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米名門大学、史学専攻でも米国史必修でない学校も

ウォール・ストリート・ジャーナル
米国の名門大学で史学を専攻する学生は、米国の歴史についてあまりよく知らない。少なくとも、彼らはそれを学ぶ必要がない。

 非営利団体「米理事・卒業生協会(ACTA)」(カリキュラムなどで大学が説明責任を果たすよう推奨している)が出した新たな報告書によると、史学専攻の学生に米国史のコースを少なくとも1つ履修するよう義務付けている大学がわずかしかなかった。義務付けている大学は、2016年の「USニューズ&ワールド・リポート」誌による大学ランキングで「名門」とされている76の大学のうち23校にとどまっているという。

 例えば、ライス大学やジョンズホプキンス大学を含む多くの名門大学は、1750年より前の出来事に関するコースや、東アジアおよびサハラ以南のアフリカの政治に関するコースを必修にしているが、合衆国憲法誕生や公民権運動について学ぶことは求めていない。

 ACTAは報告書の中で、時系列で幅広いテーマを扱う米国史の授業を史学専攻学生の必修にしていないことは、「知的水準と専門的判断力を放棄する実に衝撃的な行為」と批判した。

 名門大学に入学できた学生は通常、高校で米国史の授業を取っている。だが、ACTAの次期会長、マイケル・ポリアコフ氏は、だからと言って、米国の建国の理念や大きな社会運動について学生がしっかりと理解しているとは限らないと述べる。ACTAの2014年の調査によると、米国の大学の卒業生の過半数は、連邦議会議員の任期も、「Emancipation Proclamation(リンカーン大統領が1863年1月に発表した大統領宣言と行政命令。いわゆる奴隷解放宣言)」が何を指すかも知らなかった。

 カールトン大学史学部の代表を務めるビル・ノース氏によると、同大学では史学専攻学生が米国史のコースを履修しなくても良いようにしているという。理由の1つとして「確固たる市民意識の育成においては、全ての歴史が重要かつ貴重だという考えをわれわれが強く抱いている」点を挙げた。同氏は、既に米国史のアドバンスト・プレースメント(AP)テスト(高校生が受ける試験で、一定の成績を取ると大学の単位として認められる場合がある)で良い成績を取っている学生も少なくないと付け加えた。

 ペンシルベニア大学の学生は、「米国とカナダ」を含む5つの地理的なエリアのうち4つを扱うコースを履修しなければならない。大学の広報担当者によると、理論上は学生が「米国とカナダ」地域を避け、残り4地域を履修することもあり得るが、「実際には、そのようなことはほぼない」という。

 ACTAは、米国史とうたわれているコースであっても、学生に米国の過去を徹底的に理解させるまでに至っていないコースが少なくないと指摘する。

 ペンシルベニア大学で、史学専攻の枠内で米国史のコンセントレーション(集中学習)をしようとする学生は、「米国史における野球」といった授業を取ることができる。一方、テキサス大学オースティン校の学生は、「米エンターテインメント界におけるユダヤ人」という授業を取ることで、米国史の必要条件の一部を満たすことが可能だ。

 

ACTAのポリアコフ氏は、「ニッチなクラスは、社会に積極的に関与できる市民になるよう学生を覚悟させることはないだろう」と述べた。そして、米国史を幅広く扱うコースを学生の必修にすることは、「学校の責任に関わる問題だ」と付け加えた。

By MELISSA KORN

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