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夕張の病院を潰したら夕張は本当に健康になった? 高齢者の医療の制限

ビデオニュース・ドットコムの記事、BLOGOSからです。
病院がなくなったら市民が健康になった夕張から学ぶべきこと

前回書いた記事(行政と医療 望んでいるものが違う なくしてわかる医療の質)と関連しますので記載します。
>171床あった市立病院は廃止され、19床の診療所と40床の介護老人保健施設に再編された。救急車の応答時間も破綻前の2倍近くかかるようになっていた。当初、これは医療崩壊が避けられないもの考えられていた。
皆さんもご存知のように夕張は財政が破綻し、病院は診療所に生まれ変わりました。この時の情勢を『医療にたかるな』と村上智彦先生が本を書かれています。そしてそれを参考に海堂尊さんが小説を書きNHKでドラマ化(極北ラプソディ)されています。その結果救急など実際受け入れはほとんどできなくなりましたし、透析患者も夕張病院から移動し、一部は夕張から居住そのものも引っ越しされています。

そしてこのこと自体が医療崩壊といっていいのではないかと感じます。つまり救急システムが成り立っていないのですから。そして医療が本当に必要な人は他の町の病院に行っています。医療崩壊に伴う町の疲弊化です。周りの医療施設も頑張っているのです。
>かえって医療や健康に対する市民の意識が変わり、結果的に心疾患や肺炎で亡くなる人の割合が減ったと指摘する。また、病院が減ったために、医師が患者宅を往診する在宅医療に比重が移ったことで、高齢者一人当たりの診察費が抑制され、病院ではなく自宅で亡くなる人の割合が大幅に増えたという。
>医療体制の縮小や削減が原因で、夕張市民の死亡率や死者数が増えたということはないと話す。むしろ、高齢者にとっては、病院ではなく、自宅や特別養護老人ホームなど、終の棲家で天寿を全うし、最期の時を迎えることができるようになったことが、重要な意味を持つと森田氏は指摘する。
前半は正直勝手な解釈でしょう。では死亡率が変わらず、3大疾病が低下したということは死因に何が増えたのでしょう。答えは老衰です。ある意味PSが悪化した老人は、医療機関で病名をつけることなく自宅で看取るという割合が増えたということになります。意識が変わったことがメインではないと感じます。そして病名を診断しないのですから、積極的な治療もせず医療費は低下します。

また老衰になるような後期高齢者への積極的な医療の介入はそんなに死亡率を改善しません。だから今までの病院治療優先と介護優先の死亡率が変わらなかったのだと思います。また夕張の平均寿命は「健康」な割に長野と違いそんなに上位ではありません。

また病気ではないので老衰の方には救急車を呼ぶことが以前より少なくなります!このような理由から介護主体にしても医療は崩壊していないと森田先生は断言されているのでしょう。

ある意味手厚い?高齢者医療を省くことで、診断される3大疾病の死因の数を減らし、大部分の死亡者を老衰でくくる。一部正解だとは思いますが、それが「健康」かと言われると少し疑問ではあります。またそれは夕張のような高齢化地域だから成り立っているのではとも思われます。
>森田氏はまた、医療が高度化すると、過剰な医療サービスが提供されるようになり、不必要に医療費が膨れ上がる傾向があると指摘する。人口10万人に対する病床数が日本で最も少ない神奈川県の一人当たりの入院医療費が8万6,046円であるのに対し、病床数が2479床と日本で最多の高知県では、一人当たりの入院医療費が19万70円にものぼっている。
これは先ほどの裏返しで、その通りだと思います。病院が多いということで、病院を維持させるために診断してしまうと、後期高齢者に助けに行く治療を病院は選択してしまいます。一部を助けることはできますが、一部は介入しても結果的に治癒しない治療になってしまいます。命を数日伸ばすための医療費は1日10万以上となりますし、後期高齢者は一度落ち着いてもまた悪化するため、治癒しない治療にお金がどんどん使われます。

ただそれを過剰というかどうかは医療者が決めるものではありません。90歳の人に50歳の医療を全部やることはお金がいくらあっても足りないし、難易度は倍以上になりますが、今の状況で年齢で医師が治療しませんとは言えません。国民で議論しなければいけないのです。

実はこの夕張の健康議論2年前にアピタルで特集されています。(「病院がないほうが死亡率が下がる」は本当か (前) (後))そこからの引用です。
>在宅での「平穏死」が病院での死亡よりも常に素晴らしいとは限りません。病院で死にたいという人もいるでしょう。胃ろうを造ってでも長生きしたい人もいるでしょう。家族の社会的な事情で在宅介護がどうしても無理という人もいるでしょう。平穏死も選べるという選択肢が広がるのは良いことですが、お金がないからと平穏死を強制されるのは良いことではありません。
前回の記事を含め、医療というものは日本国である程度共通で、貧富の差で区別されないことが望ましいと常に思ってきましたが、経済を優先するのであれば最高レベルの医療はいらないというのも一つの考えです。消滅しかかっている地域にどのような医療が必要か。どれだけのレベルの医療が望ましいのか議論しなければいけません。でもこの記事の「病院がないほうが死亡率が下がる」というキャッチフレーズはとてつもない説明不足と都合のいい解釈と感じます。

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