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護憲か、改憲か? 4人の論客の「憲法9条案」を比較する

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■伊勢崎賢治氏の考える「10年後の憲法9条」

伊勢崎賢治氏
第9条 日本国民は、国際連合憲章を基調とする集団安全保障(グローバル・コモンズ)を誠実に希求する。
2 前項の行動において想定される国際紛争を解決にあたっては、その手段として、一切の武力による威嚇又は武力の行使を永久に放棄する。
3 自衛の権利は、国際連合憲章(51条)の規定に限定し、個別的自衛権のみを行使し、集団的自衛権は行使しない。
4 前項の個別的自衛権を行使するため、陸海空の自衛戦力を保持し、民主主義体制下で行動する軍事組織にあるべき厳格な特別法によってこれを統制する。個別的自衛権の行使は、日本の施政下の領域に限定する。


<日米地位協定の改定>
日本の施政下のすべての在日米軍拠点(基地および空域)における日本の主権を回復する。具体的には、
・地位協定の時限立法化(更新可)、もしくは、米軍の(段階的・完全)撤退時の状況をビジョン化(日本がすべての隣国との領土、領海問題の完全解決等)
・在日米軍基地に米軍が持ち込むすべての兵器、軍事物資に対する日本政府の許可と随時の検閲権。
・在日米軍基地が日本の施政下以外の他国、領域への武力行使に使われることの禁止。

僕の新しい憲法9条案は「非戦」を貫くためのものだ。

「憲法9条のおかげで日本は戦争をしないですんだ」と言う人がいるが、それは事実誤認だ。国際法でいう「集団的自衛権」の行使を戦争と考えれば、日本はすでに戦争をやっている。いまでは、アフリカのジブチに軍事戦略基地を持っている。また、通常戦力でいうと、日本は世界でも有数の軍事大国。冷たい現実として、憲法9条は、日本の非軍事化に何も貢献していない。

問題は、戦争の定義、すなわち「武力の行使」の定義が、日本と国際法で違うことだ。このまま放っておくと大変なことになる。日本の国民には「戦争をしている」という実感がないのに、国家がしてしまう。

実際に、日本は特措法で集団的自衛権の行使を何回もやっている。国外では「日本は戦争をやっている」と理解されている。でも、国民にはその感覚がない。これが一番恐ろしいこと。つまり、知らない間に嫌われている。知らない間に敵意を持たれている。

では「戦争の定義」は、日本と国際法でどう違うのか。戦争に関する国際法には、国連憲章と、国連ができる前からの慣習法の積み上げである戦時国際法(国際人道法)がある。

国連憲章では、武力の行使の言い訳は3つしか認められていない。それは、個別的自衛権と集団的自衛権と集団安全保障。これがいったん行使されると、戦時国際法の世界になる。戦時国際法は、やってはいけないことの集積、つまり、ネガティブリストの集積。それを「交戦権」といっている。

つまり、3つの言い訳のどれかによって武力の行使が開始されると、そこからは、交戦権という認識になる。その交戦権を規制するのが戦時国際法。個別的自衛権や集団的自衛権の行使は、交戦権の行使ということ。

ところが、日本の憲法9条2項は、交戦権を否定している。つまり、日本人が行使できると思っている個別的自衛権は、実は個別的自衛権ではない。我々ができると思っているのは個別的自衛権ではなく、「自衛権」。この自衛権というのは、日本だけの定義だ。

自衛権とは何かは、どこにも定義されていない。歴代の国会の答弁の中で、ほんわかとできたもの。日本の領海内に敵が現れたら、必要最小限の反撃をする権利だ、と。反撃して敵があきらめてくれなかったらどうするかは想定していない。

つまり、戦争の定義が違う。そこを考えてほしい。

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