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知財高裁が公正な利用だとして引用を拡張解釈した事例

知財高判平成22年10月13日(PDF判決全文

このブログでjugement:美術鑑定書に絵画の縮小コピーを付けるのは著作権侵害として紹介した判決の控訴審判決が出た。結果は、引用に当たるとして原判決を取り消し、請求を棄却したのである。

上記のエントリで書いたように、またそこに引用してある日経新聞記事のコピーでもあるように、美術作品のカタログ写真に関する例外規定を類推適用する方向で考えていたが、本判決は引用として複製権の侵害にならないと判示した。

引用を認めたのは、次のようなロジックである。

まず、著作権法の目的規定から、引用として適法かどうかを判断するに当たって「利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない」とした。

そして本件の利用形態は、(1) 鑑定証書へのコピー添付が対象作品を特定し、鑑定証書の偽造を防ぐためであるところ、カラーコピー添付には必要性も有用性も認められること、(2) 鑑定が適正に行われることは贋作を防ぐので著作権者の利益にもなること、以上の(1)(2)から引用の目的に本件が含まれること、(3) コピー部分のみが単独で流通することは考えられず、コピー添付の鑑定証書は対象絵画と一緒に保存されるので、その方法・態様としても社会通念上合理的な範囲にとどまること、(4) 著作権者側が経済的損失を被ることも考えられないこと、が認められる。

以上の3ないし4点を総合考慮すれば、「本件各鑑定証書を作製するに際して,その裏面に本件各コピーを添付したことは,著作物を引用して鑑定する方法ないし態様において,その鑑定に求められる公正な慣行に合致したものということができ,かつ,その引用の目的上でも,正当な範囲内のものであるということができる」と判断した。

なお、引用する側も著作物である必要はないとも判示している。

この事件、もともと公正な利用(フェアユース)として著作権者の同意を得ない複製が適法とされるかどうかが焦点であり、一般論としてのフェアユースを認めないまでも、明文上認められる例外規定の拡張解釈ないし類推解釈で適法と解されるかどうかが問題だった。


その意味で、引用概念を上記のような総合考慮の中で拡張した本判決は、著作権制限規定の類推ないし拡張解釈を通じて実質的にフェアユースを認めるに至った例と位置づけることが可能である。

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