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「みんなで一緒に食べる喜び」を感じたい アレルギーのある子と親のための夏休みキャンプ体験記

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15年以上続く、アレルギーのある子とその親をサポートするキャンプ

ここ数年大きく報道される機会の多い、子どものアレルギー関連死。12年には調布市で、当時小学5年生の女の子が食物アレルギーによるアナフィラキシーショックで死亡した。死亡事故の検証委員会が作成した資料によると、少女の学校ではアレルゲンを除去した「除去食」の提供が行われており、おかわりの際に確認するNGリストも作成されていた。しかし、さまざまな不運、もっといえばヒューマンエラーが重なり、少女は誤ってアレルゲンである粉チーズ入りのチヂミを口にしてしまったのだ。

年々増加する子どものアレルギーは、当事者である子どもたちやその親にとって大きな負担となっている。「食べられない」ものがある子どもは、個別に弁当を持参するなど対応に苦労せざるを得ない。国はアレルギーのある子の給食に関して、可能なかぎり学校給食の中で対応するよう推進しているが(参照:学校給食実施基準の施行について)、当事者である親子の不安と苦労はつきない。

そうした親子のサポートを続ける団体がある。NPO法人「アトピッ子地球の子ネットワーク」だ。筆者は今回、同法人が主催したアレルギーをもつ子とその親のための「夏休み環境教育キャンプ2016」に参加してきた。キャンプは15年以上続く、夏の恒例行事。親たちにとっては悩みや課題を相談しあえる場所、子どもは子どもたちで一緒に行動し、同じものを食べる喜びを共有する行事として定着している。今年も約30家族が参加し、ボランティアの学生、主催者団体も含めると、100人以上が2泊3日を共に過ごした。

自己紹介で使うコルクのネームプレートを作成

キャンプ会場は、相模原にある神奈川県立藤野芸術の家。入ってすぐの教室で、参加者は丸や四角に切ったコルクに自分の名前を書き込む。アレルギーをもつ子どもは小学生が多い印象だが、中高生も目立つ。高校生はボランティアとしてかかわるが、なかには「3歳の時から15年間、このキャンプに参加している」という子もいた。教えてもらいながら、名札を作る。

震災時、子に与える食べ物がなくて消えたくなるほど不安だった

全体でのオリエンテーションと、アイスブレイクを兼ねた自己紹介のゲームが終わると、親子別々のプログラムが始まる。子どもたちは最初の方こそ、ぎこちなくグループに別れていたものの、すぐに仲良くなり、元気よく昆虫採集へ出かけていく。

保護者は2時間のワークショップ。輪になって座り、1人数分で自己紹介をしあった。数回目の参加で、「子どもの方から『来年も参加できるよね?』と言ってくる」と語る保護者も目立ち、家族そろって楽しみにしている人も多いようだ。今回は東北や熊本など被災地からの優先枠があり、震災の経験を話す保護者も数組いた。宮城から2人の子どもと参加したある女性は、今回が2回目の参加だという。

彼女は「震災直後は、避難所で子どもに食べさせられるものがなかった。『もう消えてしまいたい』とすら思いました」と、涙を交えて話した。そんなときに偶然、知人に教えてもらって参加したこのキャンプで、同じような悩みをもつ保護者と出会い、救われたという。

熊本から参加した3歳の子をもつ女性は、「アトピッ子地球の子ネットワークさんから、避難所に物資を届けてもらって本当に助かった。それまでは本当に怖かった」と話す。避難所での苦しく不安な経験を思い出すと、思わず皆涙ぐんでしまう。福島から参加した夫婦は震災後、「とにかく薬も食べ物もなかった」と振り返る。当時幼かった子どもは今、多感な小学校高学年になり、「私は『普通の人』じゃないから」と悩みを吐露することもあるという。「特に女の子だからか、成長して友人関係が複雑になってくると辛いのかもしれない」。

思春期にさしかかると反発も…

アレルギーのある子は、給食の時間に「私はみんなとちがう」と疎外感をもってしまうことが多い。同じような子どもが学年におらず、1人だけお弁当の持参を余儀なくされるケースもあるからだ。友人からの些細な一言で傷つき、不安を抱える子もいる。

ボランティア有志の 手によって次々と夕食ができあがっていく

親だって同じだ。子どもが小学校に入って手を離れ、友だちと遊びに行くようになると、食事の管理がしづらくなる。どんなものを食べたか把握しようと、「『今日何食べた?』と聞いても、『お母さんうるさい!』と言い返されてしまう」と語る母親もいた。子どもが小さいときにはなかった苦労だ。「反抗期の子どもにどう接するか、このキャンプでは親子が離れて過ごすので、互いに成長できれば嬉しい」(小学5年の子をもつ母親)。「2泊3日を通して、同じ境遇の家族と触れ合い、勇気をもらえたら」と語る保護者もいた。

キャンプ場ではすでに、ボランティアによる夜ご飯の準備が着々と進んでいる。1日目のメニューはカレーと野菜ピクルス、ブロッコリー、わかめスープ。大量の野菜が次々に切られ、アレルゲンフリーの調味料で料理されていく。

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