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「カネで書く記者」探すアプリ、中国で重宝

 企業の中にはジャーナリストにお金を払って提灯記事を書かせるところがある。記者会見やインタビューで金一封を受け取り、収入の足しにする記者もいる。こうした慣行は中国では何も秘密でもない。

 そして今、あるモバイル用アプリがこの「金封ジャーナリズム」を新たな段階へと移行させている。

提灯記事を書いてもらいたい企業とカネで記事を書く記者との橋渡しをするアプリ「找記者」の表示画面のスクリーンショット
提灯記事を書いてもらいたい企業とカネで記事を書く記者との橋渡しをするアプリ「找記者」の表示画面のスクリーンショット

そのアプリとは「記者を見つけます」という意味の「找記者」だ。アプリは宣伝したい企業と、収入の足しを得たいジャーナリストの橋渡しをする。

 アプリを起動させると、最初のページに「メディア業界のプロが起業家を手助けする知的コミュニティー・プラットフォーム」と表示される。

 仕組みは配車アプリ「ウーバー」に似ている。

 ウーバーでユーザーが普通のセダンにするか、もしくは高級車にするかを選べるように、このアプリではあらゆる企業の規模とニーズに対応している。同アプリによると、最低1000元(約1万6000円)で一般的なライターによる1媒体への記事執筆が保証される。もっと多く支払えば、中級から上級レベルのライターを選ぶことができる。8000元のプレミアム・サービスを利用すれば、上級ライターによる執筆と、知名度の高い4媒体を含む25媒体への掲載が保証される。

 締め切り日や他の要望を具体的に提示することも可能。リクエストが送信されると、その分野に詳しい記者に内容が届けられる仕組みだ。リクエストを受け取った記者は自分が影響力を持っている媒体に関する詳細を添えて「入札」する。企業は最も条件に合う記者を選び、アプリを通じて支払いの段取りをつける。他のサービスと同様に、一連のやり取りはカスタマー満足度のレビューで終了する。

 だが、このアプリは当局に目をつけられたようだ。最後に見たときには作動しなくなっており、中国のテクノロジー系メディアは、規制当局が取り締まりに乗り出したと伝えた。アプリの広報担当者は、ソフトウエアの再設計中だとし、それ以上のコメントは避けた。中国共産党中央宣伝部の規制当局者には連絡が取れなかった。

 複数のメディアの編集責任者らは部下の記者に対し、このアプリを使用しないよう注意を呼びかけており、すでに登録済みの場合は上司に報告するよう指示した。事情に詳しい関係者が明かした。

 米アップルのアプリ配信サービス「アップストア」で同アプリに関するレビューを見ると、あるユーザーは利便性と効率の良さを称賛し、5つ星の評価を与えている。そのユーザーは「找記者に大いに感謝する。(中略)記事を書いてもらえるよう以前は多くのメディアに接触したが結果が伴わなかった。だが、このアプリを使えば、5分以内に目標が達成できる」と記している。

 一方で批判の声もある。北京に本拠を置く企業でコミュニケーションを担当するブライアン・チャオ氏はこのアプリについて、「報道を露骨に商売にするものであり、広報活動の秩序を乱すものだ」と指摘。だが同時に、「ジャーナリストへの金封には存在理由がある。これが普通だと考えている人は誰もいないが、いまだに慣行となっており、中国では一部のジャーナリストにとって生存のために欠かせない手段になっている」と述べた。

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