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エアコン一斉停止による停電の心配もすべきだ

橋下府知事が「エアコン切れば原発止まる」というキャッチコピーで電力不足を乗り切ろうとしていることには、様々な批判があり、またそれは誤解だという反論も多数あります。

原発反対の主要な勢力は旧社会党系など左翼の人たちです。日の丸・君が代を強制することで彼らの顰蹙を買っているはずの橋下府知事が、なぜ原発反対の風に乗ろうとしているのか、部外者はまずそれだけで違和感を覚えています。

橋下府知事を「その時々の時流に乗って人気取りをするだけのパフォーマンス政治家」と揶揄する人もいます。産経新聞などは過去の遺恨もあり、未だにそのような姿勢が見られます。私はそこまで彼を貶めるつもりはありませんが、やはり物事には是々非々で臨みたいと思います。

今回の「ピンチになったらみんなでエアコン切ればいい」には与する気になれません。なぜなら、本当に一斉行動が実現すれば電力系統が危うくなるし、それができないのであれば実効性に乏しいからです。

関電社長との会見を見る限り、エアコンの一斉停止は府知事独自(もしくは広域連合)のアイデアであって、関電は相手にしていないと思われます。関電側でも、どちらかと言えば実効性に乏しい、という見積りのようです。

しかし実際はやってみるまでわからないことですから、群集心理が働いて、本当に一斉行動に移る危険性はぬぐえません。テレビ・ラジオ・インターネットで関電の速報値を出せば(既に東電も5分おきの速報を打っていますから、状況は推測できます)、危機的な状況を見た場合に人々が雪崩を打つ可能性はあるんです。

昔、東京を訪れた大阪人が「駅のフォームで朝から整列してる東京人はおかしい」みたいなことを言っていました。大阪の人は我先にと「横はいり(これは中部地方の言葉ですが)」するのが常識で、あの秩序は気持ち悪いという意味でした。

たしかにそうなんだけど、あのようにしなければ首都圏の鉄道輸送は成り立たないくらいシビアなんだ、といって言い訳していたと思います。

そのくらい、東京の人はある意味従順で秩序を好み、大阪の人は自由で個人プレーを好みます。だから、一斉オフなんてできっこないという見立ては正しいのかも知れません。

でも、私は東京で(あくまでも東京ですが)、震災当日の帰宅ラッシュを見ています。

電車が動かなければ職場で一日待機するという判断もあったはずなのに、ちょうど金曜日の晩だったこともあり、「歩き疲れても明日は休めるから」「自宅がどうなっているのか今日のうちに確かめたいから」ということでしょう、徒歩で帰る人が歩道を埋め尽くしました。

歩行者と自転車が車道にも溢れ、自動車は歩行者よりも遅いノロノロ運転を余儀なくされました。

間に数々の美談があったものの、あれはやはり集団発狂状態だったと言うしかありません。

普通はあの概況を見れば、帰宅を諦めるほうが賢いと感じるべきだと思います。私立大学や都立高校などが帰宅困難者に解放されましたが、そんなのがなくとも、個々に始発の開通まで(その保証はなかったけれども)時間をつぶす手段は、都心部にはいくらでもあります。

なのに、とにかく今日のうちに自宅に帰らなければという焦燥感にかられて(ちょっとした冒険心を楽しんだ人も多いでしょうが)あの大行列と大渋滞を醸しました。やはりパニックだったという他ありません。

そしてその週末と週明けに、ガソリン・電池・懐中電灯に始まり、カセットコンロ・ボンベ、食料品から飲料水、ありとあらゆるものが買い占めされ、スーパーやコンビニから食料や生活雑貨の在庫が消えました。

ガソリンスタンドは入荷と共に1kmを超える列を作り、スーパーの開店時には人が並んで走り出す始末でした。

あの群集心理、集団発狂状態を私は目の当たりにしています。

関西の人も、電気が止まるかも知れないという極限状態を目にしたときに、橋下知事を信じて雪崩を打つようにエアコン切断をしないとは限らないと、私は思っています。その時に電力系統がどうなるのか、心配です。

そしてそれ以上に、危機が去ったと思ったその時、エアコンを切った人が一斉にエアコンをつければ1987大停電の二の舞に会う危険性が高い。

ルールも何も定めず、個人の裁量と良識に行動を任せることの危険性は、人口が密集している大都市部においては十分考慮されるべきです。

私は大阪在住時に阪急宝塚駅で、群集心理に陥って全員でプラットフォームを駆け抜けた経験があります。駅の工事中で乗り換え電車までの距離が少し遠かったこと、乗り換え電車に乗れなかった場合の次の発車時刻のアナウンスがなかったことで、「絶対に俺だけは走るまい」と思っていた私も、ついつい走ってしまいました。実際には、電車に乗り込んでから数分の余裕があったのです。

「関西人は群集心理に陥らない」などということはない、と私は思います。

私は関西人のルーズさに期待したいと思います。でも、群集心理に一度陥れば、何をしだすかわからないということも考慮に入れるべきです。そして、それに対する対策があるのかどうか、全く見えてきません。

東京に住んでいながら余計な口をはさむのは気が引けるところではありますが、ぜひ穏当な節電に努めていただければと思います。

エアコンは、温まった部屋を冷やすときに大きな電力を使うので、連続運転のほうが節電になるのです。

ですから、電力需要の少ない早朝に部屋を冷やしておき、部屋の密閉性を保ちながら太陽光をなるべく遮断し、電力需要が増えた時間帯は、冷えた室内の設定温度を少しだけ上げてエアコンをつけ続けるのが穏便なピークカットになるでしょう。

東京よりも「銭儲けは美徳」と考える大阪人の気質は私も好きですが、「産業の節電は必要ない」という橋下府知事の態度は人気取りとしか思えないのです。地道に各種業界に節電をお願いして回る関電を悪者扱いにするのは簡単ですが、実際に停電を防ぐには、一斉行動などという危険な賭けをすべきではないと考えます。

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