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参院選の公約「同一労働同一賃金」に、経団連が横槍か 賃金は「勤続年数」で決めているからムリと説明

正社員と非正規労働者との間にある「理不尽な格差」を縮小させると期待されている「同一労働同一賃金」制度。非正規労働者の賃金水準の低さが「少子化の一因」とも指摘されており、先の参院選でも与野党がこぞって選挙公約に掲げた、働く人注目の政策だ。

しかしこの動きに、早くも財界から横槍が入りそうだ。7月13日付け日経新聞は、経団連がまとめた「同一労働同一賃金」の制度設計に関する提言の中で、同じ仕事内容なら同じ賃金を支払う「欧州型」の導入について「困難」と説明していると報じている。

識者「低賃金は強制されているわけではない。自らの判断で労働契約を締結」

記事によると、経団連は「困難」な理由として、「日本(企業)では仕事内容だけでなく勤続年数や将来性などを加味して賃金を決めるケース」が多いためとしている。

本来は同じ仕事をしていれば、同じ賃金が支払われるのは自然なことだ。EUのパートタイム労働指令では、雇用形態を理由とした賃金格差を禁止。今年1月に発表された日経新聞のアンケートでも、同一労働同一賃金に「賛成」と答えた人は71%にのぼっている。

しかし現状では正社員・非正規労働者という「身分」の違いによって、賃金に大きな差がつけられている。この点について神戸大学大学院の大内伸哉教授は、著書『雇用改革の真実』(日経プレミアシリーズ)の中で、
「非正社員が、低い賃金で働くことは、別に強制されているわけではない。(略)むしろ、非正社員は、正社員との差があることはわかった上で、自らの判断で労働契約を締結している」

として、同一労働同一賃金が「公平であるとは、単純には言えない」としている。しかし、生産性ではなく年功で高くなった正社員の賃金を支払うために、非正規労働者の賃金が不当に抑制されているとすれば、やはり不公平といわざるをえないのではないだろうか。

「勝手な時は成果主義持ち出すくせに」と批判も

本来は、同一労働同一賃金を「原則」として認めつつ、経団連が「例外」に関するガイドラインを示すくらいしてもいいのかもしれない。しかし記事によると提言は、
「同一労働とみなす基準を企業ごとに作り、必要に応じて説明責任を果たす必要がある」

という内容を盛り込むとされており、会員企業まかせの及び腰と見られかねない。すでにネットでは、「何が勤続年数だよ。勝手な時は(勤続年数を無視した)成果主義持ち出すくせに」「やる気がないだけじゃんw」といった批判も起き始めている。

なお、「同一労働同一賃金」を本気で実現しようとすれば、「非正規労働者の賃金引き上げ」か「正社員の賃金引き下げ」、あるいはその両方が必要になるはずだ。しかし4月22日に開かれた厚労省「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」では、東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授が、
「労働法の鉄則として、差別禁止や不利益取扱いの禁止等を導入する際には、不利益を受けている人の処遇を引き上げて対応しなければならず、有利な取扱いを受けている人の処遇を引き下げて対応することは許されない」

とクギを刺している。問題解決にあたって賃上げしか認められないということになれば、経団連が難色を示すのも仕方ないのかもしれない。

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