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IQテストの不都合な真実

 頭の出来を測定してそれを数値化するのは、意外と難しい。

 知能を測る方法として今はIQ(知能指数)テストが広く使われているものの、実際はそのテストにもさまざまな種類がある。質問事項は多様で、同じ人が受けてもいろいろな要因で結果に違いが生じることがある。数値が大きく変動することは少ないが、研究によれば同一人物でも10ポイントほどの幅が生じるケースもあるという。

 IQテストが「あまりちゃんとしたものではないということは、私たちも分かっている」と話すのは、イリノイ州立大学の心理学者W・ジョエル・シュナイダー氏だ。アセシング・サイキというサイトで知能に関する様々なブログ記事を書いている同氏は、現代のIQテストは「風呂場に置いてある安物の体重計」みたいなもので、使うたびに毎回少し数値が変わると指摘する。「IQを数字で測ろうというコンセプトがそもそも壮大で、誰もが納得できる方法はない」

 IQテストは、論理的な考え方や特定のパターンを認識する能力、言語力、空間的な方向感覚、さらには短期記憶力などといったいくつかの才能を測った結果をまとめた数値だ。しかしそれを測定するテストは複数の会社がいくつも提供しており、必ずしもそれらが同じ項目を測っているとも限らない。なかにはひとつの分野を他の才能よりも重視するものや、測定する項目を絞ったIQテストも存在する。一定の項目だけに集中してIQを測った場合、出された数値が実際のIQよりも高い場合や低い場合があることも多い。

 「IQテストは一種類しかないと勘違いしている人がたくさんいる。でも実際にはいくつかのタイプがある」とシュナイダー氏は言う。

 勉強で学んだことを測定する学力試験とは違い、IQテストは一般知能を測る目的で行われる。中には2項目でIQを調べる簡易試験もあるが、正確に数値をはじき出そうとする場合は7つからその倍の14項目程度を調べることもある。ただし具体的にそれをどう測定するかは決まりがあるわけではない。

 「こうした状況なので英才教育にかかわっている関係者は頭を抱えてしまう」。こう話すのは、精神測定学を研究し、ウッドコック・ジョンソン知能検査の一部作成を担当したケビン・マグリュー氏だ。「ある分野で特別な才能を持った子供がいたとしても、IQテストの測定項目にその分野が必ず含まれているとは限らない」

IQテストの語源

 現代の知能テストは20世紀初頭にフランスで誕生した。もともとは生徒らが学校の授業についていけるかどうかを判断するためのもので、実年齢と精神的な年齢の違いを測るのに利用されていた。例えば8歳の子供が6歳程度の精神年齢とされる数値が出た場合、その子供は2年遅れていると判断する方法だ。

 とはいえ実年齢とは違い、精神的な成熟は進み続けるものではない。そのため心理学者らは別のやり方を求め、数年後には精神年齢を実年齢で割る方法に変更している。導き出された精神年齢を実年齢で割り、その数値に100を掛ける数式だ。知能レベル(intelligence)を求めるために割り算の商(quotient)を使うので、その頭文字をとってIQと呼ばれるようになった。

 この方法を使うと、8歳児が6歳児程度の能力を示した場合その子のIQは75となり、14歳の子が12歳程度の能力を示すと、同じ2年の差とはいえ、その子のIQは86となる。この方法は知能を測る上で多少は精度を上げたものの、成人向けの測定方法としてはさらなる調整が必要となった。40歳の人物が38歳の精神年齢であったとしても、その差から当人の知能を測ることに意味がないからだ。

 当初の名残としてIQという言葉が使われているものの、現代の知能指数テストは本人と同じ年齢層の他人とを相対的に比較する方法をとっている。一般の平均を100とし、標準偏差は15とする場合が多い(中には違った標準偏差を使うものもある)。そしてテストの結果はある程度の誤差を見込むものとして結論付けられている。つまり、今のIQは推測された数字にすぎないということだ。

死刑執行やNFLにもIQテスト

 現代のIQテストにおいては、大体3人中2人がIQ85からIQ115の範囲の間に収まる。全体の95%はIQ70からIQ130の枠に入る。残りの5%の人口の半分が知的障害とされる70以下か、130以上の数字を出す構成だ。

 IQテストは会社採用試験の際に応募者の適性を判断したり、社会保障の給付金を受け取る資格があるかを判断するために使われることもある。2002年には知的障害者の死刑執行が憲法違反だと連邦最高裁が判断したため、その是非を決めるためにテストを受けさせることもある。さらに米プロフットボールリーグ(NFL)では、もともとは職場適応能力を測るために作られたワンダーリック試験と呼ばれるIQテストを定期的に選手らに受けさせたりもしている。

 IQテストの主な利用目的は、学習障害を持つ生徒や英才プログラムを受けさせる生徒をスクリーニングすることだ。

 マグリュー氏によれば最も正確なIQテストで高い点数を取る生徒は、学業テストでも優秀な成績を収める傾向があるという。ただしどんなに詳しいIQテストであっても、学業の面での成績を4割から5割程度の精度でしか予測できないという。

 「心理学ではその確率は高いと言える。ただ、要は勉強の出来の5割から6割は知能とは関係ない部分で決まるということだ」とマグリュー氏は話す。

 基本的な知能を持つことの大切さを疑う人はいない。しかしIQテストでは測ることのできない本人のやる気や動機、意志の強さなどが、結果的にその人物が成功を手に入れるかどうかを大きく左右するという。

 もちろん、これ自体は何も新しい発見ではない。発明王トーマス・エジソンが言った通り、天才とは1%のひらめきと99%の努力である、ということだ。

JO CRAVEN MCGINTY

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