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都知事選「主要3候補」から東京都政への強い抱負が感じられない〜田原総一朗インタビュー

7月31日に投開票を迎える東京都知事選。候補者たちは、激しい選挙戦を展開しているが、田原総一朗さんはどのように見ているのだろうか。話を聞いた。【大谷広太(編集部)、亀松太郎】

■主要3候補に感じる「違和感」

今回の都知事選では、増田寛也さんと小池百合子さんと鳥越俊太郎さんの3人が主要な候補と言われている。しかし、正直なところ、3人とも都政に対する強烈な抱負が感じられない。

増田さんは、岩手県知事と総務大臣の経験があるが、一言でいえば、地方活性化の仕事をしてきた人だ。いかに地方を発展させるか。東京から地方に人をどう流すか。それは、東京をいかに寂しくするかということでもある。

そういう人が都知事になるのは、やや矛盾するのではないか。官僚出身だから頭の切り替えが早いかもしれないが、その点に疑問を感じる。おそらく、自民党から頼まれて、やむなく立候補することになったのではないか。

小池さんは、もし当選すれば、初めての女性の都知事ということで、それはいいことだ。

イギリスでは女性の首相が誕生したし、アメリカも初の女性大統領が生まれる可能性が現実味を帯びている。そういう意味では、時代の流れに乗っているとも言える。

ただ、小池さんは出馬会見で、都議会を冒頭解散すると発言した。おそらく都議会自民党が出馬に反対したからだろうが、冒頭解散よりも都知事になって何をしたいのかを、もっと語ってほしい。

鳥越さんは、元毎日新聞の記者で、ハト派のジャーナリストだが、先日の参院選の結果を見て出馬を決めたと話している。

つまり、参院選の結果、自民党と公明党、おおさか維新の会という「改憲派」が3分の2を越えたことに強い危機感を覚え、都知事選への出馬を決意したのだ、と。

気持ちは分からないでもないが、鳥越さんが都知事になっても、国政の議席数が変わるわけではないので、ちょっと違和感を感じる。

ただ、鳥越さんと同じような前例がないわけではない。1967年の都知事選に出馬した、美濃部亮吉さんだ。美濃部さんは、社会党と共産党の推薦を受けて戦ったが、そのときのスローガンは「ストップ・ザ・サトウ!」だった。

当時の国政は、自民党の佐藤栄作内閣で、1強多弱の安定政権だった。鳥越さんと同じように、美濃部さんが都知事になっても、佐藤政治を止められるわけではなかったが、美濃部さんは当選し、3期も知事を務めた。

それにならえば、鳥越さんは「ストップ・ザ・アベ!」なのだろう。その声が都民に届けば、当選の可能性がなくもない。

実は、今回の主要3候補に比べると、途中で知事を辞めざるをえなかった猪瀬直樹さんや舛添要一さんは、いずれも都政への強い抱負を持っていた。そういう意味では、2人の知事が、都政以外の問題で辞めざるをえなくなったのは残念なことだ。

■永六輔さんや大橋巨泉さんが亡くなって

このところ、永六輔さん、大橋巨泉さんと、僕と同じ世代で、テレビで活躍してきた人たちが立て続けに亡くなっている。少し前に亡くなった蜷川幸雄さんや野坂昭如さんも同じくらいの世代だ。

同世代が次々とこの世からいなくなるのは、非常に寂しいかぎりである。

野坂さん、蜷川さん、永さん、大橋さんは、戦争を知っている世代。大橋巨泉さんは、僕と同じ1934年(昭和9年)生まれの82歳。戦争を知っている最後の世代だった。

僕は、小学5年の夏休みに天皇の玉音放送があり、敗戦を知った。その経験から、僕らの世代には、いかなる理屈があろうと戦争はダメだという気持ちがある。

終戦の年は、教師や校長や新聞・ラジオが1学期に言っていたことと、夏休み後の2学期になって言い出したことが、全然違うものだった。

1学期まで、教師やマスコミは、この戦争は聖戦で、世界の侵略国であるアメリカやイギリスを打ち破って、アジアの国々を独立させるのだと言っていた。2学期になったら急に、日本の戦争は間違った戦争で、侵略戦争だったと、ガラリと変わった。

そういう経験をしているので、大人やマスコミが言うことは信用できないという気持ちがある。それが僕らの世代の原点になっていて、いまも心の中に持っている。

そういう気持ちを持った戦中世代が、だんだん減ってきている。それだけに、「言論・表現の自由は絶対に大事で、どんな理屈があっても戦争はダメなのだ」と、使命感を持って言わなければいけないという気持ちが強くなっている。

永さんや大橋さんも、そういう思いでテレビの仕事をやっていたのではないかと思う。

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