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書評: 「Japan, Fukushima. Und Wir」

この本が出される前から、アマゾンで予約しました:

Reinhard Zo"llner先生の「Japan, Fukushima. Und Wir」という本です。(ドイツ語が解らなくても、タイトルは解るかと思いますが: 「日本、福島。そして私たち」です。)
ツェルナー先生はボン大学日本・韓国学研究専攻の教授で、専門は日本史。2011年3月11日は家族(奥様、2女1男と5人家族)日本にいました。3月11日とその後の、先生の身の回りに起こったことから、ニュースで報道されたことまで細かく書いてあります。もちろん、3月11日以降の日々を日本で、首都圏や東東北で経験した人なら、誰でも、センセーショナルに書けるでしょうけれども、ツェルナー先生は大変に落ち着いている口調です。この半年の短い時間で、かなり徹底的に細かく調べています。Japan. Fukushima. Und Wir. (学者ですから当然でしょうね!)

自らの経験だけではなく、この半年のことを様々な観点でドイツ語圏読者向けに説明しています:

 日本に地震が多い理由。のことから最先端の日本の地震学(最初に計測された遠距離地震はちなみに、震源が日本で、ドイツのポツダムで計測されたとは!それから、中世のドイツも地震は魚が起こすと信じられていたようで驚きました)。

原子力を警戒していた学者の言葉(石橋克彦茂木清夫)。原爆経験から原子力国への移行。原子力委員会日本原子力研究所動燃、関連省庁、メディア、産業界、研究者等々の関係性。ふげんもんじゅむつ東海村六ヶ所村の諸問題。

原発ジプシープルト君熊取六人衆。原子力村。再生可能エネルギーの日本トライアル史:風力発電(つくば市の「まほろば」)、水力発電(八ッ場ダム)、地熱発電所の鬼首。東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請。大衆文化での放射能・原子力: 鉄腕アトム、ゴジラ、アキラ、ナウシカア、黒澤明の「夢」日本沈没

ドイツ大使館、THW(ドイツ内務省管轄下の救援活動機関、恥ずかしながら3月15日活動終了3月19日帰国)の態度等々
本の内容をここで詳しく書きますと、自分でも本を書くようになりますので、ここで「短時間であんなに徹底的に調査してかけたことは感動しました。」とまとめさせて頂きます♪ 一度だけ読んだこの本は、こういう書評を書いても、良さは十分に表していないかもしれません。半年後にもう一度読みましょう。その間は「読みたい!」というドイツ人、オーストリア人、ドイツ語が読めてドイツ文化もよく分かる日本人の友達はすでに何人がいて、その友達に読んでもらおう!

それから、個人的に、もっとも読み甲斐を感じたとは、ドイツメディアの非難、それからドイツ人の、原発事故に対する反応について書かれたものでした。震災後に、私自身も色々な人に(ドイツメディアの)記事を送られて、それも誤報が多く、大変でした。『日本では実態が報道されていない』んだからと言って、海外でのメディアが正確である訳ではありません。(事前にここでオーストラリアのテレビ局の報道を紹介しました。)

例え、ツェルナー先生が挙げる一つの例を紹介します。
5月28日に、「強い台風、フクシマに迫る」と全国新聞のFAZは報道していました。それは、28日現時点で台風第二号で先島諸島が暴風域に入いりました。もちろん、警戒区域の大熊町、楢葉町、富岡町で予定された一時帰宅が中止されたことも事実ですけれども、28日現時点、台風は沖縄にあったから、「フクシマに迫る(bedroht Fukushima)」ということを一面に報道する事はないと思います。当然、鹿児島県と宮崎県の一部も暴風域に入ってから、6月7日、台風2号から変わった温帯低気圧がアリューシャン列島地区で完全消滅したことは、当然、一面で報道されませんでした。

 前にこのブログで紹介・翻訳しましたドイツの一面の大見出しを覚えている読者はいらっしゃるかもしれませんが、(3月19日、その一3月19日、その二3月22日)、一面の大見出しも、その関連記事はステレオタイプに満ち溢れていました。わたしは本当に読みづらかったです。ドイツに行って、知らない人に、「ようやく真実が読めてほっとしたでしょう?」と聞かれました。しかし、わたしは、一面をみるだけでも、読む気はなくなりました。上の3月の新聞が写っているページを見ていると、解るかと思います。「20年後に子供に見せて、一緒に笑う一冊」だけは買いました。それ以外は各地で朝日新聞を買って、読みました。

ツェルナー先生が挙げる例は、私はまさに、イライラした記事です: 「日本人は不気味なほど落ち着いている」、「冷静で崖っぷちに」、「ストイックなぐらいの我慢強い」、「伝統的にお上の言い分を全て絶対視する」、「宿命論」のようなことが書かれていました。震災前に言われても、いい気分にはならないステレオタイプでしょう?
「壊れた家で洗濯物を干す」ことは「道理に合わない」、「不合理と思われる」(absurd; irrational)と書いた記者もいました。ここでは、一般的に災害時の話をするんですけど、変なコメントと思います。どこが道理に合わなく、不合理?どこで洗濯物を干せばいいというの?

また、ある記者が三島憲一先生に「なぜ、日本人は日本に居残るの?」とまで聞いていました。(このインタビューも日本語版はどこかあったと思いますけど、みつかりません。)当然、放射能は怖いけれども、被災者の面倒を見て、がれきを片付けて、避難所を作って、被災者に食べ物を与えて、福島第一原発にとりかか日本のどこが変ですか。

ドイツメディアの反応はヒステリー、非情、無礼であり、常識に乏しいという点は多く思っていました。もっとも扇情的な新聞のビルト誌は日本語版まで出しました。それさらっとだけ読むと、どれぐらい扇情的なのは分かります。

数日前には、ベルリンで開催中の葛飾北斎展についてに書かれた記事はこのようなことまで書いてありました。
「福島原発事故についての、日本政府の公告で分かるように、歯に衣着せぬ物言い(nennt man die Dinge nie gern beim Namen)は好まれていない。それは、13歳で修業に挑んだ葛飾北斎の時代でもそうだった。(・・・) そのように1831年の津波の絵、「神奈川沖浪裏」 が出来た。これは日本人もぎりぎりのところ受け入れる(gerade noch so durchgeht) ツナミとは、日本語の単語であって、重大なことを些細な事のように見せるように(verharmlosen)、「港の波」といいます。日出づる国の言葉には、何メートルもする波の暴威(mo"rderische Wucht meterhoher Wellenwa"nde)を表す言葉がなく、いや、災害を表す言葉はあまりありません。日本人の国民性は自然の暴威を細な事のように見せるように求めている。」
いや、ドイツは本当に田舎とついつい思います。(この新聞記者も地方新聞ですけどね・・・)
もちろんすべての記者、すべての記事がダメというわけではありませんけれども、フクシマについての報道が原因で、10年以上の購読していたシュピーゲル誌の購読を解約した友達は五人もいます。その5人は、友達のクララさんが日本に住んでいる以外は、日本に全く縁もありませんが、「報道があまりにもひどすぎて、解約した。あれはジャーナリズムじゃない。」と。

ツェルナー先生はドイツの文化も、日本の文化はよくご存知で、情報源はほとんど日本で取得をしています:本、ニュースサイト、警察庁、行政、メディア、知識人、研究結果、東電の情報等々。引用するものもかなり幅広い: 石原慎太郎、聖書、スーザン・ソンタグ、メルケル首相、香山リカ、石橋克彦で様々です。文化・社会的背景に焦点を合わせて、くっきりとした、震災を様々な簡単から解明している一冊が出来ました。

ドイツ語が読めて、ドイツの文化を理解している方、是非、おすすめです!
この本が読みたくて、誰か翻訳して下さいという声は出るに違いありませんが、翻訳されたからといって、新しい情報は手に入りません。先生の情報源はほとんど日本語であって、この本はそのまとめと解説・解析であります。翻訳を読んで、「日本は駄目になっちゃった!」と喚くよりは、あらゆるところで、自分の不安、意見を主張して、声を出して下さい。その方は実りが多いと思います。

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