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終戦記念日の天皇陛下のお言葉と安倍首相発言の「温度差」から見えるもの

8月15日、今年も終戦記念日を迎えた。日本武道館では、全国戦没者追悼式が政府主催で開かれた。

正午の黙祷の後、安倍晋三首相が哀悼の意を表明した。「尊い犠牲の上に、私たちが享受する平和と繁栄があることを、片時たりとも忘れません」と。そして、「戦争の惨禍を決して繰り返さない。これからも、この決然たる誓いを貫き、歴史と謙虚に向き合い、世界の平和と繁栄に貢献」すると宣言した。

安倍首相に続いて、天皇陛下が「さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします」「深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」とお言葉を述べられた。

天皇陛下のお言葉と、安倍首相の哀悼の意に、「温度差」を感じたのは僕だけではないだろう。天皇陛下はさきの大戦について、「深い反省」との表現を昨年に続いて使った。だが、安倍晋三首相は「反省」について触れていない。そのかわり、「世界の平和と繁栄に貢献する」と、「積極的平和主義」を示すような文言を入れているのだ。

この1週間前の8月8日に天皇陛下は、「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」というお気持ちを表明している。具体的な文言を避けているが、「退位」の意向を示したのだ。

天皇陛下の「生前退位」への希望表明を、僕は安倍首相の憲法改正に対する、対抗なのではないか、と考えている。天皇陛下は政治に言及できない。しかし、現在の憲法を護りたい、と思っておられることは明らかだ。

ところが今回の参議院選挙で、自民党など改憲勢力が3分の2を超える議席を獲得してしまった。改憲の発議に必要な議席を確保したのだ。安倍首相のもとで改憲が行われることに、相当な危機感を持たれたのではないか。

もちろん、ご自分の健康への不安があるのは事実だろう。だが、「生前退位」を実現すべく、皇室典範の改正が必要になれば、安倍内閣は憲法改正に傾ける労力をそがれるのではないか――。こう考えるのは、うがちすぎだろうか。

僕は終戦記念日の式典を見て、改めて天皇の「密やかな抵抗」を感じたのである。

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