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「小池百合子氏圧勝」が証明した“DR戦争”の決着

小池百合子氏の圧勝で、ほっと胸を撫で下ろした人が、私のまわりには沢山いる。なにより恐れたのは、「鳥越氏が都知事になることだった」という人がいたのでその理由を聞いたら、「都政が“プロ市民”たちに牛耳られるのは、どうしても嫌だった」という。

たしかに都民とは関係のない「憲法改悪阻止」「ストップ・ザ・安倍」「非核都市宣言」……等々と、昨年の国会周辺を取り巻いた人たちが主張することをそのまま述べておられた鳥越氏とその支援者たちに、ある種の“恐怖”を感じた向きは少なくなかったようだ。

都庁で“プロ市民”が跋扈(ばっこ)し、13兆円もの予算に大きな影響を与えるような事態が避けられたことは、たしかによかったと思う。

前回のブログでも書いたように、日本の人口の10分の1が集中する大都市東京では、人生の終末を迎えた老人たちが悲惨な環境にいる。「待機児童問題」より遥かに深刻な問題がそこにはある。

NHKは、「漂流老人」という言葉を用いて、劣悪な環境の中で人生の終末を過ごす人々の姿を捉えていたが、「待機児童」問題も含めて、つくづく東京に住む人は、幸せをつかめていないように感じる。

そこへ1970年代の思想そのままの“老ジャーナリスト”が出て来ても、支持を得られなかったのは、当然だったように思う。

統一候補として鳥越氏を担いだ野党四党は、直前の参院選で計「240万票」を獲得している。知名度のある鳥越氏を統一候補にできた段階で、野党には「勝てる」という目算があっただろう。

しかし、鳥越氏が獲得した票数は、わずか「134万票」。目論見より100万票以上、少なかったのである。そのことをどう見るか。私は、この選挙が「新時代の到来」を意味するものであったということを感じる。ほかの言葉で言い換えるなら、“ドリーマー時代の終焉”ということだ。

今の世の中が、昔のような「左」と「右」との対立の時代でないことは、当欄でも繰り返し論評してきた通りだ。現実には決して目を向けない“ドリーマー(夢見る人)”と、現実を直視する“リアリスト(現実主義者)”の戦いという「DR戦争」がつづいている今、その「決着」を示す選挙結果だったように思う。

今回の選挙がおもしろかったのは、「DR戦争」を明確に示すキャラクターが揃ったことだった。まさに鳥越氏は、“ドリーマー”を代表する人物だったし、“リアリスト”である増田氏と小池氏の二人は、「組織をバックにする人」と「そうでない人」に分かれて、有権者の審判を仰いだ形になった。

選挙戦の過程で、鳥越氏は、過去に尖閣問題に関して、「一体どこの国が日本に攻めてくるって言うんですか」「(中国が攻めてくるというのは)妄想です。そんなことはあり得ない」「万一、ないとは思うが中国が攻めてくる可能性はあるかもしれない。その場合は、自衛隊が戦うべきです。アメリカなんか要らないです」と、支離滅裂な発言をしていたことが明らかになった。

それは、70年代から時間が止まっているのではないのか、と思わせるレベルの低さであり、実際に選挙演説でも、「ガン検診受診率を100パーセントにする」「島嶼部では、消費税を5パーセントにする」という現実離れしたことを語り、口を開けば開くほど票を減らしていった。

自らの女性スキャンダルが報じられた際の対応も最悪だった。「事実無根」として週刊誌を検察へ刑事告訴したが、出演したテレビ番組では、当該の女性とその旦那との「三者会談」をおこなったことを認めてしまった。その上で、最後まで記者会見も開かず、「一体、どの部分が事実無根なのか」という有権者の根本的な疑問には、ついに答えることがなかった。

その人物が、慰安婦の一方的な証言には、「立派な証拠になる」と発言していたことや、また、自らサンデー毎日編集長時代に宇野宗佑首相の女性スキャンダルを女性証言だけで報じたことを「上に相談せず、自分のクビをかけて世に出した」と答えていたことがわかり、まさに“史上最大のブーメラン”という笑い話にもなってしまった。

出馬表明の時が「支持がMAX」であり、あとは本人の実像が露わになるにつれて、票が減り続けるという、‟喜劇の主役”ともなった鳥越氏を見て、私は、この鳥越氏の「票の減り方」こそ、新時代の到来を意味するものだと思った。

もし、インターネット時代以前の「新聞」と「テレビ」だけが大衆の情報源だった時代なら、鳥越氏の「虚像」は、維持されたに違いないと思うからだ。マスコミの「主役」である“ドリーマー”のジャーナリストや評論家によって、露骨な鳥越氏支持の番組が目についたが、もはや、それが「通用しなくなった」ことを、今回の選挙は明確に示したのである。

私が注目したのは、投票日の出口調査で、20代の若者の中に、鳥越氏を支持する人が、「10パーセント」に満たなかったという事実である。各メディアの出口調査で、そのことが明らかになったことで、私は、「うーん」と唸ってしまった。

鳥越氏を支持している層とは、「高齢者」であり、若者は、いくら既存のマスコミが鳥越氏を推しても、もはや反応しない。笛吹けど「踊らない」のである。なぜだろうか。

それは、若い人こそ「現実」を見ているからだ。あの民主党政権時代の「3年3か月」で、就職の“超氷河期”を過ごし、いわば地獄ともいうべき「現実」を徹底的に見せつけられた。彼ら若者は、口では、耳ざわりのいいことばかりを唱えるドリーマー政治家たちの「本質」をとっくに見てとっていたのである。

それを思うと、2位増田寛也氏に100万票以上、また、3位鳥越俊太郎氏にはダブルスコア以上の大差をつけた「291万票」という小池百合子氏の大勝には、さまざまな意味が含まれていたことがわかる。

日本の選挙の中で、唯一、コントロールが利かない選挙――それが東京都知事選である。1100万人(正確には、1127万4000人)の有権者を持つ東京都知事選の結果は、言うまでもなく日本の「今後」を指し示すものである。

悔しくてたまらない既存メディアは、これを「若者の右傾化」と呼ぶ。あるいは、「ネトウヨ」などというレッテルを貼って、その真実を見ようとしない。だが、今回の選挙で明らかになったのは、「若者こそリアリスト」であり、彼らが「DR戦争の主役である」ということだ。

60年安保を経験した高齢者、70年安保を戦った団塊の世代。先にイデオロギーありきの「55年体制」にどっぷり浸かった、言わば“55年症候群”の人たちの時代は「終焉を迎えた」のである。

世代間戦争は明らかに若者、つまり、リアリストの勝利となった。その意味で、小池氏大勝は、高らかに“新時代の到来”を宣言するものだったと思う。

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