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新知事による“冒頭解散”は、できる?できない?

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 都知事選挙の告示日が来週14日に迫り、自薦・他薦により多士済々の顔ぶれが報じられています。今回の都知事選は、いうまでもなく「政治とカネ」にかかる疑惑により前知事が辞職したことに端を発します。前知事・前々知事の選出に見られた既成政党による談合は許されません。一刻も早く都政が正常化されなければなりません。 このような立場から、真に都民のための都政を運営できるリーダーを慎重かつ広範に見極めていきたいと考えています。

【“冒頭解散”発言の反響】

さて、今月6日に出馬会見をした小池百合子氏は、「都民のための都政を取り戻すことが今こそ必要」と述べ、「崖から飛び降りる覚悟」で、東京都議会の“冒頭解散”などの3つの公約を打ち出しました。東京都におきましても、改革派知事の誕生と議会改革の進展は、大いに期待いたしたいものです。

しかし、知事には首相のようにいつでも使える解散権はなく、実現は難しいと報じられていました

おおさか維新の会の橋下徹氏は、以下のようにツイッターで指摘しています。
「小池さん、都議会の冒頭解散を公約。こりゃ参謀がいないな。首相と違って知事には議会の解散権はない。議会自ら解散するか、議会が知事に不信任決議を出すか、それとも都民によるリコールしかない。いきなり公約訂正? 」
「小池さん、都議会と全面対決するなら頑張って欲しいが、口だけでなくそれを実行するには、自ら政党を作って議会に勢力を拡大するか、自民党都議連会長から石原さんを追い出し、自ら会長に就いて議会を抑え込むしかない。どちら? 」
「小池知事になれば都議会大荒れ。これはメディアが注目し都民の関心を惹き都政の膿を出すきっかけになるだろう。ただこれを本気でやろうとしたら自ら地域政党を作って都議会で勢力を拡大するしかない。大阪維新の東京版再来か? 」
チームお姐としても、都民のみなさまから議席をお預かりしている立場から、“冒頭解散”の実現可能性につきまして、検討しております。

“冒頭解散”の言葉が一人歩きしているように思われるためです。

【都議会解散の要件】

新知事就任を受けて、都議会が解散され、都議選が実施されるためには、

①有権者による直接請求(リコール)
②知事不信任成立後の解散
③都議会自身による自主解散
④都議会議員全員の辞職または失職

に限られます。

①については、約2か月以内に160万人余りの有権者による有効署名(正確な氏名・住所・生年月日と捺印)を収集し、選挙管理委員会の審査を経て、住民投票を行わなければいけません。(実際、大規模自治体では、2011年に名古屋市議会でリコールが成立しました。ただ、都内では、セクハラやじ事件を受けて、やじをした都議の地元選挙区でリコール署名運動が試みられましたが、法定の有効署名数が集まらず、不成立となった例があります。)

②については、選出されたばかりの知事に議会がいきなり不信任を突きつけることになります。具体的な失政がない新知事を不信任するのは、選挙による民意の否定になってしまいます。

③の自主解散は、都議会の議長選挙をめぐる贈収賄事件である「黒い霧事件」を契機に1965年に制定された「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」(解散特例法)に基づくものです。

同法の全文は以下です。
(この法律の趣旨)
第1条 この法律は、地方公共団体の議会の解散の請求に関する世論の動向にかんがみ、当該議会が自らすすんでその解散による選挙によつてあらたに当該地方公共団体の住民の意思をきく方途を講ずるため、地方公共団体の議会の解散について、地方自治法(昭和22年法律第67号)の特例を定めるものとする。

(議会の解散)
第2条 地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができる。
2 前項の規定による解散の議決については、議員数の4分の3以上の者が出席し、その5分の4以上の者の同意がなければならない。
3 第1項の議決があつたときは、当該地方公共団体の議会は、その時において解散するものとする。
きわめてシンプルな法律です。

第2条第2項は、「解散の議決については、議員数の4分の3以上の者が出席し、その5分の4以上の者の同意がなければならない」と自主解散の成立要件を定めています。

一方、自主解散の提案要件については、具体的な規定がありません。都知事が自主解散議案を議会に提案することを禁止する規定はないのです。地方自治法は、議員にしか提案できない事項を限定列挙していますが、自主解散はこれに含まれていません。

これに対しては、「自主解散権は、議会の自律権=議会内部に関する規則や会議に関することを自主的に決める権限に属するものであり、知事に提案権はない」との学説を持ち出して、否定する意見があるでしょう。

けれども、解散特例法第2条は自主解散の最終決定権は議会にあるとしています。知事が自主解散を提案しても、議会の自主性を侵すことにはならないという立て付けにはなっているということです。ですので、是非はともあれ公約に基づいて“冒頭解散”を政策判断に掲げることは法的にも矛盾はないということになります。

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