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ポケモンGOに求める「進化」とは?

ローリングストーン日本版
世界で最も人気のあるモバイル・ゲーム「ポケモンGO」の進化、それも早い進化を期待しよう。
先週末、『Pokémon GO(以下、ポケモンGO)』はたったの数時間で約1,000万人のプレイヤーのスマートフォンにダウンロードされた。2,000万人以上のアクティブ・ユーザーを擁するTinderとTwitterを上回り、米国で過去最大のモバイル・ゲームとなったことは間違いない。90年代後期の現象がいまだに支配しているというその影響力に畏怖の念を抱きつつ、1つの問いが頭をよぎる。"次は何か?"だ。

このリアリティ・ゲームがたとえ一過性であるにせよ、この現象はポップ・カルチャーにおける特異な瞬間として記憶されるだろう。現在の状況では、ポケモンGOには、ポケモンの魅力の多くが欠落しているが、されど、ポケモンである。だが、それもまもなく変わりそうだ。本稿では、ナイアンティック社が開発したこのスマッシュ・ヒットに何が欠落しているのかを考えてみた。

ポケモンの交換
「交換」はポケモンのコアとなる要素で、レアなポケモンを存在させ、プレイヤーは誰かの助けなく、独力ではすべてを"ゲット"できないようにしておくアイディアだ。1996年、最初のポケモン・ゲームが2つのバージョンで初代ゲームボーイ向けに日本で初めてリリースされた時、151種類のポケモンが2つのゲームに拡散されたため、不思議なモンスターたちをすべて集めようとすると、異なるバージョンのゲームを持つプレイヤーとの交換が必要だった。ポケモンGOになると、すべてを集めることは、以前とは全く異なる規模となる。たいていの人々は、誰がどのモンスターを持っているかを直接見つけることなどできず、すべてを集めるのは途方もない作業となる。これによりSilph Road/シルフ・ロード("シルク・ロード"のもじり)と名付けられた、レディット(米国版2ちゃんねる)のコミュニティーが大胆にも誕生した。このゲームを開発したナイアンティック社は、この課題について明らかによく理解しているようだ。「ポケモンの交換は実現します。現状のリリースではありませんが、現在作業中で、全力で取り組んでいます」とCEOのジョン・ハンケはGlixelに話している。

アイテムの交換は、ナイアンティック社のもう1つの位置情報を利用したモバイル・ゲーム、『Ingress』でも大きな役割を果たしている。ポケモンGOの前身であるIngressによって、ナイアンティック社は人口動態の莫大なデータベースを収集し、位置情報ベースの拡張現実の基盤を提供できるようになった。ポケモンGO
とIngressは、結局のところロケーションを中心にすべてが展開するので、ポケモンの交換も今そこにいる地域に限定されるものとなるだろう。

このことはプレイヤーに欠乏感を持続させるのに役立つ(中国でしか見つからないポケモンをすぐに手に入れることはできない)が、自分が持っていないポケモンを持つ人はすぐに見つかる。ゲーム全体が"6次の隔たり"の過去最大の実証実験に移行するかもしれない。

コンテストと写真
ポケモンのシリーズは、ポケモン同士を戦わせるコンセプトを中心に考えられてきたものの、過去20年間にずいぶんと進化してきた。これは最新のゲームのいくつかで特に顕著だ。2014年の『ポケットモンスター オメガルビー/アルファサファイア』は全体を通して、可愛い生き物のビューティー・コンテストに注力して作られている。一方で、不思議でレアな特徴を選ぶために、主にゲーム内の"飼育的"な要素に専念するプレイヤーもいる。また、ずいぶん前だが、任天堂がポケモンの写真を撮るためだけにサファリに行くというゲームを作ったことも忘れてはならない。

ポケモンGOで、こうしたことをさらに拡張しない手はない。新しいポケモンを発見するためだけに歩くのではなく、すでにゲットしたポケモンたちと歩き、新しい場所や場面で見せ合い、さらにポケモンたちに新しいワザやスキルを"教える"ことができるようにするのだ。90年代に登場したポケモンは、『たまごっち』ブームと時期を同じくしたが、たまごっちが結局はフェード・アウトした一方で、ポケモンは、デジタル・ペットというコンセプトの力がまだ健在だということを証明している。

多くのポケモンGOのプレイヤーが、ゲームの拡張現実の機能を使って、一番面白い画像を撮ってメッセージ・ボードで共有する、メタゲームのようなものをすでに作っている。"魚"タイプのポケモンを本物のシーフード・ビュッフェにスーパーインポーズしたスクリーンショットなどはその一例だ。すでにあるテクノロジーに、ゲームのフォト・ツールが加わったことで、こうした遊び方の可能性は無限に広がっている。

クロス・プロモーション
任天堂は新シリーズやスピンオフの育成に熱心で、人気ゲームを毎年のように登場させてきた。任天堂は折に触れ、捕まえたり集めたりすることのできる100近くの新しい生き物と共に、新しい"世代"のゲームを立ち上げる。第三世代(『ポケットモンスター ルビー・サファイア・エメラルド』から成る)以降、任天堂は新しいモンスターをそのファンに紹介するのに、ずいぶんとずるいやり方をしてきた。

昔からのファンがすぐには新しいポケモンを気に入らない、というのはよくあることだ。プレイヤーを手なづけるために任天堂がとった一つの方法が、新しいゲームが後半に差し掛かるまで昔のポケモンを使用できないようにすることだ。最新の『ポケットモンスターX・Y』はその一例だった。ポケモンGOは象徴的で、愛される1996年の第一世代のポケモンからスタートすることになったが、ナイアンティックが最新のポケモンを最初からぶつけてきたとしても驚くには値しない。『ポケットモンスター サン・ムーン』のプロモーション戦術としては賢いやり方だ。『ポケットモンスター サン・ムーン』はどちらもNintendo 3DS用として11月に発売される予定で、新シリーズのモンスターがデビューする。

マネタイズの強化
ポケモンGOは、他のF2P(プレイ無料)ゲームと同様、ユーザーがアイテムのロック解除、ボーナス、ゲームの支援機能などに少額を支払う、少額取引方式を採っている。この戦術はこれまでそれなりの成功を収めており、iTunesとGoogle Playの両方でトップの収益を得るアプリにした。だがナイアンティック社は、さらに大きな収益計画を目論んでいる。

"ジム"と"ポケストップ"は、ポケモンGOの基盤だ。これらは実際の場所であり、人々が集まりやすく、GPSデータで特定され、地域のランドマークに集中している。ポケストップでは、基本的なゲーム中のアイテムの再供給を受けられ、ジムではバトルしてチームのテリトリーを奪取できる。もし、街のある場所でポケモンGOのプレイヤーの大集団と遭遇したら、そこはおそらくジムかポケストップだろう。

ナイアンティック社には、客足を増やしたい事業者と提携して、『Ingress』にスポンサー付きの場所を設けてきた実績がある。ニューヨーク・タイムズ紙の記事によれば、ナイアンティック社は近々、ポケモンGOで同じことを行うそうだ。レストランや店舗は、その目的地としてもらうことで、その対価をナイアンティックに支払う。そして、この初期の状況から考えると、こうした店舗はおそらくプレイヤーでいっぱいになることだろう。

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