記事

争点は「都政の透明化」 若狭勝衆院議員インタビュー

1/2
©Japan In-depth 編集部
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)

火ぶたを切って落とされた東京都知事選。三つ巴の戦いが始まった。自民・公明の推薦を受けた元岩手県知事・元総務相増田寛也氏、自民党で元防衛相小池百合子氏。そして野党統一候補、ジャーナリスト鳥越俊太郎氏だ。

小池氏は現職衆議院議員だったが、自民党の推薦は得られなかった。その小池氏に対し、自民党東京都連は7月11日、「都知事選挙における党紀の保持について」と題する文書を党員に配布。党として増田寛也氏を推薦するとした上で、他候補を応援することを禁じた。あて先は、「地域総支部長・選挙区支部長殿、各級議員殿」で、文書の発行者は「自由民主党東京都支部連合会会長 石原伸晃氏、幹事長内田茂氏、党紀委員長野沢太三氏」だ。

その中身は以下の通り:
1.党員は、党の決定した公認・推薦候補者を応援し、党公認・推薦候補者以外の者を応援してはならないこと。
2.党員は、反対党の候補者を応援し、または党公認・推薦候補者を不利に陥れる行為をしてはならない。
3.各級議員(親族等含む)が、非推薦の候補を応援した場合は、党則並びに都連規約、賞罰規定に基づき、除名等の処分の対象となります。

あからさまに党が推薦する候補以外を応援したら、“一族郎党”処分する、との脅しに驚いたのは筆者だけではあるまい。そこまで党内を引き締めないと危ない、との危機感の現れなのか?この締め付けにすぐさま反旗を翻した自民党の衆議院議員が元東京地検特捜部副部長の経歴を持つ若狭勝氏だ。

その若狭氏は、7月11日のBSフジプライムニュースで下村博文衆議院議員が「本日の自民党東京都連の会議で、増田さんを推薦することで、参加者全員が挙手した」と発言したことに対し、Facebookや自身のブログで、「少なくとも私は手を挙げていませんでした。」と敢然と反論したのだ。選挙戦では小池候補の応援演説を精力的にこなしている。党除名も覚悟の上、だ。その若狭氏に16日、単独インタビューを行った。

安倍:今回の都連の党議拘束、無理筋じゃないかといわれています。これについてどう思われますか?

若挟:おそらく、焦りがあるのは間違いないと思いますね。都連側に。そして、すごい心理的な作戦であることも確かです。かなり厳しい選挙だなと思うと、ああいう文書出すこと自体、組織の心理としてまあ理解できなくはないと思いますね。それによる心理的な拘束、影響力って言うのは相当なものだと私自身非常に今感じています。私はそういう文書が出たとしても、自分の信念を曲げたくないという思いでやっているわけですが、ほとんどの人はああいう文書が出た段階で、いや難しい、という話になってきてます。

安倍:一定の効果はあるだろうと。でも親族、一族郎党まで縛り、効かせられないですよね、現実問題。

若挟:そうですね、括弧書きで「親族等を含む」、と書いてありましたから。親族って言うのは民法でいうとすごいものなんですよね。単に兄弟とか親子とかそういうものではないので。一定の法律的な用語が当然大事な話になっていくわけですから、法律用語を知らなかったといったら笑い話だし、法律用語を知っているんだったら、じゃあ親族って言うのはどこまでなんですか、と言ったら、たぶんほとんど口を閉ざすしかなくなっちゃうんじゃないかなと思いますね。

安倍:もし利権追求チームができるのでれば、自分も積極的に参加するとおっしゃってますけど、実際に都の中に利権構造があるとお思いですか?

若挟:利権構造はあると思います、私は東京地検特捜部の副部長も含め、検事としてやってきて、そういう意味では毎日利権構造の追及や既得権益の問題点を追及するという仕事を主にやってきたわけですから、その目から見たら、利権構造って言うのは東京だけなくどこにでもあるものだと思うんですよ。決してそれはいいことではないのですが、実際問題そういうものがないところはないんじゃないかと思うんですよね。だいぶ減ってはいると思うんですけど。東京都の場合は大きいですから、動くお金も大きいと。私のところには結構情報入ってくるんですよね。最近でもかなり具体的に情報が入ってきてまして、ですから利権構造があるかないかっていったら、あるというのは間違いないと思います。

安倍:都民の目から見てもオリンピックではさまざまな施設を作ったりするわけで、どんどん費用が膨らんでいくじゃないですか。ああいうのは納税者からすれば納得いかないし、何がどうなっているのか曖昧だし、そこに国も絡んでくるし非常に不透明だなという感じがします。やっぱり特定の人に金が流れているとか、ブラックボックスの中で物事が決まっているとか、そういうものは現実としてあると認識されていますか?

若挟:そうですね、まあ少なくとも大きなお金が動いて、何らかの利益を得る人がいるという風に、私は検事的な感覚ですけど、すごい分かります。で、ブラックボックスで人事だけでなくいろんな問題がどのように決められているかについて言うと、私自身は現時点ではっきり分かっているわけではないです。ただ、いろんな人から話を聞くと、少なくても都連の中で、ある一部の人が色んなことを決めているという話はそんじょそこらで聞かれますね。

安倍:小池さんも都議の中からそういう声をよく聞くと会見で言ってました。

若挟:少なくても私は、弁護士やったりコメンテーターやったり、あるいは議員になってからも、今の社会は4つの価値観を大きな支えにしていく必要があると思っています。それは、公正、透明性、説明責任、情報公開の4つです。利権構造は公正ではない。しかもそれが分からない形で、いろいろとお金とか、利益が動いていて、隠れてやっているというと透明性が失われる。説明責任も当然果たせない。内密にやってるから情報公開もあったもんじゃないと。要するに4つの価値観のいずれにも反する、あるいはそのうちのいくつかに反するっていうのは、今の日本は過渡期だと思うんですよ。今後日本社会をどういう風に変えていくか、クリーンで公正な社会に変えていくということには非常に大事な価値観です。それに反するものにはきちんと追求して、打破していかなければいけない、そういう思いがすごく強いんです。

あわせて読みたい

「都知事選2016」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    国民を馬鹿にした昭恵夫人の一言

    天木直人

  2. 2

    橋下氏「政府許してはならない」

    橋下徹

  3. 3

    大阪市より慰安婦像を選んだサ市

    長尾敬

  4. 4

    よしのり氏 枝野氏の発言は問題

    小林よしのり

  5. 5

    逆DV アウトレイジな妻に泣く夫

    PRESIDENT Online

  6. 6

    配達が無言 ヤマトAmazon撤退で

    山本直人

  7. 7

    日馬暴行騒動は仁義なき情報戦

    文春オンライン

  8. 8

    加熱式タバコの増税は時代に逆行

    宮崎タケシ

  9. 9

    レコ大も紅白も1年間休止すべき

    メディアゴン

  10. 10

    議会に子連れ出席で仕事できるか

    井戸まさえ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。