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「アベノミクスで増えたのは非正規雇用者ばかり」という的外れなプロパガンダ

「アベノミクスで雇用は増えたと言うが、増えたのは非正規雇用ばかり、正規雇用者は増えていない。正規雇用者比率は低下している」 これは前回の総選挙戦の時以来繰り返されて来た野党の批判だ。今回の参議院選挙でも同じプロパガンダが繰り返されている。例えば以下の共産党の赤旗の記事が恒例だろう。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-11/2016061103_01_1.html

しかし問題は、正規雇用者比率の増減を何を分母に判断するかだ。通常は雇用者数全体に対する比率で議論されている。これを見ると確かに非正規雇用者の比率は上がり、正規雇用者比率は低下している。もっともそれはアベノミクスで始まったことでもないし、小泉政権時代に始まったことでもない。90年代からのトレンドだ。

しかしながら、人口構成が大きく変わりつつある日本の状況を考えると、果たして雇用者数全体に対する比率で見ることは妥当だろうか。

通常、正規雇用の対象となるのは生産年齢(20歳~64歳、あるいは15歳~64歳)である。就学中の学生が正規雇用であることはあり得ないし、また引退した高齢者が、年金の補完のために就業する時は、正規雇用である必要性は乏しい。そこで、20歳~64歳人口に対する正規雇用者数の比率を示したのが上段の図だ。

見てわかる通り、90年代をピークに下がるが、2005年を底に上昇に転じている。また2013年以降、同比率の上昇は大きく、2015年は2012年対比で1.1%ポイント上昇している。一方、民主党政権時代の最終年2012年は09年対比で0.6%ポイントの上昇にとどまる。 

要するに、20~64歳人口の漸減という人口動態変化を考慮すれば、安倍政権下で正規雇用者も含めて雇用の回復に成功しているということだ。 もちろん、企業利益の回復に比較して賃金増加率が低いことが、景気の自律的な回復力を弱め、マイルド・インフレ達成の障害になっている点は、筆者が昨年来指摘している通りであるが、雇用の回復まで否定するのは、事実に対する政治的に歪んだプロパガンダに過ぎないと言えよう。 

近著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日
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