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成功にお金や学歴はいらない ヒト型ロボットベンチャーをグーグルに売った男(加藤崇インタビュー・前編) - honto編集部

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「大きな成果をあげるのに、お金や学歴は関係ない。」そう言い切るのは、ヒト型ロボットベンチャー『SCHAFT(シャフト)』をGoogleへ売却したことで一躍有名になった、同社元CFOの加藤崇さんです。そんな加藤さんが約一年をかけて執筆してきた『無敵の仕事術 君の人生をドラマチックに変える!』が出版されました。「何か大きなことを成し遂げたい!」と思っている若手ビジネスパーソンに、特に読んでほしい本だと言います。大きな成功を収め続ける秘訣とは何か。インタビューの中で熱く語って下さいました。

「行動に移せずに悩んでいる人」の多さに気づいた

―― 加藤さんは、知る人ぞ知る有名人だと思うのですが、当時CFOを担っていたヒト型ロボットベンチャー『SCHAFT(シャフト)』が2013年にGoogle(グーグル)へ買収されてから、グッと注目度が上がりましたね。

加藤崇(以下、加藤) 特に、「世界一の国産ロボットはなぜグーグルに買われたのか(http://hon.bunshun.jp/articles/-/3007)」という記事を2014年末に文藝春秋のWEBサイトで掲載したところ、その記事に対する反響が非常に大きかったんです。

―― 非常に優れたヒト型ロボットの技術をもつ東大発ベンチャー『シャフト』を、なぜ日本で育てることができなかったのか。そしてなぜ、最終的にグーグルに買収されたのかについて書かれた記事でしたね。

加藤 予想以上の反響があり、媒体の人も、そして僕自身も驚きました。ただ、この記事の反響を通してもっとも驚きを感じたことは、若手のビジネスマンで「何かやりたいと思っているけど行動に移せない」という人の多さだったんです。若い人の中には、「普通ではない、大きな成果をあげたい!」と思っている意欲的な人がたくさんいると思います。「スカっとホームランを打ちたい!」みたいな。でも、社会的な抑圧なのか、自信が無いからなのか、なかなか一歩を踏み出すことが出来なかったりする。そのような姿が透けてみえたのです。

―― 私も、会社を辞めたことで「よく辞めたね」や「怖くなかったの?」と聞かれます。

加藤 そうですよね。一歩を踏み出せない人が多いようなんです。けれど、それはすごくもったいないことで、「普通ではない、大きな成果をあげたい!」と思うような人は、踏み出さないと始まりませんよね。そこで、「なぜ、行動に移せないのだろうか?」と考えた時に、やっぱり自信が無いからなのかな、と思ったんです。「自分は特別な人間でもないし、何も持っていない」みたいな。実際のところ、僕も昔はそうだったんです。

―― いやいや。加藤さんは華やかな経歴をお持ちなので、「平凡」というよりは「もともとスゴい人」のような感じがしてしまうのですが……。

加藤 よく言われるのですが、そんなことはまったくないんですよ。特に幼少期は、このご時世には珍しいほど貧しい家庭で育ちましたし。だからこそ、もともと「普通で平凡」だった僕が大きい成果を出したという経験は、「普通じゃないことを成し遂げたい」と思っている若者にとって参考になると思うんです。

特別な人間でなくても、大きな成果はあげられる

―― なるほど。ちなみに、どのような幼少期をお過ごしだったのですか。

加藤 僕が4歳の時に、起業家だった父親が事業に失敗し、その結果僕たちは抵当によって家を追われることになってしまいました。その後、両親は離婚。僕は母方について、母子家庭で育ちました。それからというもの、経済的にはかなり苦しい生活を送っていました。僕の学費を工面するために、3歳上の姉は高校進学をあきらめて働き、家計を支えてくれたんです。そのおかげで、奨学金をもらいながらも僕は高校、大学と通うことができたんです。

―― そのような過去があったのですか。大学卒業後は東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に勤めていたんですよね。

加藤 はい。しかし、書籍の中でも書いた通り「パン屋さんの奥さん」とのエピソードをきっかけに、自分の仕事に疑問を感じるようになりました。

―― 疑問、ですか。

加藤 はい。その当時、返済が滞るようになったパン屋さんからお金を回収する仕事を担当していました。パン屋さんに対して、「家を売ってお金をつくってください」と交渉する仕事です。このパン屋さんの奥さんには大学生の息子さんがいたのですが、その息子さんと自分の境遇がどうしてもかぶってしまうんですよね……。自分自身も父の事業の失敗により、家を追われる経験をしていますから。この経験を通して、「人を家から追い出す仕事って、はたして自分がやりたいことなのか?」と、自分の仕事の意味を見失ってしまったんです。そして、銀行を辞めるという決断をしました。

―― 加藤さんにとって、それほど痛烈な経験だったのですね。

加藤 パン屋さんの奥さんの話が他人事とは思えず、自分の生い立ちと重なって、痛いほど理解できてしまったんですよね。自分の生い立ちが原体験となり、強烈な当事者意識を持ってしまったんです。この経験が元となって、このパン屋さんのような経営の危機に陥った企業の再生を請け負うコンサルティング会社に転職したんです。

―― そして、この決断がその後の人生を大きく動かしたように思います。

加藤 その後は、コンサルティング会社でM&Aを経験したり、シャフトのCFOとしてグーグルに買収されるというような、大きな成果を次々と出してきたと思っています。けれど、どの経験も、その成果にたどり着くまでは壁にしか見えていなかったわけです。詳しくは書籍に記していますが、成果を出すための道すじはまったく描けていませんでした。ただ、やらなければならない!という強い思いだけがあったんです。そしてただただ、一歩を踏み出し続けたのです。

―― 加藤さん自身も苦労の時代があるからこそ、これから「何か大きなことをしたい」という若者を応援したいという気持ちがあるのですね。

加藤 そうです。生い立ちを含め、自分のこの経験から「経済的に裕福な家庭で育ったかどうか」と、「自分が大きな成果をあげられるかどうか」というのは、何も関係がないと思っています。それだけではなく、学歴や、お金、コネがなくても、何も持っていなくたって社会的な成果をあげることができると思うんです。僕自身、「経済的に貧しい不遇な環境から、自分で本を読み、主体的に学んでここまで来ることができた」という自負があります。だからこそ、何か普通でない成果をあげたいという意欲あるビジネスパーソンに、「何も持っていなくたって、大きなことは成し遂げられる!」と伝えたいんです。

(編集・構成 マツオカミキ)

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