記事

チベット語検索「ダライ・ラマ」の結果は?

By Te-Ping Chen

 中国は今週、同国初のチベット語の検索エンジンを立ち上げた。国内で接続を遮断されている米国の検索エンジンに極めて似た面があるが、検索結果は大幅に制限されている。

 中国国営メディアによれば、この検索エンジン「yongzin.com」の名前「云蔵」は、チベット語で「マスター」あるいは「教師」を意味する。サイト創設の狙いは、チベット語を話す人々が国内のオンラインコンテンツにもっとアクセスできるよう手助けをすることだ。

 検索エンジンのロゴは、黄・青・緑・赤の帯で文字化されており、中国で閲覧が規制されているグーグルの文字に配色が似ている。しかし類似点はそれだけのようだ。

 例えばチベット仏教最高指導者ダライ・ラマの画像を検索する場合、中国当局が以前「僧衣をまとったジャッカル」と呼んだ人物の画像にたどり着くためには、検索結果を何ページ分も探さないといけない。この間ユーザーが目にするのは、さまざまなチベットの芸術品の写真や公式記者会見の映像だ。「チベットは中国の一部だ」という言葉で飾られたサルコジ前仏大統領の画像も出てくる。

 一方、テキスト情報の検索結果を求めるユーザーは「vtibet.com」などの政府系サイトに接続される。vtibet.comのサイトには、「国を管理するには、まず境界線を管理する必要がある。境界線を管理するには、まずチベットを安定化する必要がある」「共産党なしでは社会主義的な新チベットは存在しない」といったスローガンが大きな文字で掲げられている。

 中国政府はダライ・ラマ14世を「反中国分離主義者」とみている。ダライ・ラマ14世は1959年、中国支配に反対したチベット人蜂起に失敗した後、インドに亡命した。チベット地域を出入りする情報の流れは中国当局によって統制されており、政府は現地の騒乱を非常に警戒している。

 フランス国立東洋言語文化研究所(INALCO)のフランソワーズ・ロバン教授(チベット研究)が米グーグルとの対照比較を行ったところ、検索結果に顕著な違いが見られた。例えばグーグルで「チベット独立」をチベット語で検索すると、730項目の検索結果が得られたが、yongzin.comでは何も検索できなかった。また「Dharamsala(ダルムサラ=インド北部のチベット亡命政府の所在地)」を検索すると、yongzin.comではわずか17項目しか表示されなかったという。

 ロバン教授は、大半のチベット人が仮想ネットワークを通じて中国の検閲システムを迂回(うかい)し、グーグルやウィキペディアに頼っていることを中国政府は認識しているとみている。「中国当局は競争していかねばならないと自覚している」と教授は話す。

 グーグルはコメントしなかった。

 中国国営メディアによれば、yongzin.comの検索エンジンは青海省海南県チベット情報技術研究センターが開発したもので、3年以上の期間と870万ドル(約8億7000万円)の費用をかけた。

あわせて読みたい

「チベット」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    橋下徹氏「日本政府はダメダメ」

    橋下徹

  2. 2

    段ボール32箱 捏造データ姿現す

    田中龍作

  3. 3

    「性奴隷」発言の韓国閣僚は奇怪

    岩田温

  4. 4

    よしのり氏「安倍首相を評価」

    小林よしのり

  5. 5

    裏社会を感じるシェアハウス業界

    ヒロ

  6. 6

    日本を分断する母への歌詞批判

    幻冬舎plus

  7. 7

    よしのり氏 東京新聞はおかしい

    小林よしのり

  8. 8

    ホンダジェット世界首位の価値は

    片山 修

  9. 9

    カー娘・藤沢の韓国人気は本当か

    NEWSポストセブン

  10. 10

    生徒の負担軽視する部活見直し案

    学校リスク研究所 内田良

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。