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鶴保庸介沖縄・北方担当相の養育費不払い 実務の養育費は少なすぎ? 社会全体で支えることが重要だ

 離婚後、未成年の子がある場合には、直接、扶養していない親は、扶養している親に養育費を払うことになります。
 この養育費は現在、家庭裁判所の運用では、算定表を用いて、それぞれの収入をもとに算定されることになります。
 収入が多ければ養育費も多く、少なければ養育費は少なくというもので、収入がなければ養育費の支払義務はありません。

 この養育費について、鶴保庸介沖縄・北方担当相は取り決めた月額8万円の養育費の支払いが滞っていると報じられています。
鶴保庸介沖縄・北方担当相の出産直後の離婚報道から考える 結婚の意思がないのを隠して交際を続けることの是非

 2000万円以上とも言われる議員歳費ですが、その額を前提とすると月額8万円はいかにも安いと思いますが、議員歳費は生活費そのものではなく議員としての活動費ですから2000万円を基準にするのは実態に沿うものではありません。

 とはいえ8万円が少なすぎるのは明らかです。原則的な養育費の考え方は親と同等の生活ということですから、あまりに差が大きすぎます。
 もっとも、だからと言って父親が億万長者だから月100万円の養育費というのも違和感しかありません。ダルビッシュ投手の養育費が月額100万円とも言われていましたが、どうみても母親の生活費そのものでしたし、現実に子どもが毎月100万円の生活などを送る必要もなければ有害ですらあります。
 養育費という名の財産分与、あるいは解決金と言ったところでしょうか。このようなものは全く参考にはなりません。

 この低額の養育費については日弁連が高額化を提案するようです。
養育費を考える<下>「低額の要因は簡易算定表」 日弁連、年度内に対案」(西日本新聞2016年7月22日)
「この算定表について「低額で、最低生活水準も満たさないケースがある」と見直しを求める声が相次いでいる。母子家庭が貧困から抜け出せない要因の一つとして、日弁連は簡易算定表に代わる独自案を作成中だ。」
「調停や裁判に関わる弁護士からも「子どもの福祉を無視している」との意見が相次ぎ、日弁連は12年、松嶋さんの論文を引用し、国が適正な算定表を作るよう求める意見書を発表。同時に控除割合を抑えた独自案を作っており、本年度中に公表する見通しだ。」

日弁連意見書
「養育費・婚姻費用の簡易算定方式・簡易算定表」に対する意見書」(2012年3月15日)
養育費支払確保及び面会交流支援に関する意見書」(2013年11月21日)

 確かに、養育費は低いのかなという実感はあります。本来、子どもを持った以上は、子どもの養育のために一緒に住んでいようが住んでいまいが、相応の負担をすることを当然の前提としています。
 子どものためには、特に父親は我慢しろということです(母親は子と生活しているので、「我慢」せざるを得ません。)。それくらいの覚悟がなければ子どもを持つ資格はないということでもあります。

 それ以上に問題なのは、養育費が現実に支払われている割合が極めて低いということですが、そうなると養育費は、実質「ゼロ円」ということになってしまいます。
 これについては、法務省は裁判所を通じて養育費の支払義務者の口座を特定するための法整備を検討中ですが、恐らくそれほどの成果は出ないだろうなと思います。払えるのに払っていないというのは、鶴保庸介氏などそう割合は大きくはないのではないかなと思われるからです。
 就業先が明らかになっており、さらに転職も困難という層は、きちんと支払いをしているか、給与が差し押さえられているかのどちらかでしょう。
 就業先もわからないような父親の資産を押さえると言ってみたところで、預貯金もない世帯が多いとされているのが現実ですから、実際に銀行口座を押さえられる可能性はほとんどないのではないでしょうか。

金融広報中央委員会ホームページより
単身世帯金融資産

 そのような中で低所得世帯の養育費の額を増額してみたところで絵に描いた餅になることは目に見えています。
 また、子どもを養育する覚悟がなければ子どもを持つ資格はないと述べましたが、現実の若い世代では、女性が妊娠したから結婚するという「できちゃった婚」が少なくなく、そこでは結婚して家庭を持つという自覚もなければ父親になる覚悟もありません。最初から養育費の負担などという発想はありません。
 養育費を「増額」してみたところで、現実問題として、何の解決になりません。給与を差し押さえても「転職」されて、そこまでです。
 低所得世帯での離婚では、そもそも夫も妻も所得も資産もないので、貧困の原因は養育の額が低いからというわけではなく、「増額」にも最初から限界があります。

 養育費の増額は、父親からの取立の強化という側面が強いですが、税金が絡まないことから、政府はある程度は実現していくでしょう。銀行口座の特定による執行強化もその一環です。
 しかし、これでは根本的な子どもの貧困解消にはなりえず、子どもにかかる負担は、教育や医療の無償化など、等しく社会で負担していくことを考えて行くべきです。
 累進課税と扶養者のいない者への課税強化も前提にはなります。
「9-3÷1/3+1」の正答率が低いことの意味 全児童に基礎学力を身につけさせてあげたい

 社会全体で支える仕組み(制度)に転換しなければならないのです。

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