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facebookの若者離れは、オヤジによる介入やリア充自慢のせいではない

オヤジが若者をfacebookから追い出した?

6月22日のYOMIURI ONLINEの記事でITジャーナリストの高橋暁子氏が若者のfacebook離れの現状について分析を行っている(http://sp.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160622-OYT8T50037.html?page_no=1)。分析資料のもとになっているのはジャストシステムのアンケート調査で、これによると16年4月のfacebookの10代アクティブユーザーが27%で、前年同月の45%からは大幅に減少しているという結果が出ている。

この結果について高橋氏はfacebookが「中高年の交流の場」になってしまっていることが大きな理由と指摘している。曰く、「十代が友達と楽しく盛り上がっているところに親が介入してきたり、学校の先生から指導が入ったりするようになる。そこで、親や先生にやりとりを見られたくない若者たちは、Facebookから離れ」るようになったのだという。また中高年たちのリア充ぶりをアピールする、つまり自慢話を繰り広げるのにウンザリしているのもfacebook離れをさらに進めている。そして、これは「facebookが普及しすぎたがゆえに若者が離れるという構造」なのだとしている。

高橋氏の議論は一見もっとものように見えるが、議論としてはかなりアブナイと言わざるを得ない。この主張は「老害」ならぬ「中高年害」、つまりオヤジの絡みやすく、それでいて自慢話は繰り広げるという前提に基づいて無理矢理十代のfacebook離れの原因を引き出しているからだ。つまり「結論先にありき」。いいかえれば我田引水の議論でしかない(まあ、オヤジイジメというところだろうか(笑))。

ことはそう簡単には進まない。現実は、もっと複雑だ。なので、ここではジャストシステムのデータが正確であるという前提に基づいて、複数の要素を絡めつつ「若者のfacebook離れ」の原因をメディア論的に考えてみたい。

新メディアが旧メディアを押しやっていく

二つの側面を提示してみたい。一つは技術的側面だ(もう一つはユーザー層の特性に関する側面だが後述)。新しいメディアが出現した場合、そのメディアと機能を重複させる旧メディアは主として二つの運命を辿る。

一つは消滅。つまり機能が完全に重複し、しかも新しいメディアの方が技術的にも利便性的にも優れていたがために、既存のメディアが飲み込まれてしまうというものだ。近年だとモールス信号による電信とか、おそらくこれからそうなるであろう白熱球(これをメディアと考えればだが)がその典型で、前者はデジタル化によって難受信エリアでも受信可能になることで、送受信をモールス信号でする必要がなくなり消滅。白熱球も寿命、電気消費量の点でLEDに全くかなわず、しかもLED電球が低廉化することで、その場所を失ってしまった。

もう一つは、新しいメディアと重複しない部分、つまりディスアドバンテージとならない部分で生き残るというもの。ラジオはマスメディアとしての機能をほとんど失いつつあるが、災害時やローカルメディアの分野にその活路を求め、現在も続いている。ほぼ消滅に近いがなんとか続いているのがポケベルやPHSといったところだろうか(電波による医療機器への害がないというアドバンテージで医療現場で生き残っている)。

LINEとカブったfacebook

さてfacebookである。SNSの中でも最大であることは言うまでもない。ここには、たとえばビデオ電話も写真のアーカイブも、グループでのクローズドでのチャット(若者はこれを使えばオヤジ害を排除できる)も、ファイルの転送もといったかたちで、まあいろいろと機能がある。しかし、機能満載で使いづらいところがあるのも事実だ。恐らくほとんどのユーザーは機能の一部、メッセージやフィードくらいしか使いこなしていないだろう。煩雑で面倒くさがりのユーザーには少々使いづらいのも確かだ。

ここにLINEのような単純なSNS(LINEはプラットフォーム化を狙って通話やタイムライン、アプリ、マンガなど様々な機能が加えられてはいるが、基本的にチャット=トークと通話に特化されていると言ってよいだろう)、しかもスマホベースのそれが登場すればどうなるか。当然、使い方簡単で、メッセージボックスを利用してチャットを繰り広げるという点ではパソコンベース(facebookのインターフェイスは明らかにパソコンベースで、スマホ用としてはちょっと扱いにくいし見づらい)よりスマホベースのLINEの方が圧倒的に優位であることは言うまでもない。それゆえ、スマホベース、単純機能ベースのユーザーはこちらに流れる。そして、そういった流れたユーザーに、パソコンなどほとんど使わずスマホを所有したユーザーが飛びついていく。その多くは若年層だ。オヤジ臭に嫌気がさしてこちらに移動した若者も、まあ、いないこともないだろうが、それはマイノリティだろう(オヤジ臭を放つユーザーにウンザリしているのは、オヤジ臭を放っていない中高年ユーザーも同じこと。だから、この理屈であればオヤジ臭にウンザリしたオヤジもfacebookから撤退するはずだ。だがデータ的には必ずしもそうはなっていない)。一方、中高年はパソコン利用に慣れている。だからパソコンベースのfacebookの方が何かと使いやすい。つまり中高年のSNS、とりわけfacebookの利用はパソコン>スマホ、若者はパソコン<スマホ。こういったかたちで棲み分けが起こる。だから若者のfacebook離れ、あるいはfacebookを利用する気にならないのは、ある意味当然ということになる。

社会圏、社会性が分けるSNS利用

もう一つはユーザー層の特性に関する側面だ。中高年と若者、とりわけ若年層の年代的な違いは、ズバリ社会圏の広さと、それに伴う社会性にある。当然、中高年の方がともに高い、言い換えれば社会的成熟度が高い。

で、facebookはこの側面でも若者にとっては扱いにくいSNSなのだ。中高年がfacebookにハマる理由は、一つは本人が抱えている人的インフラにある。つまり既存のリアルな知り合いが個人的な付き合いであれ仕事上のそれであれ多い。こういったリアルな社交と社会圏を活性化するヴァーチャルな装置としてfacebookはうまく機能するのだ(学校時代の旧友がゾンビのように復活したりする(笑))。また、大人ゆえ公私の分別が可能。だから、実名制であったとしても、節度をわきまえるわけで、例えばTwitterで炎上したり晒されたりするようなバカッター的な状況にはなる可能性は低い(リア充ばっかりやっているマイノリティもいるので、これはこれで迷惑千万な話だが)。また、仕事上の関係等でデータをやり取りしたりといったこともやりやすい。これはLINEでは難しいし、第一若者はそんな「大人の仕事」に用はない。

一方、こういったfacebookの利便性は若者にとっては不便なものになる。大人と違って社会圏、社会性が低い。友達は限定されているし、社会的成熟度が低いから公私をキチッと分別する能力も弱い。だからSNSの利用にあたってはLINEを利用して身内仲間でしっぽりとやっているのがよいわけで、しかもLINEのトークならクローズドなので、炎上と事態は起こりづらいし(メンバー間でのイジメはあるだろうが)、バカッター的にひっかかるということもない。つまりLINEは「安心ケータイ」ならぬ「安心SNS」なのだ。しかも前述したように若者の必携ツールであるスマホを前提としたインターフェイスになっている(パソコンでも使えるが、LINEのパソコンアプリを使用している若者は少ないはずだ。スマホがあれば、それで事は足りるので)。

ということで「若者がfacebook離れを起こしたのはオヤジ臭にウンザリしたから」と言うのは、かなり無理があるということがおわかりだろうか。

そうは言ってももちろん、このオヤジ臭には僕もウンザリしている。こういうリア充自慢のオヤジは、公私を区別できてないわけで、ようするに実のところ「子供」なのである。

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