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哀愁漂う、「食べログ文学」の世界。

「食べログ」がきな臭いようで、こんな情報が飛んでいる。

もともと、怪しげなことをやるようなビジネスは、どこかうまく行ってないことが多いんだけど、感覚的に言って、あのサイトの影響力は段々と低下していると思う。

インスタグラムなどの影響もあるだろうし、近くで探すならグーグルマップから検索しても、大体の見当はつく。ちなみに自分の周りの友人は、あのレビューを信じていない人ばかりで、まあスターバックスをうまいと思ったことがないようなタイプである。

でも、一番の原因はあのレビューの文章に漂う、独特の香りにあるのではないかと思ってる。

そもそも、食を文章にするのは難しい。そもそもが、「おいしさ」は相対性が強い。エリアによっても違うし、同じ人でも時によって異なる。打ち上げのビールはうまいが、通夜のビールは苦い。

それに、単なる味覚の鋭敏さであれば、人間以外の動物の方が鋭いのではないか。家の猫に、たまに刺身をやるが養殖はまず食べない。しかも、クンクンと匂いを嗅いでから、不審そうな顔をして去っていく。

ちなみに、この話をSNSに書いたら、猫飼いはみんな「そうそう」と言った。

まあ、味覚なんてそんなものだと思う。

話が逸れた。まあ、そういう味に関することを懸命に書けば、大概は野暮になる。まして点数をつけるというのは、それは「お上りさん」の趣味だろう。ミシュランが旅のガイドに由来すると言うのは、そういうことだ。

かろうじて文章として成立するのは日記や紀行だと思う。その人の日々がまずあって、その中に料理が顔を出す。味の批評ではなく、味わいの記録だ。
そう書くと簡単そうだが、池波正太郎以来、それを超えるような作品はあるのだろうか。有名と言われる作家でも、食の話になるとどこか物欲しげで、卑しさのようなものが漂っていることに、驚くことの方が多い。

それほどに、食を文にするのは難しく、まして批評として成立させようとすると、なぜか哀愁が漂ってくるのだと思う。

「食べログ文学」には、半端な衒学と高踏さがあり、みないろいろ言いながら「食したり」「いただいたり」している。それは、批評というものをしてみたい人々の表現欲求をかなえて、ささやかな承認欲求を満たす場でもあるのだろう。そして、時には優位性のドラミングもある。

しかし、その文章に力が入るほど、哀愁もまた強まってくる。

そうした独特の香り漂うサイトの文章は、楽しく食事したい人たちには妙な空気感となって、若い人、ことに女性がインスタグラムなどを使うのも何となくわかる。

ただ、たまにものすごくユニークなレビュアーもいて、自宅近所の立ち食いそばについて、1人でもう何回も書き足している人がいた。「今日はだしが濃いめ」「麺が固め」「いつものおばちゃんの機嫌が悪い」など、ひたすら淡々と立ち食いソバの「ログ」になっている。あそこまでいくと、山田風太郎的な世界で、それはまたすごいかもしれない。

いずれにしても、まあ食べログというのは、相当曲がり角を過ぎたサービスになっているということなんじゃないか。

それは、日本の食文化にとっていいことだと思うけどね。

【追記】そうだ!絲山秋子のエッセイ「絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか」はとても面白かった記憶がある。自分で食事を作る話だけど、食に対しての姿勢が、生真面目過ぎず、かといって斜に構えているわけでもなく、もちろん説教臭くはない。なにより、生活が主役のエッセイだ。そして、群馬の食材は実はおいしいものが多いと知り、近所にある群馬の産直店でよく野菜を買うようになった。

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