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CQがIQ,EQと同じくらい大事な時代に

2014年8月、『Harvard Business Review』に「Curiosity Is as Important as Intelligence(好奇心は知能と同じくらい重要だ)」というエッセイが掲載され、話題を呼んだ。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のビジネス心理学教授トマス・チャモロ=プレミュージック博士の寄稿によるものだ。

「CQ=Curiosity Quotient(好奇心指数)」の高い人は、ハングリー精神をもち、より探求欲があり、新しい経験に対してオープンである。そして、目新しいものに興奮しやすいが、決まったルーチン作業には飽きやすい。反体制であるが、独創的なアイディアをたくさん生み出す。複雑性の高まる時代を生き抜くうえで、CQは、IQ=Intelligence Quotient(知能指数)やEQ=Emotional Intelligence Quotient(こころの知能指数)と同じくらい重要だと説く。CQの高い人は、回答がすぐに与えられない曖昧な状態にも耐えられる、そして、フォーマルな教育の場以外でも、知的投資を惜しまず、常に知識を得ようとする。CQは複雑な問題に対してシンプルな解決法を導き出す究極のツールであるというのだ。

EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫) EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫)

教育の世界では長年IQが重要視されてきたが、ダニエル・ゴールマンの著書『EQ~こころの知能指数』が500万部の世界的ベストセラーとなった1990年代、新たな概念として「EQ」が注目された。EQとは「知能テストで測定されるIQとは質の異なる頭の良さ」で、自己認識力、決断力、自制心、ストレス等を制御する能力、やり抜く力、他人への共感力、社会的適性などを指す。これらのEQの概念は、教育経済学では「非認知能力」と呼ばれ、学術的にもその効果が検証されてきている。

EQが世界的に注目され、脚光を浴びたのは、1990年代、冷戦終結後も世界各地で紛争が多発し混沌としていた時代だ。日本ではバブルが崩壊し、失われた10年を迎えていた頃、EQの概念が社会により求められていたのかもしれない。それから21世紀に入り、IT革命を機に社会のあり方が大きく変化し、そのスピードが加速化している。今、「EQ」の次に注目され始めているのが、「CQ=好奇心指数」なのだ。

トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』は、21世紀の象徴的変化を表現し、全米で300万部の大ベストセラーとなった。通信テクノロジーの出現によって、個人の生き方から企業のビジネスモデル、国家のシステムまで猛烈な勢いで変わろうとしている様を綿密な取材によって明らかにし、その世界の仕組みの大きな変化を「世界がフラット化」していると表現した。フリードマンは同著で「フラット化する世界」における新しい学びのあり方についても触れ、「仕事、成功、学科の分野、趣味ですら、好奇心と熱意がさらに重要になる。なぜなら、フラットな世界には、好奇心とそれを抱く人間の奥行きや幅をどんどんひろげるツールが山ほどあるからだ」と説いている。そして、IQよりもCQ(好奇心指数:Curiosity Quotient)とPQ(情熱指数:Passion Quotient)がもっと大きな意味を持つとし、新たな概念を提示した。これからの最も重要な能力は「学ぶ方法を学ぶ」という能力であり、「学ぶ喜び」を知ること、学ぶことが好きになることだと力説している。

21世紀を代表する企業といえば、グーグルはその一つに入るだろう。そのグーグルが、採用で最も重視するスキルは何か。人材開発部長のジュディ・ギルバート氏は以下のように語っている。

「もちろん賢いことは重要だ。でも知的好奇心のほうがもっと重要だ。グーグルで成功する人は、すぐに行動を起こしたがる傾向がある。壊れている物を見つけたらすぐに直すような性格だ。問題を見つける能力も重要だが、見つけた問題について不満を並べたり、誰かがそれを解決してくれるのを待っていないこと。『どうすればもっとよくできるだろう』と自問すること。それからすべてにおいてコラボレーションが必要不可欠だ。周囲に多様な専門性を持つ人がいることに気がつき、彼らから学ぶ能力がある人物を私たちは高く評価する。」(トニー・ワグナー著『未来のイノベーターはどう育つのか』より)
一生伸び続ける人の学び方 一生伸び続ける人の学び方

IT革命によって劇的な変化がもたらされている新しい時代において、今、ビジネス、教育、心理学と様々な分野において、「好奇心」が注目を浴び始めている。すべての学びにおける原動力となる好奇心の重要性と、好奇心を高める方法について、新著『一生伸び続ける人の学び方』で、最新の研究事例や各種のデータなどを使って詳しく紐解いているので、ご関心のある方はぜひ読んでみていただきたい。
(『一生伸び続ける人の学び方』より一部抜粋・編集)


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