記事

蓮舫議員の二重国籍疑惑はネットデマでは?

1/2
蓮舫参議院議員の民進党代表選への立候補に絡んで、同議員の二重国籍疑惑を指摘するツイートやブログを昨日までにいくつか見た。

 確かに、先週読んだ産経新聞のインタビュー

 --出身の台湾と日本との「二重国籍」でないかとの報道がある。帰化していると思うが…

 「帰化じゃなくて国籍取得です」

 --過去の国籍を放棄し忘れているのではないかという指摘だ

 「ごめんなさい、それ分かんない。それを読んでいないから」

 --国籍法が改正されて、22歳までは日本国籍があるけども、そこで選択を迫られ、残った国籍は速やかに放棄しなければいけないという規定がある。それをしているかどうかという記事が出ている。首相を目指すのであれば、仮に台湾籍があるならば、ネックになると思うが

 「質問の意味が分からないけど、私は日本人です」

 --台湾籍はないということでいいのか

 「すいません、質問の意味が分かりません」


とあるのを読んだときには、意味がわからないこともないだろうに、何故きちんと説明しないのか、確認できないならできないと述べるべきではないのかと不審に思った。

 しかし、そういう私自身、外国人が日本国籍を取得する場合、どういう手続きになっているのか、詳しくは知らなかった。

 昨日、BLOGOSで宇佐美典也氏の「このまま蓮舫氏を代表にしたら民進党はもう終わり」というタイトルの記事を読んだ。

 この問題がそこまでのものとは私は思わないし、この記事の内容についても特に述べることはないのだが、その冒頭に

民進党代表選を前に蓮舫氏に関してアゴラを中心に二重国籍疑惑が騒がれ始めている。


とあった(太字は引用者による。以下同じ)ので、この問題はアゴラが発端なのかなと思い、アゴラを覗いてみた。

 すると、アゴラに9月3日付の池田信夫氏による「「二重国籍」問題についての整理」という記事が載っていたので読んでみた。
 池田氏はこう述べている。

蓮舫氏の国籍問題についての八幡和郎さんの一連の記事が反響を呼んで、いろいろな話が乱れ飛んでいるので簡単に整理しておこう。

一般論としては、法務省のホームページに書かれている通り、日本は国籍法で二重国籍を禁じており、「外国の国籍と日本の国籍を有する人は,22歳に達するまでにどちらかの国籍を選択する必要があります。選択しない場合は,日本の国籍を失うことがあります」。

1967年生まれの蓮舫氏は「日本国民である母と父系血統主義を採る国の国籍を有する父との間に生まれた子」にあたり、父系主義の旧国籍法では自動的に父親の国籍(中華民国)になったはずだ。したがって彼女が上の番組で「生まれたときから日本人です」と言ったのは、事実に反する。

しかし1972年に日本は中華民国と国交断絶したので、彼女の国籍は便宜的に「中国台湾省」となった(はずだ)。この「中国籍」というのは中華人民共和国と台湾を含む奇妙な国籍だが、法務省が一種の緊急避難として採用し、今日まで使われている。旅券などには混同を避けるために「台湾」と表記されるが、正式の国籍は「中国」である。

国籍法が改正されて1985年から国籍選択ができるようになったので、蓮舫氏は母親の日本国籍を選択した。しかしこのとき、中国籍を離脱しないと二重国籍になる。彼女は番組で「籍抜いてます。高校3年の18歳で日本人を選びましたので」と答えているが、国籍離脱の手続きをしたとは答えていない。

日本国籍を選択すると、戸籍には「日本」という国籍だけが記載されるので、本人も二重国籍に気づかないことがある。役所も外国でどう登録されているかはわからないので、放置することが多いという。蓮舫氏が「質問の意味が分からない」と答えていることから推定すると、彼女もこのケースではないか。

だとするとこれは単なる事務的ミスだが、結果的には違法状態だ。


 一見、なるほどなと思わせられる。

 しかし、この記事で池田氏がリンクを張っている「法務省のホームページ」を見ると、そこにはこうある。

2.国籍の選択の方法

国籍を選択するには,自己の意志に基づき,次のいずれかの方法により選択してください。

(1) 日本の国籍を選択する場合
ア 外国の国籍を離脱する方法
 当該外国の法令により,その国の国籍を離脱した場合は,その離脱を証明する書面を添付して市区町村役場または大使館・領事館に 外国国籍喪失届をしてください。離脱の手続については,当該外国の政府またはその国の大使館・領事館に相談してください。
イ 日本の国籍の選択の宣言をする方法
 市区町村役場または大使館・領事館に「日本の国籍を選択し,外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届をしてください。


(2) 外国の国籍を選択する場合
ア 日本の国籍を離脱する方法
 住所地を管轄する法務局・地方法務局または大使館・領事館に戸籍謄本,住所を証明する書面, 外国国籍を有することを証明する書面を添付して,国籍離脱届をしてください。
イ 外国の国籍を選択する方法
 当該外国の法令に定める方法により,その国の国籍を選択したときは,外国国籍を選択したことを 証明する書面を添付の上,市区町村役場または大使館・領事館に国籍喪失届をしてください。


 重国籍者が日本の国籍を選択する方法には、外国の国籍をその国の法令により離脱する方法のほか、「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する」旨届け出るという方法もあるとしている。

 念のため、国籍法を確認してみると、やはり

(国籍の選択)
第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。


とある。

 ならば、蓮舫議員が、池田氏の記事にあるように「籍抜いてます。高校3年の18歳で日本人を選びましたので」と答えているのが、ここでいう「選択の宣言」であるとすれば、それで問題ないのではないか。
 「国籍離脱の手続きをし」していなくとも、「結果的には違法状態だ」とは言えないのではないか。

 だとすれば、蓮舫議員が、先に挙げた産経のインタビューで「質問の意味が分かりません」と述べたのも、理解できなくもない。
 インタビュアーの言う、「残った国籍は速やかに放棄しなければいけないという規定」はないのだから。

 もっとも、国籍法には

第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。
3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。
5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。


ともあるから、蓮舫議員が「外国の国籍の離脱に努め」てきたのかという問題は残る。
 しかしこれはいわゆる努力義務規定であり、罰則もない。
 そして、国籍の離脱に努めなかった結果、日本国籍の取得が問題視されるのは、第16条第2項にあるように、「その外国の公務員の職に就任」した場合であって、その場合ですら、「その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるとき」でなければ、「その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をする」ことはできない。
 したがって、蓮舫議員の国籍については、法的には現状で何の問題もないと考えられる。

 ところが、池田氏は、このようなリンクを張っておきながら、記事中で

蓮舫氏は母親の日本国籍を選択した。しかしこのとき、中国籍を離脱しないと二重国籍になる


と述べ、

これは単なる事務的ミスだが、結果的には違法状態だ。罰則はないが、二重国籍を長く続けていると日本国籍を失うこともある。国会議員の二重国籍を禁じる規定はないが、「外国の国籍を有する者」は外交官になれないので、外交を指揮する首相にもなれないと考えるのが自然だ。

事実関係については蓮舫事務所や台湾総領事館(台北駐日経済文化代表処)に照会しているが、今のところ回答がない。ただ蓮舫氏が今も中国籍をもっているとすると、民進党は首相に不適格な人物を代表に選ぶ可能性がある。これは彼女個人の問題ではなく民進党の信頼性にかかわるので、執行部は15日の投票までに事実を確認して情報を公開してほしい。


と述べている。
 これはおかしい。
 蓮舫議員がわが国の国籍を選択したのなら、国籍法上はそれで足りるのであり、「結果的には違法状態」でも何でもないのだから。

あわせて読みたい

「蓮舫」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    北朝鮮は米空母に手も足も出ない

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  2. 2

    軍部で金正恩氏を嘲笑する風潮?

    高英起

  3. 3

    Amazonで大「中華詐欺」が勃発中

    永江一石

  4. 4

    今村氏後任の吉野氏は"超"真面目

    早川忠孝

  5. 5

    参考人招致は実のある議論だった

    小林よしのり

  6. 6

    日本が核保有チラつかせる選択も

    PRESIDENT Online

  7. 7

    なぜ日本のニュースは媚びるのか

    文春オンライン

  8. 8

    二階幹事長「解散総選挙は近い」

    PRESIDENT Online

  9. 9

    大阪人が東京人より親しめる理由

    PRESIDENT Online

  10. 10

    偏差値と奨学金延滞率 相関する?

    LM-7

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。