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【読書感想】さよならインターネット まもなく消えるその「輪郭」について

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さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ 560) さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ 560)
  • 作者: 家入一真
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/08/08
  • メディア: 新書
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  • Kindle版もあります。
    さよならインターネット まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ) さよならインターネット まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ)
  • 作者: 家入一真
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/08/19
  • メディア: Kindle版
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  • 内容紹介
    およそ半世紀前に産声をあげたインターネット。そのテクノロジーが生み出した新しい「世界」は社会、経済、文化、時間、家、あらゆるものをつなぎ、変化させた。しかし常時接続や無線接続、IoTのなかでその輪郭は消失し、自由と可能性に満ちた「世界」は、むしろ閉ざされつつあると家入氏は指摘する。パソコン通信からSNSを経由し、サーバー事業やプラットフォーム事業、さらに都知事選まで、ネットと共に人生を歩んできた氏が、なぜ今その「世界」に別れを告げるのか? 果たしてその「世界」の未来の姿とは? これは、その「輪郭」を取り戻すための思想の旅。

     あの家入一真さんが上梓した新書のタイトルが『さよならインターネット』だと知って、僕はちょっと呆れてしまったのです。家入さんって、良くも悪くも「ミスター・インターネット」みたいな人なのに、「さよなら」って、釣りタイトルだろこれ。

     しかしながら、この新書を読んでみると、家入さんの気持ち、けっこうわかるんですよね。
     僕はパソコン通信には参加していなかったけれど、ダイヤルアップ接続とかISDN回線の時代に「インターネット」というものに出会って、見知らぬ人といきなり繋がってしまうということに驚き、感動した記憶があるのです。
     当時は、『ポストペット』経由でメールが一通届くだけでなんだかすごく嬉しかったんだよなあ。
     いま、メールソフトをポストペットにしていたら、あまりのメールの多さに、動物虐待になるんじゃないかと思いますけど。

     当時のネットには、見知らぬ人、それも、有名人ではない市井の人々のリアルな仕事や人生の話が溢れていて、僕はそれをむさぼるように読んでいたものでした。
     ネットが普及するまで、一部の同人誌などを除いては、校正されていない素人の文章が多くの人に読まれる機会は、ほとんどありませんでした。

     僕にとっての初期のインターネットは「王様の耳は、ロバの耳!」と叫ぶための洞穴みたいなものだったのです。
     社会運動をはじめるほどの問題意識もなく、小説にしてまとめるほどの粘りもない僕にとって、「ネットに書いて、自分とは関係ない誰かに話を聞いてもらう」というのは「ちょうどよかった」のだよなあ。
     当時のインターネットは、なんとなく社会にうまく染めれない人たちのための避難場所、のようでもありました。

     この新書の冒頭で、家入さんは、若い世代のインターネットというものについての考え方を、このように紹介してます。

     ある日、仕事の合間にお茶をしていたときのこと。インターンシップをしていた20歳の学生が、ぼくにこんなことを言いました。

    「家入さんは、『インターネットが大好き』とよく言うけれど、ぼくにはその意味がわからないんです。なんだか『ハサミが大好き』って言っているみたいで」

     インターネットがハサミ? 一瞬、意味がわかりかねたこの言葉。どうやら彼は「インターネットなんて、ハサミのようにあたりまえに存在するもので、わざわざ賞賛する価値があるような対象ではない」と考え、そうたとえたようです。
     しかしぼくにとってのインターネットとは、10代半ばの引きこもりのさなかに光を与えてくれた大きな存在。

     インターネット。この言葉の意味するものが、どうやら以前のものとは変わってきたように、ぼくが意識し始めたのはいつ頃だっただろう。

     ぼくの世代以上、つまり30代以上の人たちの多くは、おおむねこれまで「インターネット=Webサイト」だと捉えていたのではないでしょうか。一方、「はじめに」にも書いたように、ぼくが今一緒に仕事をしている、20代どころか10代の若い世代の人たちは、インターネットという言葉を聞いても、何かはっきりとしたイメージが浮かぶわけではない。形があるようでないような、空気のような存在だという認識を持っているようです。

     実はこの感覚の違いは、とてつもなく大きな隔たりのように(それこそ断絶のように)、ぼくは感じています。

     そして、「インターネット=Webサイト」だと言ったものの、実はその肝心の「Webサイト」という概念もこの先なくなるかもしれない、と感じる機会が増えています。というのも、現実として、いつでもどこでもつながるスマホの興隆によって、インターネットそのものに向かい合う姿勢が明らかに変わったことに、その大きな理由があります。

     家入一真さんは1978年生まれですから、僕より若くて、まだ30代後半です。

     にもかかわらず、10代、20代とは「インターネット観」にギャップがあるのです。

     「インターネットとは何か?」という質問そのものが、物心ついたときからネットがある世代には、成り立たなくなっています。僕たちが、「あなたにとって電話とは何ですか?」と問われたときに、言葉に詰まってしまうのと同じように。

     ちなみにこの「インターネットが好きって、ハサミを好きって言っているみたいなもの」という言葉を家入さんがTwitterで紹介したところ、「ちょっとした物議を醸した」そうです。

     その中で、「インターネットをハサミにたとえるなんて」「インターネットを道具みたいに言うな」というような「怒り」の反応を示したのは、家入さんと同世代からさらに上の世代で、黎明期からインターネットを使ったきた人だったのです。

     この世代(のなかで、インターネットを初期から使っている人々)は、自分たちはインターネットの開拓者であり、ネットのことをよく知っている、と自負しているのです。

     そして、「すべての人が自由な意見を言い合ったり、距離を考えずにやりとりしたりできる場所」だという理想の直撃を受けた人たちでもありました。

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