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貧困とは時代によって異なる相対的なもの 女子高生の私生活を暴くネットの住民は非常識

NHKのニュース7で放送された貧困の女子高生の件です。
 女子高生がNHKの取材に応じ、自分の生活の実情を語る、そして夢であったアニメの専門学校への進学を断念したというものです。内容としてはごく普通のニュースです。子どもたちの置かれた状況を実際の当事者に直接、語ってもらったという番組です。

 これに対して、ネットの住民たちがその女子高生の私生活を暴くことにやっきになっていました。この女子高生のツイートを探し出すという暇人振りを発揮していました。
 昼食に高価なランチを食べていたとか。
 部屋にもいろいろな物にあふれているとか。
 高価なスマホを持っているとか。  特にネトウヨたちは、「貧困」を主張する人たちのことが大嫌い。
 すべての貧困を自己責任に押し付け、「貧困」を目の敵にしているから、このような行動に出るのでしょう。
 国のお荷物くらいにしか思っていないからです。

 ネトウヨたちの持つ貧困のイメージはあまりに固定的で古いものです。
 食うや食わずで、飢えをしのぐという姿を貧困と言っているようです。カップラーメンは貧乏人の食事の代名詞ようにも用いられていますが、カップラーメンって実は結構、高かったりもします。
32歳弁護士 毎食カップ麺でコンビニおにぎりがご馳走」(NEWSポストセブン)

 それはともかく、戦後混乱期まで、せいぜい高度経済成長の前あたりまでで、一応、日本では食うには困らない程度にはなっています。ましてや「平成の世」ですから、生活保護を不当に打ち切られた以外で食うや食わずという状況にはありません。
 もっとも、人としての生活は食えればいい、というわけではなく、時代に応じた生活水準というものがあります。
 憲法でいう健康で文化的な最低限度の生活も時代によって水準が変わりますし、本来であれば、その水準が下がるなどということは想定されていません。生産性が日々、上がっているにも関わらず、保護費が削減される状況に陥るのは国家財政のあり方として異常なのです。

 ですから、NHKに登場していた女子高生がたまにランチで高価なものを食べたところで何の問題もありません。
 毎日と言われるとカネがあるないに関わらず、その感覚はどうなんだろうとは思ってしまいますが、現代では、ある意味では「高級料理」も手を伸ばせば届くところまでには来ているのですから。
 それだけ国内の生産力が上がったということでもあります。
 生活保護であろうと(女子高生の家庭がという意味ではなく広く一般的に用いています。)、普通においしいものが食べられること自体は当然のことです。
 貧困とはいえ、中古自動車だって持てる時代にはなったし、携帯電話やスマホだってそうです。最低限の生活水準というのは時代によって相対的に決まるものです。

 ネトウヨたちは、「生かしてやっているだけ、ありがたいと思え」と思っているようです。全体主義であり、国家主義の彼らにとっては、生活保護や貧困層はお荷物でしかなく、セーフティーネットまで否定はできないので(本音は、死んでしまえ、日本から出て行け)、「生かしてやっているだけ、ありがたいと思え」となるわけです。
 それにしてもこのネトウヨたちの発想は、ナチ党支持層と全く同じです。
ヘイトスピーチを禁止したり罰則を科すということがいかに愚かなことか ナチス、西ドイツをみれば一目瞭然

 この女子高生がアニメの専門学校に行きたいという夢も別に大それたものではありません。お金がないから行けないというのは、やはり問題です。
 18歳という年齢でもって差別されるのは、決して自己責任ではありません。

 もっと節約すればいいだろ
 アルバイトして学費を貯めろ

という声が聞こえてきそうですが、それが当然のあるべき姿とは思いません。
 私自身は、全員が全員、大学に進学できる全入は、大学のあり方からして問題だとは思っています。専門学校についても同様だともいえます。
 今の各種専門学校は、本当にそれを学ぶことでスキルになるんだろうかと思われるようなものも少なくなく、就職率100%のうたい文句もその専門学校で学んだことを前提にした就職からはほど遠いわけです。
 他方で高卒では就職も限られたりという現実もあるため、進学したいと思うのは当然の要求でもあります。学歴社会がおかしいんだと声高に叫んでみてもこの場合には意味はありません。学歴社会を前提に自分の進路を決めざるを得ない現実があるからです。
 少なくともお金があれば誰でも進学はできる状態にあるわけで、大学や各種学校のあるべき「理念」を前提にして、あなたはカネがないから行けないけれど、行けないこと自体は仕方ないと言うのは誤りです。
 制度全体として改革していくことと、個別の高校生がカネの有無によって進学を諦めなければならないこととは次元の異なる問題です。
私立大学の定員割れ問題 初等教育は軽視で大学は全入という教育制度の崩壊

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