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トルコとミャンマーの違い

このエントリは連載ものです。

第一回 問題はデータと首相の認識

第二回 びっくり! これが日本の難民認定基準

第三回 難民条約とインドシナ難民


下記は 2005年から 2011年にかけての日本の難民認定数と庇護数、そして、その中に含まれる「ある特定国の人の割合」です。

庇護数とは、「難民とは認められないけど、(本人が病気だったり本国が混乱してるので)すぐに帰国しろとは言わない」として一時的な滞在許可が与えられた人の数です。

<難民認定&庇護数に占める特定国の割合>

2005年 難民認定 46人中 43人(93%) 庇護 97人中 52人(54%)

2006年 難民認定 34人中 28人(82%) 庇護 53人中 33人(62%)

2007年 難民認定 41人中 35人(93%) 庇護 85人中 69人(78%)

2008年 難民認定 57人中 38人(67%) 庇護 360人中 344人(96%)

2009年 難民認定 30人中 18人(60%) 庇護 501人中 478人(95%)

2010年 難民認定 39人中 37人(95%) 庇護 363人中 356人(98%)

2011年 難民認定 21人中 18人(86%) 庇護 248人中 214人(86%)

・・・

なんつーか、いくらなんでも「特定国の割合」が高すぎません? 8割とか 9割とか。。。

これじゃあまるで「日本はこの国からしか難民は受け入れない! この国の人しか庇護しない!」って決めてるかのような偏りぶりです。


これがどこの国なのかは最後に明かすとして、ここではまず、日本の基準で難民認定をすることの「相手国への意味合い」を考えてみます。

第二回エントリに書いたように、日本は迫害主体が「相手国の政府」でないと難民とは認めません。

つまり日本に難民認定をされたら、その国の政府は「あんた、国民を迫害してるでしょ!」と日本政府に指摘されたも同然なんです。


たとえばトルコ人が日本で難民として認定されるのは、とても難しいことです。

ご存じのようにトルコはクルド人問題を抱えており、長く弾圧とテロの応酬が続いています。

でもクルド人の反政府組織のメンバーが国外に逃れ、日本に難民申請をしても認められる可能性はとても低い。

だって・・・そんなことしたらトルコ政府が怒るから。


トルコは超のつく親日国だし、日本もその良好な関係を活かし、トルコに鉄道や原発、橋やトンネルなど大型インフラの輸出をしたいともくろんでいます。

そんな中、日本人がクルド人を「トルコ政府から迫害を受けているので保護する必要がある」と認定してしまったら?

トルコ政府は、日本政府の判定を非常に苦々しく思うでしょう。

難民認定をする法務省としても、そんなことで日本企業がトルコでのビジネスチャンスを逃したら、他省庁や官邸からボコボコにされてしまいます。

だから迂闊なことはできないのです。


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あちこちからの感謝状や表彰状が並ぶ JAR オフィス


さて冒頭の表、日本における難民認定&庇護数の 8割以上を占めていた国は、実はミャンマーです。

ミャンマーはつい最近、アウンサンスーチー氏が率いるグループが政権を執るまで、長らく軍事政権下にありました。

その間、日本を含め西欧諸国は軍事政権に経済制裁をし、反体制派であったスーチー氏を支持してきました。

だからビルマ人を難民と認定し、軍事政権から「日本、ウザっ!」と思われても、日本はあまり困りません。これが「日本政府としては決して怒らせたくないトルコ政府」との大きな違いです。


ただ・・・それに怒ったのか偶然なのかはわかりませんが、2007年に反政府デモを取材していた日本人フォトジャーナリストの長井健司さんがミャンマーで射殺されるという事件が起こりました。

中東でも殺される日本人ジャーナリストはいますが、それらの大半は流れ弾にあたったか、過激派による身代金目的の誘拐です。


んが、長井さんはそうではありませんでした。

デモを撮影していた長井さんを鬱陶しく思った軍事政権が、彼を狙って撃ち殺した可能性が高いのです。→ wikipedia 長井健二さんの事件

軍事政権が外国人ジャーナリストを狙い撃って殺すなんて、かなり衝撃的ですよね。

ビルマの軍事政権だって、そんなことをしたら日本との関係が決定的に悪化することは分かっていたはず。


そして長井さん射殺事件の翌年、日本はミャンマー人の庇護数を 69人から 344人へといきなり 5倍近くに引き上げます。

これは外国人受け入れに超超超消極的な日本としては異例ともいえる受け入れ拡大です。


政府が極めて親日的であるトルコからはほとんど難民を受け入れず、

受け入れるのは、その国の政府と日本政府が敵対している時だけ・・・


現実社会のなんと複雑なこと。

日本に限らず、このように難民認定と国際政治はあまりにも密接に結びついているのです。


この本には私が 20代の頃、軍事政権下のミャンマーをひとりで訪れ、大金持ちのおじさんからプロポーズされたエピソードが載ってます・・・


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ちきりん
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当時、ミャンマーを一人旅するために作った会話用メモ。迷子になったりして大変でしたよ。。

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なお、誤解の無いように。

当時、難民認定される人の 8割、9割がミャンマー人だったと言っても、その認定率は決して高くはありません。

ミャンマーには政府から迫害されていることが明らかな少数民族もいますが、彼らでさえ日本で難民として認めてもらうのは至難の業です。

むしろあの偏り具合は、「ミャンマー人以外が日本から難民認定してもらうのは、ほぼ不可能に近い状況だった」と理解した方が正しいでしょう。


次回に続きます。


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そんじゃーね!


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