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国政モニターからの裁判員制度に対する疑問 疑問に正面から答えない法務省

 国政モニターの方からの裁判員制度の疑問とそれに対する法務省の回答です。
 裁判員制度について(回答:法務省)平成28年8月29日掲載

モニター裁判員制度疑問

 法務省の回答は、見事にお役所回答です。
 これが回答の根幹部分です。
「約7年にわたる裁判員制度の運用により、広く国民が裁判の過程に参加し、その感覚が裁判内容に反映されることによって、司法への国民の理解や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることになるという制度に期待された効果が実現しつつあると認識しています。」

 制度に期待された効果とは、どのような形で実現されてきたのでしょう。

 東京高裁の死刑判決破棄を最高裁は是認しましたが、マスコミからも最高裁批判が飛び出しました。
最高裁 裁判員裁判の死刑判決を認めず!
 オウム元信者に対する東京高裁の無罪判決などもそうですが、モニターの方が提示した質問には全く答えていません。モニターの方の趣旨は、裁判員の感覚(意見)が反映されているというのであれば、それに従った判決(結論)にならなければおかしい、ということです。
 法務省の回答は、はっきりとずらしています。
 もっとも法務省には正面から答えることはできません。今さらながらに裁判員制度の本質を示すことになってしまうからです。
 法務省の回答の意味は、国民が裁判員として裁判官とともに評議を行い、国民を関与させた、そういったことで司法が直接、国民に依拠している体裁を作り出し、権力側に立つという自覚をしろというものです。それをわかりにくくして回答すると上記のような回答になるのです。

 もともと裁判員制度を提唱した司法審意見書では次のように述べられています。
「21世紀の我が国社会において、国民は、これまでの統治客体意識に伴う国家への過度の依存体質から脱却し、自らのうちに公共意識を醸成し、公共的事柄に対する能動的姿勢を強めていくことが求められている。国民主権に基づく統治構造の一翼を担う司法の分野においても、国民が、自律性と責任感を持ちつつ、広くその運用全般について、多様な形で参加することが期待される。」

 このような内容で法務省が回答できるはずもないので、官僚答弁のような回答になったということです。
 この視点から回答すれば、次のようになります。

【法務省が本来回答すべき内容】
 裁判員の身の安全については、ご自身で守って頂くよりありません。裁判所の敷地を出れば裁判所(国)の責任ではありませんし、国家の一員としての責務ですからその自覚を持つことが求められています。
 裁判官が従来の判決を下すということについては、地裁では評議によって裁判官だけでなく裁判員がともに考えて出した結論ということになります。それが従前の量刑と変わらないとしても、評議に参加した裁判官、裁判員によって出された結論であることに自信を持って下さい。その裁判員は国民を代表して参加したのですから、参加していない国民も同様に共感してください。
 高裁、最高裁で裁判員が関与した判決が破棄されることもありますが、だからといって裁判員が関わった判決の意義が失われることは全くありません。裁判員も時にはその判断が間違うことがあるのも仕方ないことであり、むしろ国家の一員として関与したのですから、そこに自信を持つことが大事なことです。
 裁判員となることは国民としての義務ですから、その点はご理解ください。
 報酬についても相応の基準となっていることをご理解ください。
 裁判官の批判をかわすことが目的ではなく、あくまで裁判員とともに結論を出すことについてご理解ください。


 このような感じになりますが、この程度の回答が何故、できないのか不思議です。
 制度についても、相変わらず裁判員の辞退率は65%前後、出頭率は25%を切っていて、瀕死の状態です。
裁判員制度に関する速報値(2016年6月) 工藤会による影響の有無は?

 だから法務省は「安心して裁判に参加していただけるような環境を整えることが重要」と述べているのですが、もう後がないからです。

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