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【詐欺撃退法その1】1億総活躍プランは詐欺的手法で満ちている。

リーマン級の嘘

安倍首相は、息を吐くように嘘をつく。

2014年12月に総選挙において、リーマンショックか東日本大震災級のショックがないかぎり、消費税増税の再延期はないと断言しました。ところが、アベノミクスが失敗したことを認めない安倍首相は、伊勢志摩でのG7サミットにおいて、「リーマンショック並みの緊急事態」であると言い出し、国際メディアから袋だたきにあうと、前言を翻し、公然と公約を投げ捨てました。しかし、そのことで責任をとる気配は全くありません。

アベ政治の特徴は、失敗がバレそうになると、つぎつぎと別の嘘をつく点にあります。つぎつぎと嘘をつくことで、前の嘘を検証させるスキを与えないためです。これまで安倍首相はアベノミクスが目標を達成できないことを批判されると、「道半ば」と言って、失敗の原因を追及させません。失敗しても「道半ば」、永遠に「道半ば」。失敗の原因が明らかにされなければ、同じ失敗が延々と続くことになります。そして責任逃れが永遠に続くのです。メディアが批判をすれば、さまざまな圧力を加えます。まるで北朝鮮のようです。

まさに「1億総活躍プラン」と「新3本の矢」は、アベノミクスの失敗を検証させないために出されました。問題は、こういう詐欺的な手法を使っていくと、「公約」は選挙民を騙すための手段にすぎなくなり、選挙も議会制民主主義も意味をなさなくなってしまう ことです。いまやメディアは安倍政権の圧力に屈して萎縮してしまい、民主主義破壊のお先棒をかつぐ、情けない状態に陥っています。

デマゴーク政治で満ちている

思い出してみましょう。G7の「リーマン級の嘘」の前には、東京五輪招致のために、福島原発事故を「アンダーコントロール」と嘘をつき、国際メディアの批判を招きました。

そもそも安倍首相は、2006年12月の第1次政権の時に福島第1原発では「全電源喪失は起こりえない」と国会答弁書で回答していました。福島第1原発事故を引き起こした最高責任者だったのですが、その反省をまったく口にせず、2012年12月の総選挙時に自民党は、公約として「原発に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」を掲げました。

ところが、安倍首相は東京五輪誘致のために福島原発事故を「アンダーコントロール」と嘘を言い、やがて「世界一の安全基準」を強調し始め、再び「安全神話」を振りまき出します。そして、2014年4月の「エネルギー基本計画」では原発を「重要なベースロード電源」と規定し、15年6月の総合資源エネルギー調査会が示した電源構成では原発比率20~22%になり、それが新たな「エネルギー基本計画」となってしまいました。そして15年8月から川内原発1・2号機、高浜原発3・4号機を再稼働させました(ただし高浜原発3・4号機は大津地裁の運転差し止め仮処分決定が出ました)元の木阿弥です。

電力会社は原発を再稼働するにあたって国の責任を口にし、政府は「世界一の安全基準」であり、原子力規制委員会が認可すれば、原発は再稼働すると言います。当の原子力規制委員会の田中俊一委員長は再三「これは安全審査ではなく基準への適合性を見ている」だけで、これで「安全だとは言えない」と発言しています。もはや誰も責任をとろうとせず、再び「安全神話」だけがいつの間にか一人歩きし、原発再稼働が行われようとしているのです。まるで福島第1原発事故などなかったようです。

他方で、福島の現状は深刻です。安倍政権は、発足当初、「福島の復興なくして日本の再生なし」と言っていましたが、いまや20ミリシーベルト以下は除染せず、森林もダムの湖底も除染せず、避難区域を解除して賠償を打ち切る方針です。東京電力は、賠償金の金額と環境回復の費用が10兆円を超えていけば、経営が苦しくなり、経産省・資源エネルギー庁のごまかしの発電コスト計算でも、原子力の発電コストが火力発電のコストを大きく上回ってしまい、原発を再稼働する根拠を失ってしまうからです。

アベノミクスの失敗を隠す

こうした「振り込め詐欺」的手法のど真ん中にあるのが、アベノミクスです。

詐欺商法にだまされないためには、安倍政権自身が掲げた目標数値にしたがって、その成否を論ずることです。

アベノミクスは「デフレ脱却」を目標に掲げてきました。異次元の金融緩和が3年にわたって続けられ、日銀自身の発表によれば、260兆円もの国債を買い増していますが、2年間で物価目標2%、名目成長率3%以上という目標は達成できないどころか、ますます遠のいているように思われます。実際に企業物価は対前年同月比で14ヶ月、対前月比でも12ヶ月連続で下落を続けています。消費者物価上昇率もゼロ近傍をずっと続けています。

安倍政権は、先の3つの国政選挙では「道半ば」と言い、今度の参議院選挙も「道半ば」です。政権発足から3年半もたっているのに、です。黒田日銀総裁は2%の物価目標を4度先送りし、目標達成は2017年度つまり2018年3月末になりました。つまり黒田日銀総裁の任期切れまで目標は達成されないということです。永久に「道半ば」――アベノミクスは失敗したのです。

こうした失敗を検証されないために、2015年9月24日に安倍首相が打ち出したのが、「名目600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」という「新3本の矢」なのです。これによって、もともとの「3本の矢」はどうしたのか、なぜ失敗したのか、きちんとした議論ができないようにします。

1億総活躍プランも詐欺的です

もちろん、雇用を安定化し、社会保障を充実化することで、格差を是正することは喫緊の課題です。それなしに消費を下支えすることはできません。野党の政策を一部パクってできた「1億総活躍プラン」は一見すると、良いことも書かれています。

しかし、それは実現可能なのでしょうか。否。これも詐欺的です。

思い返してみましょう。「1億総活躍社会」の前には「女性活躍」でしたが、女性活躍は一体どこへ行ったのでしょうか。お膝元の中央省庁に勤める国家公務員の管理職(室長級、課長級)に占める女性の割合は6.5%で、ほぼ前年並みでした。民間企業において女性管理職が急激に増加しているという話も聞きません。

「保育園落ちた。日本死ね!」というインターネット書き込みで、実は保育士の給与水準が低く非正規化が広がっているために、2013年春に出された待機児童解消プランも進んでいないことが露呈しました。「女性活躍」という政策スローガンも、きちんと検証されておりません。「1億総活躍社会」も、嘘を上塗りする安倍政権の手法で、過去の政策の失敗を検証させないうちに、新しい目標にすり替えてしまうのです。

もちろん「1億総活躍プラン」自体もとても達成できるような内容ではありません。保育士の給与引き上げや給付型奨学金の創設など、野党の政策をパクって口当たりのいい政策を並べ立てていますが、財源の見込みがないからです。

安倍首相は2019年10月に消費税増税を2度目の先送りをしたことで、安倍首相は任期中における「税と社会保障の一体改革」を放棄しました。安倍首相は、「新3本の矢」の名目GDP600兆円を達成し、成長の果実によって賄うとしています。

しかし、2020年までに500兆円の名目GDPを600兆円にするには、年率3%を超える名目経済成長率を続けないといけません。こうした「方針」は、2016年1月21日に出された内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」の数字を前提としています。

http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/shisan.html

この「試算」では、2%の物価上昇を仮定したうえで、2017年度に消費税増税でいったん成長率は2.4%に低下した後に、2018年度以降は3.9%に跳ね上がり、その後も3%台後半の高い名目成長率を続けることになっています。そうしないと、財政の基礎的収支は改善に向かわないからです。アベノミクスが失敗したために、ツケがどんどんたまってきて、こうした異常に高い名目経済成長率を想定しないと、税収が増えず財政赤字がどんどん増えていってしまうからです。しかも、内部留保をため込むだけで効果の薄い法人税減税は続けます。消費税増税を再延期した場合、さらに高い成長率を必要とするでしょう。

しかし、こうした高い名目成長率はバブル崩壊以降、一度も実現したことはありません。「1億総活躍プラン」は絵に描いた餅で、また嘘に終わり、つぎの嘘が待っているだけです。

地域の雇用を創る産業戦略がない

失敗したアベノミクスを続けても、ますます泥沼にはまるだけでしょう。産業競争力の低下がますます進行しているからです。小泉「構造改革」時代も含めて、スーパーコンピューター、半導体、携帯電話、携帯音楽プレイヤ―、液晶パネル、カーナビなど日本製品の国際競争力の低下は著しいものがあります。

ところが、安倍政権はこれまで失敗してきた「規制緩和」政策を続ける一方で、旧来型の古い産業を守るために、原発輸出、武器輸出、マイナンバー、オリンピックなど「国家プロジェクト」で救済を図っていますが、ことごとくと言ってよいほど失敗続きになっています。

筆者がずっと主張してきたように、IoT,ICTを活用した地域に雇用を創り出す分散ネットワーク型の産業構造と社会システムを創出する戦略が不可欠です。しかし、「失われた20年」をもたらした無責任体制が続くかぎり、こうした政策転換はできないでしょう。

実際、この間、東京電力などの電力会社だけでなく、東芝、タカタ、シャープ、東洋ゴム、旭化成建材、三菱自動車など、不正会計やデータねつ造が横行するようになっています。息を吐くように嘘をつき、政策がどんなに失敗しても、閣僚が政治資金でどのような不正を行っても、決して責任をとることはありません。

待っているのは、シャブ漬けの中の衰弱死です。

問われているのは、アベノミスクスの失敗を加速させるのか、前へ進むのか、です。

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