいぶ増えてきていますよね、褒め系のコンテンツ。きっと、読み手の皆さんも悪口大会に飽きてきているんだと思います。

それから、意地悪な人は読者の対象にしなければいいんですよ。ブロックです(笑)。良い人と悪い人って厳然とわかれますし、合う合わないもあるので、すべての人に認められなくてもいいのかなって。大げさに言うと、日本人が1億3,000万人いるんですから、半分の人と合わなくてもまだ6,000万人以上いるんですから。その人達を対象にしたコンテンツを提供すれば、本人も楽だし、見ている方も楽しいですしね。

みんなの介護 介護や社会保障というものは、やはり褒める対象にはならないですか?

成毛 私的に、なり「づらい」というだけなんですけどね。それから、それぞれ専門もありますからね。社会保障制度や政策を考えるような人は、きっと、広くあまねく考えられる人であって、私は政策論というものがどうしても苦手で。

万人に受けるものを考えていると、山の高さが上がらないんですよね。ベタっと平面的になっちゃうというか。山のてっぺんが上がると、その次の層がもう少し上がって、その次の層も上がって…そうすると、国全体が持ち上がる。上をすごく高くすると、あらゆる人に適応するサービスが生まれると思うんです。山高ければ裾野広し、です。


毎月10万円ずつ給与を増やせば介護職員を確保できるかもしれない。けれども、そんな財源がないんだから別の方法を考えなくちゃ

成毛 突出したものがないとつまらないと思うタイプなので、“べき”論はあまり好きじゃないんですよね。

みんなの介護 昔からずっとそういう考え方だったんですか?

成毛 ベンチャー企業の経営者には、そういう考え方の人が多いかもしれないですね。染み付いちゃっているんでしょう。日本全体とかそういう考え方じゃなくて、飛び抜けた何かを考えてしまう。

私や堀江(貴文)君や、そういう考え方の人間が何十人か集まると、たまたま日本全体のことになったりもするんですけど、そうやって何十人の人が集まるからそうなるだけであって、一人じゃダメなんです。

みんなの介護 でも、そういうビジネス目線の方のほうが、合理的に物事を進められたりするのかなと思う部分もあります。

成毛 何か物事をみるときに、「どう合理化するか?」ということを考えるからでしょうか。介護とは少し離れますが、最近世の中を騒がせている待機児童問題ってありますよね。気になっていろいろ調べたんですけど、全国の小学校の空き教室は6万4,000室もあるそうなんです。

そこを保育所に使えるじゃないですか。でも文部科学省は、そこに保育所を作りたくないから、いかにも使っているように装うわけです。「社会教育に使っています」とかね。他にも空いている家やビルもありますが、空いていればどこでもいいというわけじゃなくて、固定資産税を払っていない学校がいいんです。そういう財務的な感覚も必要ですね。

みんなの介護 場所が確保できても、保育士の数が足りないという問題もありますね。

成毛 例えば配偶者特別控除の130万円を、保育士の場合には390万円まで引き上げるとか、5年間は控除額をもっと上げてしまうとか。補助しようとしないで、出る金額を抑えれば良いじゃないですか。効果としては一緒ですからね。

介護職員の話にしたって、介護職が40万人足りないわけで、毎月10万円ずつ給与を増やせば、一般企業からも介護職に転職する人も出てくるかもしれません。でも、年間一人あたり120万円で、40万人だとすると4,800億円。そんな財源がどこにあるんですか?ないですよね。だったら、補助を手厚くすることを考えるんじゃなくて、出る金額を抑えることを考えなきゃ。

あわせて読みたい

「介護」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    保育士を見下す堀江氏のさもしさ

    赤木智弘

  2. 2

    若者は現実政党しか信じなかった

    門田隆将

  3. 3

    枝野氏「ツイッター担当が優秀」

    キャリコネニュース

  4. 4

    党名変え分裂繰り返す野党は不要

    かさこ

  5. 5

    自公圧勝、改憲手続き進む可能性

    ロイター

  6. 6

    立憲健闘は反小池票集めただけか

    新井克弥

  7. 7

    このハゲー!豊田真由子氏が落選

    AbemaTIMES

  8. 8

    元都民ファ議員 小池氏にエール

    上田令子(東京都議会議員江戸川区選出)

  9. 9

    自民の過半数議席の獲得は確実

    ロイター

  10. 10

    自民党が圧勝 単独過半数の勢い

    BLOGOS編集部

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。