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【ボスの給与とリスクの取り方】

「志が低く、責任感がない。自分たちの問題であるにもかかわらず、他人事のようなことばかり言う。普段は威張っているのに、困難に遭うとわが身かわいさからすぐ逃げる。これが日本の中枢にいる『リーダーたち』だ」・・
と始まる黒川清さんの著書「規制の虜~グループシンクが日本を滅ぼす」

日本の企業経営者がリスクをとらないのは給与が低すぎるからだと指摘するのがThe Economist(8/6号)です。

黒川さんが言いたかったのは、そういうことではありませんが、報酬の安さゆえにリスクをとらず慎重な行動をとるという指摘は興味深いのでご紹介します。

Bosses’ salaries in Japan – Japanese bosses still find it hard to ask for more (日本のトップの給与~日本の企業経営者は今なお、より高い給与を要求しづらい)は、ざっくりこんな内容です(全文の翻訳ではありません)。

忠誠心があり、終身雇用の社員との団結の心を促進するため、日本の企業経営者は謙虚な家に住み、地下鉄で通勤する。また、国際的に比較すると、社員と社長との給与差をなるべく小さくする。
このため、ソフトバンクが前の副社長のニケシュ・アローラ氏に2年間で支払った報酬が315億円だったことは、理解の域をこえているのだ。

コーポレート・ガバナンスの専門家は、多くの国ではトップに対する過剰報酬への対応に追われるが、日本では安い社長の給与がどれだけ大きな問題か思案している。上場企業の役員が受け取る報酬はアメリカと比べるとざっと10分の1である。

日本でもアローラ氏や、日産自動車のカルロス・ゴーン社長のような外国人ボスの報酬は、国際的な水準だが、ローカルな役員が高給を受け取るのは極めて例外的だ。

報酬の低さは、慎重すぎる日本のカルチャーに寄与していることは間違いない。日本ではリスクのある投資案件に賭けるよりも、内部留保をため込みたがる。ゴールドマン・サックスによると、より高い報酬を得ている役員ほど業績が良いということだ。

日本では、大胆な決断をするには金銭的なインセンティブはないばかりか、うまくいかなった場合の社会的な制裁が待っている。新たな進路がうまくいかなかった場合、メンツを失うばかりか、社員のリストラに直面し、退職後も顧問として残るという特権を失うことになるのだ。

新たな動きもある。資生堂や大林組は、企業業績に連動する形でストックオプション(新株予約権)を付与することにしたのだ。
https://www.shiseidogroup.jp/ir/pdf/ir20160223_198.pdf
http://www.obayashi.co.jp/uploads/File/company/corporategovernance20160428.pdf

ただし、2010年に導入された規制が報酬の引き上げを邪魔している。上場企業に対して、役員報酬が 1億円以上の役員を開示するよう金融庁が義務付けたのだ。それまでは役員報酬の総額を公表していたが、投資家にいっそうの情報を開示するという姿勢から採用された。

2014年には、上場企業のわずか9%の役員が対象だった。それでも日本では開示されるのは恥ずかしいこととされた。企業の報酬委員会のアドバイスを行うペイ・ガバナンスの阿部直彦代表によると、新たな規制が導入された当初、多くの企業から他社の報酬について質問攻めにあったという。

西側でこうした開示が行われれば、報酬が過小の役員の金額を引き上げる効果がある。阿部氏によると、日本では開示対象とならないよう、報酬のカットが行われたそうだ。

それでも進展はある。1億円以上の報酬を受け取っている役員は 2009年時点の300人から500まで増えている。もう一歩踏み込むべきだと主張する経営者もいる。

サントリーHDの新浪剛史社長は、単純な線引きはやめて、高額の役員報酬はすべて公表するべきだと主張する。経営者に多額の現金やストップオプションを堂々と付与することが、他国と比べてあべこべの日本で最もうまくいくかもしれない(Openly paying bosses oodles of cash and stock options might work best in topsy-turvy Japan) 。

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