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介護の費用について

私は訪問介護の仕事に就いて17年目になります。2000年、ちょうど、介護保険制度がスタートした年から。超高齢化社会を見据えて創設された制度ですが、いざ実際スタートしてみると、予想できなかったことがたくさん起こりました。深刻な財源不足もその1つでしょう。

契約制度による人々の考え方の変化

 年をとったら、順送りで若者(子供)高齢者や親の面倒を見るのが当たり前。そんな世の中から、社会が責任を持って老後を支えるという考え方・システムに移行されていきました。

 その結果、措置制度の際には「他人のお世話になるなんて」「老人ホームに入れられちゃう」などと考えられていたのが、契約制度になってから「子どもに迷惑をかけたくない」「気兼ねして生活するよりホームの方が」といった考え方に変わっていったのです。

 それでは、お金を払えば何でもやってもらえるのでしょうか。そして、その費用はどれくらいかかるものなのでしょうか? ご存知のように、介護保険制度には限度額が設定されています。細かな区別の違いや加算等を考えると、その費用の概要は莫大なものになってしまうので、ここでは在宅を支える仕組みと施設で生活する場合の大まかな費用を見ていきましょう。

在宅での生活を支える仕組み

 在宅でも施設でも、本人負担は1割と2割という場合があります。しかし2割負担になる方は少数なので、ここでは1割負担という設定で考えていきましょう。

 在宅でのサービスは、「ヘルパー」「デイサービス」「ショートステイ」の3つが主流です。介護認定「要支援1」の利用限度額が5003単位、「要介護5」が35830単位。この限度額の中で、一人ひとりの状態に合ったサービスを組み合わせ利用するよう組み立てます。

 ヘルパーの利用料金は身体介護(排泄の介助等)と生活援助(調理や掃除等)の内容、そして所要時間によって概ね30分、245単位から30分増す毎に身体介護80単位、生活援助68単位が加算されて1回の料金が決まります。尚、介護度による料金の区分はありません。

 対してデイサービス料金は介護度によって異なり、「要介護1」の場合572単位、「要介護2」672単位、「要介護5」では988単位と基本設定。1割負担では、その単位数分の料金に食費がかかります。食費はその施設毎に設定されており、概ね500〜700円位と考えれば良いでしょう。

 そしてショートステイ料金も、介護度により1日当たりの料金が「要支援1」の438単位から「要介護5」の866の設定。これに居住費と食費がかかります。

 在宅でサービスを利用する場合には。このようなサービスの利用料金を組み合わせ、限度額を越えないよう工夫する必要があります。やむを得ず限度額を越えてしまうと、本来ならば1単位10円で計算される料金が、1単位100円の負担になってしまうのです。

 例えば「要介護1」の方がショートステイを利用し、一部負担金の合計が3,045円の施設でかんがえてみましょう。限度額がオーバーしてしまうとこれが8,490円になってしまい、2倍以上の支払いが生じてしまいます。

施設入所の場合の料金

 介護保険制度の施設も多種多様であり、その料金もまた数え切れないほど設定の違いが存在します。ここでは、その中でも主流となる特別養護老人ホームの基本設定料金を見てみましょう。

 制度の改正によって、特養への入所は原則「要介護3」以上からという規定があります。「要介護3」の方は一日の料金が介護保険一部負担金682円、「要介護4」では749円、「要介護5」で814円です。この基本設定料金に加え、食事代や居住費などを含め「要介護3」で約3,200円、「要介護5」で3,300円がかかります。

 ですから1ヶ月分ではその30日分、9万6,000〜9万9,000円となるでしょう。ただし、これは多床室での料金です。個室入所の場合は、それぞれにさらに1,000円程度の費用がかかると考えると良いでしょう。

 おおまかな料金を見てきましたが、制度は複雑かつ細かく、ヘルパーは組み合わせによって変わります。また、施設料金も特養や老健、グループホームなどにより随分変わってくるでしょう。さらに在宅と入所の中間として増えてきている小規模多機能の施設や、特養等の入所対象にならない「要介護3」未満の方々を受け入れる民間施設等も。

 それらの料金は、特養等の料金と比較するとかなり高額という印象があります。特養が10万円位の方であれば、12〜13万円程度の費用負担です。ただしその分、生活内容にも随分な違いがありますので、その方の状態に合わせて検討することが大切となります。

 私自身も改めて介護の料金に着目してみることで、まだまだ知らないことが多いと気付かされました。全てを知ることは無理だとしても、介護業務に従事している以上、仕事中に質問された際に少しでも参考になる返事ができるよう心がけなければならないと痛感しています。

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