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NHK貧困女子高生がヤラセなのかを冷静に検証する

NHKがニュースで扱った貧困女子高生が、実は貧困ではなく、NHKはやらせ・捏造を行ったのではないか、という疑惑が話題だ。
ここでは、そもそもNHKはやらせという意図を持っていたのかを、冷静に検証したい。

この番組は、ニュース内の1コーナー(4分程度)だった。
ニュースの内容は、一言でいうと「貧困の現状を知ってもらうため、『かながわ子どもの貧困対策会議』が開いた講演会で、少女がスピーチをした」、それだけである。

では、その講演会はなぜ企画されたのか。

まず、神奈川県が設置した会議「かながわ子どもの貧困対策会議」の議事録を見たい。
(なお、会議を設置した目的は、設置要綱より「神奈川県の子どもの貧困対策に高校生や大学生、支援者の視点を反映させるため」である)

議事録から、この講演会の目的が分かるくだりを引用する。
(この会議には、大人の有識者数名に加えて、高校生代表と大学生代表が1名づつ、子ども部会委員の高校生が3人参加している。その中に少女もいる)

(大学生代表委員)
提案の一つ目が講演会の企画と開催。これは子どもの貧困に対する誤った認識などを正しく理解してもらうために、高校生や学校の教員、私としては特に学校の教員に知って欲しいと思っております。

(中略)

(高校生代表委員)※少女かは不明
私は高校生で、私立高校に通っていますが、身の周りにあまり日本の子どもの貧困について知識がない、見たことがないという友人が多い。このような講演会や会議を開くことによって、子どもの貧困、日本にも子どもの貧困があるんだということを気づくきっかけにもなると思うので、マイナスなイメージを持つということよりも、まず知ることから子どもの貧困について始めるべきだと思います。

(中略)

(赤間委員)
(中略)そしてなによりも、自分の置かれている立場を知らない子たちも、たくさんいると思います。 例えば、部活の遠征に行けない、給食費が払えないとか、そういった生活がずっと続いているから、それが当たり前だと思っている。それをあえて困窮しているなんて認識はないです。児童養護施設の利用者のなかでも、回転寿司に初めて行って、どう取っていいか分からない子たちもいます。
そのため、今置かれている生活が基準で、本当に困窮していることが分かっていない子たちが当事者たちにいること。そして、一生懸命勇気を出して、私たちはこういうことで我慢していたんだというメッセージを伝えることによって気づいていない子どもが共感していくことが必要ではないかと思います。
(太字は筆者)

つまり、この講演会は、こんな目的で行われた。

  • 子どもの貧困を正しく理解してもらうため
  • 身近に子どもの貧困があることに気づいてもらうため
  • 自らが貧困だと気づいていない子どもに、講演会のスピーチをきっかけに意識を持ってもらい、交流・相談会への参加につなげる
  • 高校生や学校の教員が対象

この2・3番目を受けて、少女から下記のような言葉が出たのだと思う。

家にはパソコンがなかった。学校の授業ではうまく扱えず、付いていけない。中学校時代には塾に行けなかった。その都度、母や先生に助けられて乗り越えてきた。だが自分は「貧困」に当てはまるのかもしれないー。フォーラムの準備を進める部会に参加して、初めて感じた。

貧困問う青年の主張 県対策会議に高校生ら|カナコロ(神奈川新聞)

つまり少女は、自分が貧困だと今まで気づいていなかったが、この講演会の準備活動を通して自覚した。
(これは、少女が貧困ではなかったという意味では決してない)

この講演会のねらいは、高校生や教員に、貧困が「人ごとではない」と気づかせることである。
少女も、委員としての活動を通して、貧困を自分の身にひきつけて考えたとき、初めて自分が貧困であることに気づいたのだろう。

NHKはヤラセを行ったのか?

結論としては、NHKは「貧困は身近なものであると気づかせるための講演会で、少女がスピーチした」というニュースを伝えただけであり、やらせや捏造を行ったとはいえない。
講演会はNHKが企画したものではなく、少女もNHKが用意したわけではないからだ。

だが、NHKの報道のしかたには、下記の問題がある。

  • 名前と顔を出す必要はない(Xさん等の無関係なイニシャルと、首から下だけの映像でよい)
  • 冷房がわりに保冷剤を使ったり、パソコン練習用にキーボードだけ買ったというエピソードは、たとえスピーチの中にあっても、取り上げる必要はない
  • エピソードを紹介することで、少女を「コンテンツ」として消費するのではなく、この講演会のねらいや貧困が起こる背景の方をより説明するべき
  • たとえ捏造でなくとも、自社の報道で少女の家に他人が押し寄せるほどの騒ぎになっているのだから、何らかの説明をするべき

さらに、神奈川県と「かながわ子どもの貧困対策会議」も、県と会議が主催した講演会のために、未成年がこれほどのネットリンチの被害を受けているのだから、マスコミを通して何らかの説明と対策をするべきだ。

疑問なのは、なぜか神奈川県のサイトには、講演会のための会議の議事録はあるのに、実際の講演会のページがない。
詳細は分からないが、県と会議が少女に配慮していることが伝わるような、対策ページを至急作るべきだ。

今は少女ひとりが矢面に立っていて、会議の議事録にあった、貧困である子どもへの配慮の言葉がむなしく響く。

心配されるのは、やはりみんなが強い人間ではない。強くない人間を無理に前に出してくると挫ける。どうやってその足元を固めてあげられるか。一緒に寄り添ってあげられるか。

最後に、少女は貧困なのか? どこかの議員が言ったように「嘘つき」なのか?
これについては、お金がなくて進学ができない、この1点だけで絶対的に貧困である
その理由は次回説明したい。(この記事は全2~3回となります)

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