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「ブラック・ライヴズ・マター」とは何を意味するのか

今、アメリカで大きな社会現象となっている「ブラック・ライヴズ・マター」運動。ブラック・ライヴズ・マター Black Lives Matter とは一体、何を意味するのか。

ブラック・ライヴズ・マターは 4年前、当時17歳の黒人少年トレイヴォン・マーティンが自称自警団の男性に射殺された事件を発端に生まれた運動であり、以後、黒人が警官に殺害されるたびに全米各地で大規模なデモを行っている。

そして先週。アメリカにとって非常に辛く厳しい一週間だった。7月5日にルイジアナ州、翌6日にミネソタ州で黒人男性が警官に射殺された。たちまち全米で抗議デモが展開され、7日のテキサス州でのデモ中に警官5人が「スナイパー」によって射殺される事件が起きたのだ。犯人は米軍退役兵の黒人男性だったが、ブラック・ライヴズ・マターとは無関係だった。

過去に起きた警察による黒人殺害事件それぞれの詳細、ブラック・ライヴズ・マターの活動形態についてはこれまでに雑誌の記事、ブログ、ツイッターに書いてきた。今回は日本語には馴染みにくい「ブラック・ライヴズ・マター」Black Lives Matterという言葉そのものと、その周辺事情について書いてみる。

この「ブラック・ライヴズ・マター」というフレーズが日本で浸透しにくいのは、かつての黒人運動の象徴であった「ブラック・パワー!」と違い、英語のままだと意味が分からない、分かりやすい直訳もできないことではないかと思う。

Black Lives Matterは直訳すると「黒人の命 “は” 大切」となるが、これでは本当の意味と背景が分からない。この言葉が表しているのは、「これまで人種差別と白人特権により白人の生命のみが尊重され、黒人はいとも容易く殺されてきたが、黒人の生命 “も”また、同等に大切なものだ」という主張だ。

ところがアメリカにも「黒人たちが『黒人の命 “こそ” 大切』と主張している」と解釈し、「黒人の命 “だけ” を取り立てて重要とするのは逆差別」「全ての人種の命が等しく大切であり、つまり"All Lives Matter"だ」との声がある。この類いの発言は黒人が置かれてきた、今も置かれている位置を理解しない層の口から出ることが多い。

警官たちもブラック・ライヴズ・マターという言葉を嫌う。ブラック・ライヴズ・マター運動の目的は「警察暴力」という構造的な現象への抗議だが、デモ現場ではデモ参加者が警官にカースワードを投げ付け、中指を立てることもある。デモを阻止しようとする警官隊と参加者がぶつかり、双方に身体的な危険も付きまとう。そして今回、警官12人が狙い撃ちされ、5人が亡くなるという最悪の事態が起ってしまった。

このように銃社会アメリカでの警官は文字どおりに命Lifeを賭けた仕事であり、彼らとってもLivesという言葉は非常に重い。そこでブラック・ライヴズ・マターへの対抗として生み出されたのが「ブルー・ライヴズ・マター」Blue Lives Matter、「警官の命も尊重されて然るべき」というフレーズだ。アメリカでは青blueは警察を象徴する色なのだ。

Black Lives Matter

All Lives Matter

Blue Lives Matter

三者三様の歴史と生活背景と思考。 それらの折衷点を、アメリカは模索し続けていくことになる。

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