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ディスるしか能がないような連中が増えているが、そんな人間にイノベーションやクリエイティブなことができるわけがない - 「賢人論。」第20回(後編)鈴木寛氏

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今回のインタビューは学者・スズカンとしてご登場いただいているが、鈴木寛と言えば、通産省官僚時代から人材育成に熱心で、国会議員としては文部科学副大臣まで務めた人物。だからこそ、「豊かな社会にするためには教育が重要」という氏の言葉にも頷ける。教育論から、さらにはメディア論まで飛び出した、スズカン先生の「賢人論。」、注目の後編、スタート。

取材・文/安濃直樹(編集部) 撮影/公家勇人

本気で、歯を食いしばってでも自分の与えられた裁量の中で最善を尽くすという覚悟をかためないとダメだ

みんなの介護 前編「20~30年のうちに日本経済は破綻する。その点は間違いないので安心してください」では、公的な、国民に共通の“幸せ”を追求するような公共教育を推進して、シルバー世代も含めて、その考え方を浸透させなければ、といったお話をいただきました。ただ、ものすごく高いハードルであるようにも感じてしまいます。

鈴木 難しいですよ。でもね、政治も悪かった、メディアも悪かった、国民も悪かった…という絶望的な過去を辿ってきた中でも、それぞれに裁量権を持ってはいるわけで。そんな中で、私はまだ、熟議の民主主義を諦めてはいないんですよ。

みんなの介護 「熟議民主主義」というのは、先生が文部科学省の副大臣だった頃に掲げたビジョンですね。“熟議”の定義を、文部科学省の資料から引用します。

熟議とは
より多くの現場関係者が公共圏に集い・連携・協働して、まずは情報を収集・共有・学習し、直面する問題の状況と構造を理解し、議論を熟し、熟議を通じて、直面する問題についての理解と信頼が深まり(社会資本が増加)、自ずと解決策が提案され・洗練さ れ、それぞれの役割(人・モノ・金・情報)が浮き彫りになり、衆知を集め、エネルギーを結集して、みんなで汗をかいて、協働することにより、それぞれが自覚と尊敬と感動をもって問題解決にあたる。

鈴木 熟議民主主義を通じて、有権者それぞれの利害の集計ではなくて、みんなが当事者として熟議をすることによって、いろんな気づきや学びを得て、悪循環になっていることに気がつきます。そうして、好循環にするためにはどうしたらいいのかということをだんだん深く理解し、信頼関係ができ、自分だけがバカを見ないということに信頼関係が醸成される。さらに、協働コラボレーションが創発する必要条件というのが「熟議」なんですよ。

私がずっと提案し続けているコミュニティ・スクールもそう。今、3,000校まで増えてきて、ようやく芽生えてきたのかな?という実感が出始めたところです。

みんなの介護 コミュニティ・スクールの話が出たので、少し説明させてください。公立学校の運営や管理に際して、地域住民が積極的に関わっていくスタイルのことですよね。これはやはりボランティアが多いのでしょうか?

鈴木 そうですね。今、小学校・中学校あわせて約600万人の人がボランティアをしてくれています。1億人の大人に対して600万人…というのを多いと見るか少ないと見るかですが、少なくとも目覚めた市民が600万人はいるわけです。本当は1,000万人くらいいくところまで考えているんですが。

みんなの介護 スピードがなかなか追いつかない、という感じでしょうか。

鈴木 それでも、やり続けることは大事で。例えばですが、みんなが右へ5度、左へ5度くらいの裁量の幅はあるわけで、全員が5度ずつ良い方へ頑張れば良いじゃないですか。教育も5度頑張る。メディアも5度頑張る。政治も5%頑張る。そういうことを続けていけば、そのスパイラルで好循環に戻る可能性はゼロじゃないですよ。

つまりどういうことかと言うと、このままいけば本当にクラッシュしてしまうという現実をきちんと直視して、本気で、歯を食いしばってでも自分の与えられた裁量の中で最善を尽くすという覚悟をかためないとダメだということですね。

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