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中韓は都知事に誰が当選して欲しいのか - 澁谷司

 今年7月10日、第24回参議院選挙が行われた。周知の如く、結果は与党系が圧勝した。そのため、参議院では、(今回の非改選議席を含め)自公および改憲勢力が、改憲に必要な3分の2以上の議席を獲得している。

 そして、今度は、今週日曜(7月31日)、東京都知事選挙が行われ、即日開票される。

 事前の世論調査、ならびに期日投票前の出口調査では、小池百合子氏がトップを走っている。次いで、自公公認の増田寛也氏が追走する。さらに、その後を、野党4党の統一候補、鳥越俊太郎氏が追う展開となっている。

 3有力候補者以外にも、上杉隆氏、桜井誠氏、マック赤坂氏などが出馬し、第2グループを形成している。

 さて、中国と韓国は、有力3候補のいずれが都知事に当選すれば良いと考えているだろうか。

 それは、何と言っても鳥越俊太郎氏だろう。鳥越氏は、都知事選にもかかわらず、一貫して「反安倍政権」、「平和憲法の堅持」、「安全保障関連法案反対」等を唱えているからである。

 中韓は、「親中」・「親韓」とはほど遠い安倍内閣を1日も早く打倒したいに違いない。安倍政権は、両国に対し厳しい態度で臨んでいるからである。

 昨2015年9月、「集団的自衛権」行使を容認する「安全保障関連法案」が成立した(施行は今年3月29日)。中韓は、いざという時、自衛隊が海外で自由に行動するのは好ましくないと思っている。

 特に、中国の場合、自衛隊によって、東シナ海・南シナ海における解放軍の活動が、ある程度、制限される恐れがある。

実は、7月25日、鳥越氏は伊豆大島へ遊説し、自然豊かな同島を発展させるために、いろいろ考えねばならないとした。一つの具体的なアイデアとして、観光客を増やすと公約している。

ひょっとすると、鳥越氏の念頭には、中韓からの観光客を増大させようとの思惑があるのかもしれない。かねてより、鳥越氏は「脱欧入亜」を標榜しているからである。ただし、仮に鳥越氏が都知事となっても、観光客拡大を実現できるかどうかわからない。

 ところで、舛添要一前都知事は、新宿区にある都有地に韓国人学校誘致を掲げていた。増田寛也氏は、一応、韓国人学校誘致を白紙撤回している。

 しかし、増田氏は岩手県知事時代に「日韓グリット構想」を打ち上げている。日本と韓国の間にケーブルを結び、互いに危機が起きた際、電力を融通し合うという。

 それが、本当に我が国の国益に適うかどうか、議論の余地があるだろう。

 また、増田氏は、地域の声を踏まえ、永住外国人に地方参政権を与えるとの考えを持っている。外国人への地方参政権付与は微妙な問題である。

 増田氏のこれらの言説から推察すると、都有地に韓国人学校誘致を行っても不思議ではないだろう。

 一方、小池百合子氏のスタンスは、鳥越氏や増田氏と違って、保守的である。小池氏は、韓国人学校誘致を完全白紙撤回している。また、小池氏は「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうる」との考えを示している。これも、中韓にとって、苛立たしい事に違いない。

 以上を考え合わせると、中韓にとって1番好ましい都知事は鳥越氏である。次に、増田氏かもしれない。両国にとって、3有力候補中、小池氏だけは、当選を阻止したいだろう。

 余談だが、先日の参議院選挙では、10代・20代の多くの若者は与党へ投票している。

 これは、新メディア(Facebook、Twitter、YouTube、Instagram等)で育った世代と旧メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等)に依存する中高年とでは、明らかに投票行動が異なる。真逆と言っても過言ではない。

 以前からわれわれが主張しているように、若者は、幼い頃よりSNSに触れてきているので、情報量が多い。右も左も中道も、ありとあらゆる情報に触れる機会を持つ。そして、自由にモノを考える。その結果、若者は「保守的」であり、かつ「現実主義者」となる傾向がある。

 小池氏は、若者の心を捉え、若い世代にも人気がある。他方、鳥越氏は、60代以上に支持されている。

 SNSで育った世代の支持も獲得している小池候補が勝つのか、あるいは「シルバー民主主義」に支えられた鳥越候補が勝利するだろうか。はたまた、その間隙を突いて、自公の組織票に支えられた増田候補が“漁夫の利”を得るのか。

 興味の尽きない都知事選である。

澁谷 司(しぶや つかさ)
1953年、東京生れ。東京外国語大学中国語学科卒。同大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学等で非常勤講師を歴任。2004~05年、台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011~2014年、拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、同大学海外事情研究所教授。

専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。主な著書に『戦略を持たない日本』『中国高官が祖国を捨てる日』『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)等多数。

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