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「ポケモンGO」の技術はさらなる市場を生む!

茂木 健一郎

ポケモンGOが、世界を席巻している。

最初は、リリースされた米国で大ブームになっているというニュースが届いたのだった。アクティブ・ユーザー数がツイッターを超え、ニューヨークのセントラル・パークが、ポケモンGOに興じる人たちでいっぱいになったという。

日本でのリリースはいつになるのかと、ファンたちをヤキモキさせたが、先日、ついに配信。あっという間に「社会現象」になって、ニュースでもトップ扱いで取り上げられた。

私自身も、配信時にすぐにダウンロードして、スマートフォンでプレーしてみた。確かに、そこには「未来」の手触りがあった。

ポケモンGOは、拡張現実(AR)の技術を用いている。研究としては以前から注目されていた拡張現実だが、ポケモンGOの大ヒットで、ついに、人々の日常に届いた。

拡張現実は、現実に見えているものの上に、新しい情報を付加したり、変更したりして、現実自体を「拡張」する技術である。ポケモンGOでは、実際の周囲の画像の上に出現したポケモンのアニメーションを重ねあわせるなどの方法で活用されている。

拡張現実の最も興味深い可能性は、それが、私たちが外界を見るときの枠組みを発展的に変えることだろう。

もともと、人間の脳は、外界を、様々な「解釈」を通して見ている。お目当てのショップを探したり、名所旧跡を観光しているときには、私たちの脳の中には、すでに「拡張現実」があるのだ。

ポケモンGOの「拡張現実」もまた、プレーヤーの脳内の現実のイメージを変えてしまうところが大変興味深い。

私がダウンロード直後にプレーしたのは皇居のお濠端だったが、あひるのような姿をした「みず」タイプのポケモンである「コダック」がたくさん出現した。「おお、皇居のお濠にはコダックがいる!」というように、東京の脳内地図が書き換えられた。

注目すべきなのは、拡張現実が、周辺の環境に対して、新たな興味を持つきっかけになるということである。

ゲームをプレーするうえで必要なアイテムを手に入れることができる「ポケストップ」や、対戦ができる「ジム」が地図の上に表示されることで、身近なエリアにあった意外な名所旧跡、注目のスポットに関心を持つ人が増えている。

周囲への見方が変われば、人々の行動が影響を受ける。人の流れが変われば、お金の流れも変化する。

ポケモンが出現しやすいようにしたり、ゲームに必要なアイテムが手に入ったりというように、ショップやレストランがプロモーションをすることも可能である。「ポケノミクス」という言葉も生まれた。

将来的には、美術館や博物館での説明、旅行ガイドや、学習教材、その他様々なかたちでの拡張現実の応用が進んでいくことだろう。ポケモンGOは、そのような未来に対する、人々の心の中の障壁を下げた。

ポケモンは、架空のモンスターたちだが、人工知能のパターン認識技術を応用して、現実の生きもの(昆虫や鳥、植物)を探し、観賞するゲームも可能である。ゲームを楽しみながら、環境アセスメントをするシステムも生まれるだろう。

ポケモンGOは未来への入り口。人々が熱狂する本当の理由は、その「未来感覚」にこそあるのかもしれない。

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