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民進党はどこへ行く?(下)――新代表は〝第2共産党〟路線を継続するのか - 松田明

共産党との連携を深めた1年

 ちょうど1年前の2015年9月。

 当時の民主党が共産党やSEALDsなどと一緒になって「廃案」を叫んでいた平和安全法制が成立した。

 野党は「戦争法」だと国民の不安を煽り立ててきたのだが、この法案成立直後に朴槿惠(パククネ)・韓国大統領、習近平・中国国家主席は、連立与党の党首である山口那津男・公明党代表を笑顔で迎えた。11月1日には、ソウルで日中韓3ヵ国首脳会談が開催された。

 本来、ここで民主党は頭を冷やして、自分たちがめざすべき〝政権像〟の哲学を深めなければならなかったはずだ。

 ところが、頑迷で堪(こら)え性のない岡田執行部は、敗北を認めないために共産党が主導する〝野党共闘〟路線を深めていく。どんなに負けても「一歩前進だった」「歴史的意義があった」と言い募る共産党話法に、民主党まで便乗していったのである。

 しかし、政策議論もせず、単に「アベ政治を許さない」というネガティブなイシューだけで野合していくことは、多くの国民が野党第一党に望んでいたことではなかった。それは「民進党」に衣替えしたあとも、同党の支持率が全く上がらなかったことが如実に物語っていた。

 岡田代表は、7月の参議院選挙でも共産党などと野党統一候補を立て、「3分の2を取らせない」というネガティブな目標を掲げたが、自公が圧勝。

 ところが続く東京都知事選挙でも、懲りずに共産党などと急ごしらえの野党統一候補を担ぎ出し、完敗の結果に終わった。

 思いつきで手を挙げた候補者の知名度だけに飛びついた岡田執行部の醜態については、民進党都連から出馬要請を受けていた古賀茂明氏が、『週プレNEWS』記事:「古賀茂明が今だから明かす都知事選の内幕と民進党の情けなさ」で憤懣と共にその舞台裏を暴露している。

党内から噴き出る不満

 驚くことに、古賀氏を降ろし、宇都宮健児氏さえ立候補を撤回させて鳥越俊太郎氏を統一候補に担ぎ出した張本人の岡田代表は、鳥越氏の当選する芽がないと判断すると、都知事選挙の投票日前日に次の代表選への不出馬を表明した。

 選挙戦渦中にある自陣営の人々の労に報いることよりも、自分に〝引責〟のイメージがつかないことのほうを優先したのだ。

 政権転落から3年半。民進党は政権を担い得る政党として成熟を深めることを放棄し、単に安倍政権に石を投げることで留飲を下げるだけの、本当に情けない政党に堕ちてしまった。

 蓮舫氏が外国特派員協会で語った「民進党への信頼のなさ」は、まさにこうした民進党自身の迷走が招いたものである。

 そして、次期代表をめざす蓮舫氏がそのことを総括しないのは、民進党が引き続き共産党との連携を考えているからではないのか。

 民進党の足もとを見透かしている共産党の小池書記局長は、10月に予定されている東京10区と福岡6区の衆議院補選でも野党共闘が可能なら、すでに擁立している共産党の候補者を取り下げる用意があることを公言している。

 共産党頼みとなり、もはや〝第2共産党〟ともいうべき姿になりつつある民進党の現状について、党内には深刻な亀裂が生じている。

 民進党の長島昭久・元防衛副大臣は、安倍宏行氏のインタビューで、こうした岡田執行部への語気を強めた。

 自公っていうのは政策のすり合わせをやって連立を組んでいるんですよ。公明党と共産党ってやっぱり違いますからね、質が。綱領を見ればわかりますけど。

 ここをとにかく度外視して、去年の安保法制の時に、安保法案はけしからんというところで一致したんですよ。(中略)けしからんという一点で、後の内容はほとんど捨象して、一致しちゃったわけです。それがずうっと今日まで続いて、参議院選挙でも私は成果が出たとは思わない。選挙対策としてもいかがなものかと思っているのに、それをそのまままた都知事選挙に押し込んできたわけですよ。それでああいう方を引っ張り出してきて、とにかく有名人で、与党が割れそうだから野党が一致すれば勝てるだろうと、こういうものすごく安易なやり方だったわけですよね。(BLOGOS記事:長島昭久議員インタビュー

 昨年夏、SEALDsの奥田愛基氏はツイッターで

 この政権を本当に止めるからね。来年には安倍政権とかなくなってるから

と宣言したが、安倍政権はいよいよ盤石で、SEALDsはこの8月に解散した。安倍政権の最大の援軍になってきたのは、ある意味で民進党の迷走ぶりだったのかもしれない。

 まもなく民進党の新代表が決まる。

 民進党は、ふたたび政権を担える政党像をめざすのか、それとも共産党と一緒に「アベ政治を許さない」連呼路線を繰り返すのか、その哲学が問われている。

 有名人を党首に担げばなんとかなるという無責任な発想は、もうやめたほうがいい。

「民進党はどこへ行く?」シリーズ:
民進党はどこへ行く?(上)――野党第一党はなぜ国民の信頼を失ったのか

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