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それでも、ひきこもりはキムタクがきらいか?

■キムタクとマイルドヤンキー

ひきこもりの若者(主としてヘテロ男子)は、たいていはキムタクが嫌いだ。

どうやらキムタクは二重にヒッキー男たちを刺激するらしい。

それは、

1.マイルドヤンキー嫌い

2.ルサンチマンを呼び起こす

という二点だ。

1.については、たぶんキムタクはマイルドヤンキーではなく、どちらかというと、思春期の頃はヤンキーの対局にあったと思う。

今でも僕が忘れられないのは、あの『あすなろ白書』でのはにかんだ演技だ。あの仕草、あの独特な陰影はとてもマイルドヤンキーのものではなく、どちらかというと当時流行っていた台湾映画の主人公のようだった。たとえば、『クーリンチェ少年殺人事件』とか(■嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』)。

が、ロンバケの頃からかな、徐々にキムタクはメインストリームに乗って行き、その仕草やしゃべり方もマイルドヤンキーっぽくなっていったことは確かだ。だから、ひきこもり青年たちの苦手とするマイルドヤンキー系列にキムタクを並べたとしても仕方ないとは思う。

■キムタクとルサンチマン

ルサンチマンを厳密にひきこもりとキムタクの間に当てはめようとすると少し難しいのではあるが、「キムタク自体を否定するという作業が現実のひきこもりの自分を何とか容認することに直結する」という意味では、大きな意味でルサンチマンだと思う。

これまで僕が出会ってきた大勢のひきこもりヘテロ男子のほぼ全員、キムタクが嫌いだった。

それは上記『あすなろ白書』時代ではなく、キムタクがキムタクになった以降を指しており、あの感じ、ちょっと斜め上を向いて鼻をすすり、微妙に巻き舌ではあるが甘え上手な感じで、しかも初期のはにかみ感も残しつつ、上から目線でありながらなんとなく平等であり、最後はしっかりヒロインに対して王子様になる、あの王道キムタク路線が、ヒッキー男子たちは嫌いで嫌いで仕方ないようなのだ。

キムタクは歌も上手だ。「夜空ノムコウ」は、オリジナルのスガシカオの完ぺきさが物足りなくなるくらい、キムタクの甘え声がこちらに寄り添ってくる。

僕などはあの感じが好きで、ひきこもり青年たちとカラオケイベントに言った時、エヴァ等のアニソンに飽きた頃僕が油断して入れるSMAPソング(「セロリ」もかっこいい)に、ひきこもり男子のマジでブチ切れ寸前視線に晒されたものだ。

キムタクを否定することで、現在のひきこもり生活を何とか肯定できる。その否定のルサンチマンが、その頃のひきこもりの彼らを支えていたとすると感謝しなければいけないが、それだけキムタクは完ぺきだった。

■キムタクと「父」

それが今回の解散劇だ。

芸能報道によると、もっぱらキムタクが悪役になっている。僕も最初はキムタクが嫌だったが、この頃は、反キムタク派の先鋒であるシンゴちゃんのほうがなんとなくいや~になってきた。

実はSMAPの中で最も才能があるらしい(ライブの演出等含む)シンゴちゃんにとって、信頼の絆で結ばれるIマネージャーとともに独立したほうがメリットがあると、素人の僕にもわかる(結構僕は芸能好きなんですね)。

まあここは芸能コラムではないのでそれ以上詮索せず、キムタクが悪役になった原因に絞って考えてみると、これは誰でもわかるがすべては「家族」のためだろう。

この家族原因論をより深く分析すると、やはり当欄の主旨から外れるため詳しくは自重するが、SMAPのメンバー中、キムタクのみが一般的「父」であることがポイントだ。

一般的に「父」は冒険できない。その役割は、自らが属する家族構成を維持するために設定されたキャラだ。奥様がしっかりもののシズカであるとかなんとかはほとんど関係ない。

父とは、父という役割を受け入れてしまった存在であり、その役割を容認したことで限りなく精神的に癒されるだろうし、今回のように長年の仕事仲間を裏切ってまでも家族システムを維持する役割なのだ。

そのいさぎよさは、根本的に保守的なひきこもり男子たちの憧れなはずだ。

■ひきこもりの憧れ=キムタク

つまりは、「家族を守った父親」が今回のキムタクが演じたものであり、こうした父像にヒッキー男子たちは実は憧れている。これまでのルサンチマンを発動させるために嫌いになったキムタクとは違い、ヒッキー男子たちがたぶんなりたいオトコ像に、キムタクはなった。

だから、表面的にはキムタクはひきこもり男子たちからこれからも嫌われるであろうが、これまでのように無条件の否定的存在ではなくなっていく気もする。★

Amazonより『あすなろ白書』、前列がキムタク。青春だ。
Amazonより『あすなろ白書』、前列がキムタク。青春だ。

※Yahoo!ニュースからの転載

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