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バブル時代のリメイク権はいまや「おとぎ話」 是枝裕和監督インタビュー -part2-

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是枝裕和監督(写真=テラウチギョウ)

2013年公開の『そして父になる』でカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、その後も『海街diary』、『海よりもまだ深く』と話題作を発表しつづけている是枝裕和監督。6月刊行の著書『映画を撮りながら考えたこと』では、原作モノや続編モノでないと企画が非常に通りづらくなった映画界で、ほぼ全作オリジナルで20余年闘いつづけているその軌跡を振り返っている。数々の書評やインタビュー、TBSブックバラエティ番組『ゴロウ・デラックス』にも取り上げられた本書について、また、普段はなかなか聞くことのできない“映画にまつわるお金の話”について、語ってもらった。

Part1はこちら

”世界のコレエダ”が語る映画にまつわるお金の話 - Part2 -

バブル時代のリメイク権はいまや"おとぎ話"

——『そして父になる』は、スティーブン・スピルバーグ監督率いるハリウッド映画製作会社「ドリームワークス」がリメイク権を獲得したことでも話題になりました。でも、以前にも、2000年に『ワンダフルライフ』、2013年に『誰も知らない』のリメイク権が売れたそうですね。しかも『ワンダフルライフ』のころはまだバブル期で、金額も契約条件もいまから考えると驚きの内容だったとか。

是枝 ええ。『ワンダフルライフ』は1999年1月にサンダンス映画祭でアメリカプレミアを迎えたんですが、そこでリメイク権の話が出ました。最初は中小の配給会社からオファーがあって、それこそアン・リー監督の会社も手を挙げてくれたのですが、5月にニューヨークで公開された際に『ニューヨーク・タイムズ』紙などに非常に好意的な映画評が載り、20世紀フォックスやミラマックスなどハリウッドの大手のスタジオが手を挙げはじめ、金額が一桁変わってしまったんです。当時は非常にバブリーだったので。

こうなると素人の僕には手に負えない。最初は「私たちが求めているのはこういう映画じゃない」といっていたセールスエージェントが、手のひらを返すように「本当に素晴らしいわ、あなたの映画。私、見るたびに涙が止まらないの」と褒め出して(笑)、リメイク権を仕切るようになりました。成功すれば、彼らにも3割が入りますから。それで、最終的には20世紀フォックスに125万ドルでリメイク権が売れ、日本国内の上映がすべて終わる前に制作費が回収できてしまったんです。

リメイク権とは別に、僕はコンサルタント契約を個人で結ぶことになりました。金額は25万ドルで、うち前金が5万ドル。残りの20万ドルは映画の製作が順調に進み、クランクインのファーストカットのカメラが1コマ回った瞬間に振り込まれるという、ちょっとギャンブルのような契約です。またリメイクされた映画にはエグゼクティブ・プロデューサーでクレジットされ、「撮影中に往復2回、ビジネスクラスで撮影を見学する権利があります」とか「ホテルは◯ツ星以上で、同伴者◯名可です」とか「ワールドプレミアの際は◯ツ星以上のホテルで、◯◯クラスの車をご用意します」というようなことがすべて分厚い契約書に書いてありました。

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